お酒を扱う店舗が1位と2位を占めた納得の理由 au PAY マーケット BEST SHOP AWARD 2023
なるほど、お酒がここまで表彰される時代なのか。。。僕は「au PAY マーケット BEST SHOP AWARD 2023」の会場に足を運んで、そう思った。結論から言ってしまうと、1位と2位がお酒を販売する会社。実はこのジャンルはこれまで、ネット通販では存在感の小さいものであった。それこそ、去年もau PAY マーケット で、お酒の会社が1位だった。だから、相性の良さもあるだろう。けれど、徐々にそれらのジャンルの裾野が広がっている。それは生活変容が起きているからこその証だし、そこに彼らの頑張りが実り始めている。
歓喜に沸く会場、そして気づきをもたらすその言葉
「au PAY マーケット BEST SHOP AWARD 2023」。それは、au PAY マーケット出店店舗を対象に、その年度の売上と、評価、お客さまによる得票などを基に賞を授与するもの。
第一位は「お酒のビッグボス」で、代表の村井祐之さんの言葉がなんとも染み入るものだ。
壇上、マイクを握り締め、、、
「去年、一昨年、その前とコロナ禍の中、総合賞をもらって、リモートだったので火星にいたのかな?」
そうおどけて見せた村井さんである。つまり、過去3年間の栄誉あるその受賞。それでも、まだ実感が伴っていなかった。その胸中を明らかにしたわけである。リモートだからね。それだけに今年のリアル開催によって、表彰されたこと。そこには格別な想いがある。それを明らかにしたわけで、その後続けた本音にしびれた。
「家飲みという言葉を聞いたことがあるだろうが、それによって売上が上がった。そういう捉え方をされがちだが、それは違うんだ」と。
そして、噛み締めるようにこう語るのである。
「我々が頑張ってきたからなんだ」と。
特に今年のその受賞が格別なものである理由。それは、「コロナ禍があけても」グランプリを受賞できたからである。彼がいう、その社員の頑張りが「追い風だからではなく」実力によるものであることを強く証明したからだ。
受賞店舗に傾向も見られる
さて、それぞれの順位を示すとともに、その受賞の理由を少し考えてみたい。順位は下記の通りである。
その順位を見ると、冒頭、話したお酒もそうだが、食品・飲料の割合が比較的、多いように思われる。以前、八津川博史 副社長に話を聞いた時にも、そうだった。
コロナ禍で最も成長した領域は、食品・飲料であることを明らかにしていたのだ。だから、今一番、本腰を入れるべきは、それらのジャンルだとも強調していた。ちなみに、少し前のデータだが、振り返れば、2021年度au PAY マーケットにおいて、YOYで116.6%の伸長であった。
でも、その時はどう、本腰入れればいいのかという思いもあったのは事実。だから、先ほどの村井さんの言葉が意味を持つ。その追い風だけでここまできたのではない。そこが大事なのだ。
生活変容が起きて、消費者の行動の変化に着目
一つに、まずは、コロナ禍で生活変容が起きているジャンルだからというのがある。これは紛れもない事実である。それを検証する意味で、経済産業省の「電子商取引の調査データ」を紐解いてみよう。
食品カテゴリーのEC化率は、全体の中でも、3〜4%の存在感の薄いジャンルではある。しかし、2021年対比の「増減率」で見ると、2022年は「9.15%増」。ここが大事だ。デジタル化の波に、このカテゴリーでは消費者がついてきている。
それも、全カテゴリーの中で最も伸びているのである。
要するに、共働きにより、生活変容が起き、時短が求められたわけだ。その中で、ECが、置き換わるだけのポテンシャルを秘めた存在になった。かつては主婦が毎日、スーパーに通う中で、それらを購入していた。しかし、ネットで購入するように変わってきた。
では、それらの店舗はどうやって定着させてきたのだろう。注目したいのは、1位2位両方の店舗が口にしていた言葉。ポイントなどを上手に使えば、au PAY マーケットはお酒のジャンルにおいてはお得に感じてもらえるということ。
え?そうなの??お酒を買うのは、au PAY マーケットがお得?初耳だ。
au PAY マーケットでお酒の店舗が1位、2位になる理由
リカーBOSS代表取締役 梶沢 佳孝さんが話していたのはこうだ。「au PAYマーケットのスマートパスプレミアム会員向けの施策が、特に客単価の兼ね合いで、奏功している」と。
つまり、特段、au 側がお酒に力を入れているというわけではない。ただ、大抵、彼らの商品の単価は3000円程度であり、そこで用意されるクーポンは300円程度。結果、お客様から見れば、それが実質、10%OFFになっている。
つまり、お酒を含むドリンク系の商材は、それらのクーポンの金額と親和性が高い。それゆえ、そこに気づいたお客様は、確実にリピートするというわけである。
最近、au PAY マーケットも携帯電話事業(通信)を起点とした経済圏を活性化させている。だから、Pontaポイントを掛け合わせれば、さらに、その効果は増す。ゆえに、他のモールと比べても、お酒はお得に購入できることになり、優先度合いが増しているというわけだ。
以前は、スーパーでそれらを買っていた人も、コロナ禍で生活変容が起こり、ネットでの利用度合いが増えている。それが、EC化率の上昇傾向でもわかる通りで、昨年対比で成果が出やすくなっているから。確実に、リアルのスーパーと比較対象となりうる存在となったのだ。
ただ、一旦はそこで変容が起きようとも、それを継続できているか。
だからモールでも継続利用を促す投資が大事
つまり、2023年で言えば、コロナ禍が終息しても売れ続けているかどうかが大事。それでいうとかつての購入者をリピートに繋げられ、生活変容を根付かせたのだ。
だから、店にとってキーになるのは、継続利用につながるお客様との向き合い方。現にグランプリの「ビッグボス」は、お客様との対話の重要性を何度も口にしていた。
やりとりをしているうちに、見えてくるのだという。このお客様は、旦那さん用に買っているのだな、という具合に。その背景が見えてきたから、それを踏まえた対応をしていく。その親近感がリアルよりも高いので、同店舗での購入を優先する後押し材料となる。
これが、最初の話に戻る。au PAY マーケットは、クーポン利用でお得になる可能性が高い。だから、関係性を築いた中で「そのお客様にいかにそれをわかりやすく伝えていくか」。この部分に直結して、お客様もそのお得さを関係性の中で実感するから、リピートするわけである。
同社の年商は50億円から60億円。そのうち、au PAY マーケットが半分を占める。かなり相性がいいというのはいうまでもない。
継続顧客の満足度を拡充していく
確かにこれは良好な循環だ。3100万人いる通信利用者が、そもそも携帯電話を継続利用している。だから、ポイントが貯まりやすい。ユーザーが、そのお店で継続利用をするベースができれば、結果を出し続ける土台ができるわけだ。
「お酒のビッグボス」は、一人のお客様で4回〜10回など、頻度の高さが抜きん出ている。ただ、同時に、コロナ禍ほどの新規流入はないからこそ、ここからが勝負とふんどしの紐を締め直す。また、au PAY マーケット自体もお酒との相性の良さを踏まえて、告知をしてほしいと説く。
ゆえに、継続利用と顧客満足度。この2軸がショッピング・モールにおいても大事だということになる。そのために必要な要素も二つ。それは、上記に書いた相手が見える接客と物流である。彼らは型番商品で、ともすれば、歩いて行けば買えてしまう商品。加えて、お酒は特に扱いが難しい。クレームにも繋がりやすいから、そこには細心の注意を払う。
「リカーBOSS」でいうなら、2011年から物流には自ら取り組んではいた。しかし、2年前に、その物流センターを建て替え、強化していて、2024年末にも、新しい物流センターを構える。特に、「スマートパスプレミアム」のお客様を筆頭に、受注して即出荷できるような環境を徹底している。地域により異なる部分もあるだろうが、翌日には届くように心掛けている。
モールの個性に着目しつつ継続顧客に留意する
倉庫の新設は、定着した顧客満足度をベースに、インフラを拡大することが狙いにある。彼らとしては、新設する度、それに合わせて商品のラインナップを増やしていく。そうすれば、お客様に満足してもらえる母数が増えるので、売上が向上するというわけだ。
上位二社の話を見ると、何気なく、モールにおける方程式が見えてくるのではないだろうか。
クーポンの発行額が日用品と相性がよく、これが、auの通信を基盤とする継続利用をしているお客様を取り込むのに奏功している。だから、通信の利用が進むほど、au PAY マーケットで日用品を購入する傾向が強くなって、ともにそれはお互いにとって親和性高く、共存することにメリットが生まれやすい。
なるほどと思った。語弊を恐れず言えば、ECだけの売り上げを伸ばすのではない。今の通信のARPUを上げるということの中で、必要なECの活用とは何かを考えて、事業をしている。クーポンの発行額はKDDIが意図してやったものではなさそうだが、企業の特性から自然とデータを重んじるうち、それが一番、相性が良い仕掛けのあり方になったということだろう。
勿論、彼らは他のモールにも出店してはいるだろう。けれど、そことは違う個性をau PAY マーケットに見出し、いち早く結果に繋げたわけである。お酒が上位に来る理由もお分かりいただけたのではないか。
今日はこの辺で。