アプリ は“リアル”の進化を加速させる ヤプリ UPDATE2021
改めて、デジタル革命はリアル を充実させるためだ。そう思った次第で、それを象徴していたのが、株式会社 ヤプリ のイベント「UPDATE2021」である。デジタル企業で アプリ の進化を推進して「UPDATE」と銘打ちながら、敢えてリアル で開催する彼らの心意気に打たれて、僕は参加してみようと思ったわけである。
ヤプリ がもたらす アプリと リアル の結びつき
ヤプリは、アプリをノーコードで難解な知識なく作れるというプラットフォーム「Yappli」を提供している。ただ、このイベントは使用する側の目線で、アプリの可能性を示唆することに注力していたように思う。
会場に入るなり、「これをスマホで読み取ってもらえますか?」と言われ、読み取るとスマホに映し出された現実世界には架空の歩く人が映し出されて、リアルと重なり合う。
僕らがアプリというと、スマホ上で完結するように思っていたけどそれは違くて“リアルに飾り付け”をして、日常を豊かにするものなのかもしれない。
地元のパン屋の魅力をサッと引き出す パンフォーユー
歩いた先には「パンフォーユー」の商品が並んでいて、その商品であるパンの前には「touch」と書かれたシールが貼られている。「これ“touch”するんです」と原田千亜紀さん。まるでSuicaのような感じでタッチすると、そのパンについての詳細が出てくる。
以前、僕は「パンフォーユー」については書かせてもらったが、この企業は地方にあるパン屋に着目したもの。地元でしか知られていない美味しいパンを、全国に定期購入で送り届ける「パンスク」というサービスを提供しているのである。
ここで“touch”してスマホ上に映し出された、このパンについての詳細は地方にあるパン屋の熱意であり、こだわりである。サービスの魅力と地元にあるパン屋の素敵さををアプリがシームレスに伝えてくれるというわけである。
香水の魅力を香らずして伝える 「LIBERTA」
ソファーでくつろいでいると、今度は「これやってみませんか?」そう言って差し出されたQRコード。読み取ると、スマホ上で色々な質問が出てきた。「これはなんですか?」というと「お好みの香水をセレクトしてくれるんです」と。
20余りの質問に答えると、ふさわしい香りが下の写真左のように、アプリに映し出される。「こっちですよ」と促されるまま「LIBERTA perfume」というD2Cブランドの香水ブースへ僕は移動したのだ。
スタッフの方に「あ、オリエンタルですね。珍しいですよ、神秘的な香りです」と言われ、ずらりと並んだ香水の中から、それに適したものがセレクトされ、その香りが差し出される。「うん、確かに好みだ」と僕。
香水のブランドでありながら、「LIBERTA」には路面店はない。拠点はネット通販のみで、ここが今の時代ならでは。
つまり、多くの人が選んできたそのアルゴリズムをAIで機械学習させて、そこからスムーズにふさわしい香りを提供できるようにしているのである。まさに、それらを直感的に選んでサクサクと、その個々にとって理想の香水へと導く役目を果たすのがアプリというわけである。
アプリは身近に人と商品を引き合わせる
その横には、骨格診断。これも興味深い。それぞれに見合った服のサイズやフォルムがあって、それは骨格に基づくというのである。
この裏側にはNIAiNOというサービスがあって、その名の通り「似合いの」でテクノロジーでお似合いを実現させるものが働いている。そのうちの一つが、骨格診断。利用者の全身や手などの体のパーツの画像を、その第一人者である二神弓子氏が提唱した「骨格診断」理論に基づき作成したAIに判定させ、各々の格好良さを貫けるというわけである。
他にもカラー診断もあって、これはいうまでもない。女性の間ではイエベ、ブルベなど、それぞれのパーソナルカラーを判定して、化粧などもそこに合わせて、各々にとっての美しさを追求する傾向があって、それを分析するわけである。
これらの何に注目すべきかというと、今までと購入に至るまでの手法が全く違うことだ。マスマーケティングの中で、用意されていたものをお客様の方が合わせていた時代から、テクノロジーにより、商品の方がお客様に合わせる時代なのである。
勿論、こういった機能が増えている背景には、AIの進歩もあるだろうがカメラ機能などスマホが持つ特性によって、個人の要素を引き出す事が可能になったからこそ実現できるのでありアプリの力によるところも大きいだろう。
ヤプリが果たす役割
このようにして時代の進歩とともに、結局これから大事になるのは「人と商品」「人と人」などの「引き合わせ」なのではないかと思う。その為にはリアルが欠かせない。自分で直感的に操作したり写真を撮ったり質問に答えたり。アプリを通して一人一人の「個」を引き出すそのやり方は、多種多様であって、それは上記に示した通りである。
ヤプリのような会社は、そういう機能をアプリと連携させて、企業側がアプリでできることの幅を広げていく必要があるわけだ。これから、アプリ上に様々な要素が実装されることにより、アプリ上、多くの人が便利に、かつ楽しめる要素が膨らんでいく。
故に彼らは消費者の動向を見据えながら、どんな機能や要素と連携させていくか、貪欲に追い求めて行かなければならないだろう。それは単純にシステムを見ているだけでは本質は見えてこないわけで、やっぱりリアルがベースとなる。その意味でこのイベントは本質を突いていると思うわけだ。
代表取締役 庵原保文さんが言っていたけれど「デジタルを扱いながら、こういうと語弊があるかもしれないけど、リアルとデジタルが二択だと言われたら、ほとんどがリアルに行くだろうと思うんです」と。そして、「コロナ禍でデジタルが脚光を浴びることにはなったけど、僕らはアプリという武器を使って、いかにリアルの魅力を引き立たせるか、というのはこれからの課題ですね」と続けた。
庵原さんの話す通りである。コロナ禍で僕らが気付かされたのは、デジタルの魅力であるとともに、それでもなお、人の心を豊かにする「リアルの偉大さ」なのである。ヤプリには、これからアプリを通して、今までより一層、充実したリアル世界を体感できるように、“アップデート”してもらうとともに、僕らもまたその生活を“アップデート”して、人生を謳歌していくべきなのだ。
今日はこの辺で。