「炭や」 テイクアウト も 発想 次第 で大きく伸ばせる 意識の差
昨今、新型コロナウイルス感染症に伴い、飲食店が苦境に置かれているけど、何気ない視点が、店に活気をもたらす。半蔵門にある焼き鳥屋「炭や」はコロナ禍で テイクアウト を始めた。ただ、大事なのはそこでどう 発想 して、興味を惹くやり方を取り入れることの方ではないか。そう指摘して、環境をガラリと変えてみせたのは、以前、ネット通販のダイビング器材販売「海楽市場」などで一時代を築いたPBサポート松橋正一さんである。
「炭や」 新しい挑戦
1.些細な変化だけど見落としがちな一手
本当に些細なことで、でも重要な知恵である。赤提灯だけであった外壁に、この店ならではの商品をテイクアウトメニュー用として大きく写真入りで価格と共に張り出した。「焼き鳥丼」や「せせり身やき」などである。そして、その横にはリーフレットを置いた。一瞬、目に入った通行人でも持ち帰って、吟味できるようにしたのである。それだけで、テイクアウトの比率は10%から30%に伸びたと言う。
結果、形を変えて、店にとっての味は確かにお客の心を掴んだ。店長自慢の「せせり身やき」は、網焼きで出すことで独特のプリプリ感があって、他にはない味。この味を知ってリピートが生まれるなどして購入数が増加した。
2.食べ方の変容
食べ方も「在宅勤務で」であるとか「家で晩酌とお供に」という風に変化して浸透している。美味しい食べ物であれば、利用者のその生活スタイルの変貌ぶりに応えて、進化できることを示した格好だ。店長の飯塚さんの話によれば、この増えた分は殆どが新規顧客で、若い人が増加するなど、客層はドラスティックに変わったという。
僕が気づきとして得たのは、店長 飯塚さんの意識の変化だ。
飯塚さんの頭にあったのは常連客を大事にすることではあっても、テイクアウトで新規顧客をどう増やそうという部分にまでは、発想が及んでいなかった。それは仕方ないことでもある。
3.テイクアウトの魅力を訴求し新規獲得
そこで、松橋さんの「テイクアウトをやっていることをどう伝え、新規を呼び込むか」というエッセンスを取り入れることで、ピンチを逆にチャンスに変えた。
変化に対応する意識の改革とそれに伴う気づきの差。それがこの店を変え、救う事になった、と思った次第だ。
「特に困っている飲食店業界などは、私たちが救う気持ちを持つべき。なぜなら、まわりまわって自分達の商品を買ってくれる人の数を減らしてしまう。そのくらいの危機感を持った方がいい。だから、ネットが売れている今こそ、私たちなりの発想が、お店にとっての発想転換となればと思う。それでアドバイスさせてもらった」と語り、松橋さんらしい愛情を見せた。
飯塚店長は、コロナ以前から変化は実感していたという。「徐々にオフィスも減りマンションが増えた。それで自分たちの営業も月曜から金曜を、土曜日営業に変えようかと。もはや月曜休業でいいのでは。そう考えていた最中であった」と話している。時代の流れで地殻変動は起きていたのは事実。
ただ、新型コロナウイルス感染症に伴って、急激にそれが前倒しになったに過ぎない。
今の流れは遅かれ早かれこの流れは必然だったように思う。元に戻ることはないだろうと予測している。だからこそ今回のように、手段に依存することなく、その手段を最大限活かす方法はないか、と考える先に、次の時代を生き抜く知恵があるのではないか、と思った次第である。
今日はこの辺で。