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ライブコマース舞台裏とその後 ヤマト運輸の「爆速配達」など総括する『チームメイト』オフ会

 僕の記事に共感して集まった「チームメイト」というコミュニティ。そのオフ会にメンバーが集まり、目の前で行われたのは、ライブコマースの生配信である。自慢の商品を手に、「ところてんの伊豆河童」栗原さんと「水郷のとりやさん」須田さんが語り、その魅力を実食で伝えるのは、夢みるアドレセンスの柊木まあやさん。その舌鼓が配信にどんな結果をもたらしたのか。(※当日までのストーリーはこちら

ライブコマースのアーカイブはこちら

配信前の準備と工夫

・三人座るから少し段取りが異なる

 配信開始数時間前から、会場ではリハーサルが進行していた。今回、出演者は全員、初心者ということで少し早めに現場入りしてリハーサルを行ったのだ。ただ、それでも、フューチャーショップが用意してきた「Live cottage」というサービスは初心者でもできるというので、幾分、落ち着いた雰囲気ではある。

 一方で、現場の準備はどうだろう。写真の通り、テーブルを用意。手前にスマホを縦向きにセットして、横からライトを照らしている。基本的には写真のように、二人がベター。ここまではいいだろう。ただ、店舗を入れると三人だ。

 そこで、最初の課題は、着席位置の調整である。

 華のある柊木まあやさんを真ん中に配置したいと思いつつも、それではカメラ映りが不都合になる場面が発生。なぜなら、カメラが固定で移動できず、そこで食べられない。最終的に、試食時に彼女自身がカメラへ寄る演出を優先し、右端に座る形に落ち着いた。

 さらに、僕ら演者のテーブルの前に、さらにもう一台、テーブルを置いておく。なぜか。それこそが試食用のテーブルだからである。

伊豆河童 栗原さん登場!突き棒の演出も裏方と連携

・小道具も用意

 「ところてんの伊豆河童」では、元々、商品の特徴として、ところてんの突き棒を添えている。

 そこで、柊木さんがその「木製てん突き」でところてんを突き出すシーンでは、視聴者がその臨場感を感じ取れるよう、カメラの位置や演出を確認した。これも彼女は席を離れて、カメラに近づき行っている。

 演者の動きに合わせ、裏方がタイミング良く皿を支えたり、照明を調整したりと、些細な準備が進む。その横で、伊豆河童の栗原さんがピンマイクで詳細を語り、柊木さんにやり方の説明をする体裁で、視聴者に理解させる。

 「わぁ、これすごい!」と感嘆の声をあげる柊木さんに、コメント欄が「美味しそう!」で埋まった。

・簡単だからこそのこちら側の工夫

 ライブ配信中に、商品の詳細情報を視聴者に伝えるために、通常はOBSなどの配信ソフトを使って画面を切り替えることがある。しかし、今回は簡単さが売り。逆にいうと、スマホ1台で配信を行っていたため、別の工夫が必要なのである。

 そこで、商品の詳細画像を事前にiPadに準備しておき、柊木さんにそれを渡して、カメラに近づけてもらう形を取った。カメラにぐっと寄ることで、視聴者が画面越しにしっかり情報を確認できるようにしたのである。

 だから、事前に詳細画像は2店舗とすり合わせをして、順序も考慮して僕のiPadに入れてある。

 なので、僕の右側にいる柊木さんに渡して、それをカメラにグッと近づけてもらう。

・iPadが大活躍!?

 「富士山麓の綺麗な水を使っています」という説明に合わせて、iPadの画面をカメラに寄せ、詳細画像をアップで見せる工夫をしたわけだ。また、右側に映る写真は、柊木さんではなく、裏方スタッフがiPadを持ってカメラに近づけてくれた。

 柊木さんは「水郷のとりやさん」の焼き鳥を手で持つからである。その焼き鳥というのが、こちら。鳥の部位が12種刺さった「水郷とり まるごと一本」だ。

 だから、現場では下の写真のようになる。食べる人、説明する人、進行する人、裏方で表現力を高める。

「水郷のとりやさん」須田さん登場!焼く演出もその場で

・鶏は須田さんが焼いていた

 水郷のとりやさんのコーナーでは、ジュウジュウと焼ける音や湯気の演出でさらに視聴者を引き込む。「外は香ばしく、中はジューシー!」という柊木さんの感想が視覚的にも味覚的にも商品の魅力を伝えるのである。

 実は、その手羽餃子は事前にBACKYARD TOKYOの裏にあるキッチンで須田さんが焼いていた。

 そして、配信直前にで用意したプレートでもう一度、裏方の稲生さんが熱している。

 焼く感じをプレートごとカメラに近づける。そうすることで「カメラが寄ることなく」料理中に生まれる演出を可能にしている。

 その熱した状態でプレートに置かれた「水郷とり まるごと一本」と「手羽餃子」をつまんで、柊木さんが実食する。

 どうだろう?スマホ一つで工夫すれば、TV番組と変わらぬ体裁を整えられるのだ。

 配信中には多くのコメントが寄せられ、質問も次々に。丁寧に応じることで、視聴者との一体感が生まれた。その一方、限られた時間の中で全てのコメントに対応しきれなかった点は今後の課題として挙げられる。

その結果は如何に?

・完売商品が出るなど好実績

 配信は45分間だったが、伊豆河童では30セットが完売し、最終的に32セットを販売。水郷のとりやさんも29セットを売り上げ、その内訳を見ると、リピーターだけでなく新規顧客も多数獲得した。実際、初回受注が22人、2-10回目が3人、11回以上が4人だったのだ。

 また「ライブ配信を見ました」というコメントとともに通常商品を購入した方も14名。その全員がリピーターだった。

 伊豆河童は、販売した32セットのうち、11件がリピーター、新規が21件だった。

以下は、フューチャーショップが示した配信データである:

  • 最大同時視聴者数:109名
  • 累計視聴者数:358名
  • いいね数:4953
  • コメント数:170

 フューチャーショップの安原さんによると、有名な店舗であっても同時視聴者数が数十人にとどまることは珍しくない。その中で、今回の配信が同時視聴者数100名を超えたのは非常に多い方に分類される。「熱量の高いユーザーが集まることで、熱狂が生まれる様子を明確に示した」と評価していたのである。

 つまり、これはイベント的な意味合いが大きかった。また、チームメイトのようなコミュニティ、柊木まあやさんのファンの方という、熱量の高い方々が多かった。これらが盛り上がりの要因にあると安原さんは分析している。

・もっとコミュニケーション性を高めると継続的に価値が生まれる

 今回の結果はイベント特有の盛り上がりによるもので、定期配信では同じような数字は出にくいかもしれない。しかし、初めてのチャレンジでこれだけの成果を出せたのは大成功。

 両店舗がメルマガやLINEを活用し、フューチャーショップでの告知も行ったことが功を奏したのではないか。そう振り返っている。また、商品の魅力を効果的に伝えた点も成功の要因として挙げられる。

 ここで、時間尺の関係で追いきれなかったコミュニケーション性を高めることで、さらに成果が出るのではないかとまとめた。

配送がもたらす付加価値でECは未知なる体験を生み出す

・爆速!とお客様を圧倒させたヤマト運輸の配送

 この企画で忘れてはならないのが、ヤマト運輸の迅速な配送対応である。「ところてん」は、配信中に「当日19時までの注文で翌日配送可能」と告知された。この仕組みは、日本の高い配送技術を改めて示すとともに、ECが持つ可能性を強く感じさせるものであったのだ。

 繰り返すが、19時までの受注である。だからお客様は驚く。それで翌日午前10時23分にお客様の一人(kurox1さん)がXに投稿をしていた。

「大変だよ!まあやさん。もう届いたよ!爆速で驚いた、とりま冷蔵庫に入れて冷やしま〜す!」。

 どうやら柊木まあやさんのファンの方のようです。ありがとうございます。この投稿がこの時間に届いているということは、さらに早く商品がお客様の手元に届いていたことを意味する。また、オフ会に来場したメンバーの中にも購入した人がいて、続々と「商品が届いた」との報告が寄せられた。そのほとんどが午前中には届いていたようであり、本当に驚きだ。

・配送もお客様の感動につながる付加価値へ

 そして、今回の配送について振り返りの議論をしていた際、トランスコスモス常務執行役員の所年雄さんが次のように語った。

「注文の数時間後に商品が届き、お客様が素直に驚く反応を見せてくれた。この体験は非常に貴重なものだ。」

 つまり、配送が単なる手段ではなく、顧客に感動を与える付加価値になると所さんは指摘する。

「配送という体験自体を商品内容に含めて、『早く届く感動をあなたも体験しませんか?』と呼びかけるのはどうでしょう。商品を待つ間にワクワクが生まれ、届けられる瞬間には感動が生まれる。これが配送の持つ可能性です。」

コストに対しての意識を変えていく工夫を

 さらに、所さんは続ける。「配送が感動に変われば、もはや配送代をコストと考える人はいなくなるでしょう。逆に、感動に対して正当な価値を感じてもらえるようになります。」

 なるほど。この話は僕らの意識の変革を求めるものでもある。

 所さんの所属するトランスコスモスでは、コールセンターも「コストセンター」として捉えられることが多いと言う。そのため、付加価値を加え、コストと感じさせない工夫を常に模索してきた。その経験から、「今回の配送が感動を生んだ事例は、非常に勇気づけられるものでした」と述べているのである。

 ライブコマースは商品の魅力と視聴者の熱狂が一体となり、購入を後押しした。しかし、そこで終わらず、商品が届く瞬間に再び感動を呼び起こした点が今回の最大の特徴である。

 この成功に関わったすべての関係者と視聴者に拍手を送りたいと思う。

 今日はこの辺で。

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