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ショップ・オブ・ザ・イヤー受賞店舗に学ぶ 〜NATIONSとROOMが生み出す成長のサイクル〜

 売り方の多様性を感じさせる「Rakuten Shop of the Year 2024(SOY)」であった。どういうことか。従来のモールのあり方とは異なり、その受賞店舗の中には、楽天市場から派生したインフラを活用して、自らの実績に繋げているところがあったからだ。感度を高くし、その売り方にも工夫していくのが、今のモールの闘い方なのだということに気付かされた次第だ。それは、楽天市場が単なる商品販売の場ではなく、店舗が学び、発信し、成長するためのエコシステムを持つプラットフォームになっていることによる。

 ここでは、楽天NATIONSと楽天ROOMという二つの仕組みを活用した受賞店舗の成長ストーリーに光を当てたい。彼らの言葉からは、学び・発信・実践を繰り返しながら、店舗が進化していく仕組みを備えていることが浮かび上がってきた。

楽天NATIONSがもたらす学びの場

 ECのショッピングモールとしては最も歴史の古い「楽天市場」である。だからこそ、それは売り場としての価値以上に、そこで実績を出した店の経験もまた、このモールの価値である。それを活かしたのが、楽天NATIONSだ。

 売上向上を目指す店舗が、成功店舗のリーダーから直接ノウハウを学ぶことができるプログラム。単なるオンライン講義ではなく、リアルな成功事例を共有し、改善策を試しながら、実践的に学んでいくのが特徴である。

  当然、先生と生徒、共々楽天市場の店舗であるから、実践的。SOYの受賞店舗の中には、それで実力をつけたところもあるが、先生の功績も大きい。先生を讃えるのが、NATIONS賞受賞したのは、コスメティックやよいだ。

 彼らの話を聞いて面白かったのは、実は、そのプログラムは、ずっと同じ先生に教わるものではないということだ。つまり、出会った生徒とは一回きりしか教えられない。

 だから、同店が口にしたのは、そのプレッシャーである。この一階に全てを込めるからこそ、真剣勝負。いい刺激になると話していたのだ。これを聞きながら、双方にとって学びある機会なのだと思った。

互いに高め合うことで成長していく

 「教える立場として参加することで、逆に自分たちの課題が明確になり、さらに学びが深まる」とも。

 「NATIONSの講師を任されたとき、最初は“自分たちが人に教える立場なのか?”と戸惑いもありました。でも、実際に教えるうちに、講義で伝えている内容が実は自分の店舗でもできていない”と気づくことが多々あったんです。」

 しかも、教えることは案外、テクニック的なことばかりではないことに教える側も気づく。もっと本質的である。心構えであるとかを指導していくうちに、生徒店舗は成長していく。その姿を見て、また自分たちもその行動を改善して、成長していく。

 当然、その高い緊張感は、生徒店舗にも精神的にもプラスに作用する。意外だったのが、長年、楽天市場を運営してきた「竹虎」。なんと初の受賞(SOY/特別賞サスティナブル賞)である。

切磋琢磨するこの環境もまたプラスの要因

 そして、店長の山岸さんが、大きな要因となったと話すのが、このNATIONSへの参加だとか。

 「22年間、ずっと独学でやってきた。けれど、NATIONSで他の店舗と意見を交わすことで、今まで見えていなかった課題に気づいた」。

 そこで学びを得ていくのは、勿論。それ以上に、そこで店舗が横並びで、切磋琢磨していくことの意義を語った。

 「自分たちは楽天市場を知り尽くしている。そう思っていました。でも、実際にNATIONSで他の店舗の話を聞くと、すごく細かい工夫を積み重ねていることが分かったんです。『もっとこうすれば伸ばせる』『他の店舗はここに注力している』といった学びが一気に増えました。 それまでは一人で闘っている感覚でしたが、NATIONSは“成長のための仲間”を得られる場でした。」

 単独で試行錯誤するよりも、他の成功店舗からリアルな経験を学ぶ。そうすることで、成長のスピードが加速するのだ。これは、NATIONSの大きな価値の一つである。

楽天ROOMがもたらした気付き

 続いて、販売促進としてのインフラも多様化が進んでおり、最近、注目を集めるのが、楽天ROOM。

 インフルエンサーが楽天市場の商品を紹介し、ユーザー同士が触発されることで商品が拡散されるショッピングプラットフォームだ。しかし、ROOMがもたらす価値は、単なる販促の枠に収まらない。

 オーガニックヘアケアブランド「イルミルド」は、ROOMを利用するインフルエンサーとコラボ商品を作ったのである。結果、商品開発面で、思いもよらない気づきを得た。

「ROOMに投稿するインフルエンサーが工場へ訪問。そこ話す中で、何気なく出た“かぼす”というワードが、私たちの商品開発の大きな転機になったのです。」

 そして、実際に大分の現地へ足を運ぶ。そうすることで、この柑橘系の香りが自社の製品との相性が非常に良いことを発見する。

 大分県が国内のかぼす生産量の9割を占めている。ただ、その一方で悩みもある。カボスの生産地では、利用されない箇所の扱いに悩んでいる実態もあったのだ。

背景を伝えることにインフルエンサーの発信は寄与

 だから、この材料に使うことは、自然を救う。

「お客様は、ただ香りがいいから買うのではなく、そこに込められた背景に共感してくれる。現地まで訪れて、その土地の魅力を知ることが、インフルエンサーの方を通して伝わる。それを商品に反映することで、単なるヘアケアアイテムではなく、共感を呼ぶブランドへと進化できる。」

 そういう全てのストーリーが、発信力のあるインフルエンサーによって伝わっていく。だから、それがそのまま、店として新しい価値を見出すきっかけとなっているのだ。

 、、、とはいえである。インフルエンサーは商品企画におけるプロではない。少し意地悪な質問かもしれない。だが、正直、オリジナル商品を作るということは、在庫リスクを抱える。それは気にならなかったのか。

在庫リスクを乗り越えるに相当する熱量

 ただ、その答えにこそ、この取り組みの価値があった。

「仕入れの調整や、製造コストの問題など、最初は慎重になりました。でも、ROOMを通じてインフルエンサーと話し合い、スタッフが“これをやりたい”と熱量を持って動き始めたとき、成功する確信が持てたんです。」

 理屈ではない。それが、このプラットフォームは存在する意義を示す部分ではないか。熱量が生まれたところには、成功する可能性も高い。それを店舗側が口にする。なるほど。その確信が、経営判断を後押しし、結果としてこのプロジェクトは成功を収めた。

「人間の気持ちに火をつけることが、最終的に事業を動かす原動力になります。ROOMは、単なる販促の場ではなく、私たち自身が“やるべきこと”を見つけるきっかけにもなったんです。」

 おわかりいただけただろうか。従来のモールのあり方とは異なることに。その受賞店舗の中には、楽天市場から派生したインフラを活用して、自らの実績に繋げている。感度を高くし、その売り方にも工夫していく。それが、今のモールの闘い方なのだということに気付かされた次第だ。

 NATIONSでは、学ぶことで経営の視野が広がり、店舗同士が互いに高め合う環境が生まれる。ROOMでは、発信を通じて新たなアイデアや気づきを得ることで、熱量が生まれ、挑戦の後押しとなる。

 学び、発信し、熱量を持って挑戦することが、次なる成功へのカギとなる。

 今日はこの辺で。

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