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株主総会潜入!LINEヤフー「川邊さん最近の行動、他人事に感じます」

「川邊さん。会長になることが決まってからの行動、SNSの投稿然り、少し他人事すぎませんか?」。鋭い。記者会見とは違った視点で、この場でしか聞けない本音のやり取り。それを見ることができるのが株主総会だ。経営陣を刷新して、新しい道を歩むZホールディングスの株主総会に参加した。(勿論、僕は株主として)。

・川邊さん、会長になる事が決まってから他人事じゃない?

 株主からの指摘は大事。また、記者が言うような質問ではない。だから案外、経営陣の本音がチラリと見える。まさに冒頭発言は、本当に株主総会で出ていた言葉で、僕自身もうなづいてしまった一言である。それまで、全体を引っ張っていたのは川邊健太郎さんで、この株主総会で会長に就任した。

 確かに、ここ2年のこの会社は激動。LINEとの合併だけではなく、ZOZOやアスクルなど、かなり色々な会社を飲み込んだ。ただ、その割にはシナジーが出せていないという指摘もあったわけだ。それを牽引してきたのが川邊さん。なのに最近のTwitterの投稿内容を見ると、そこから解放されたかのような、自由な自分の若い時代の振り返りであったりする。

 これに対して、議長として壇上に立った社長 の出澤 剛さんは「川邊さんには外部との調整で力を発揮するよう動いてもらっているので、そのように見えるかもしれない」と。(ブランディングの意味合いで書いている部分もあり)他人事で書いているものではないと暗に示した。川邊さんはコメントしなかったが、それを真摯に受け止める姿勢を、見せても良かったような気がしている。

・「選択と集中」を終始、繰り返す

 現状を見れば、激しく株価が低迷している。そのことを「忸怩たる思い」と言って、株主にお詫びする出澤さん。新生「LINEヤフー株式会社」の船出により、どう変わっていくというのだろう。

 出澤さんはこの席上、「選択と集中」という言葉をしきりに話す。一つの会社になることで、同じ目標のもと、生産性高く、迅速に利益を上げる構造を作り上げることを約束した。時間を要していたLINEとヤフーのID連携を年内に実現。来年にかけてPayPayのIDを連携させていき、今度こそグループシナジーを出すとしている。

 それに対しても「以前も合併して、変わると言われただけで変わらなかった。それは根拠となる数字を一緒に示していく事が大事です。その確認ができるようにすることで、皆が納得するんじゃないですか。それを考慮して発言し、株主に希望を持たせて欲しい」。そんな株主の指摘もあり、これにも納得。

 確かに、これまでは経済圏構想だった。つまり、企業を買収した分だけ、顧客が循環して、ロイヤルカスタマーが醸成される。その一点張りだった。ゆえに、ざっくりした指標となったわけだ。それだけに、新たな体制で横断的に何をKPI にして、どこに強みがあるシナジーなのか。その数値化を行い、再定義する必要性があるだろう。

・LINEのプロダクトの未来に残る為の変容

 今後のあり方で、なるほどと思ったのは、LINEのプロダクトに関しての言及である。恐らく若い株主と思われるライトな質問。それは「最近、友達とのやりとりはLINEではなくインスタのDMになってきています」と説明。必ずしもトークアプリとして未来永劫、LINEは今の地位にあるとは限らないという指摘だった。

 それに対して答えたのが、新たに代表取締役GCPOに就任した慎ジュンホさん。彼は、LINEを立ち上げた人。未来を見据えてLINEの変容について、インスタグラムやTikTokを意識していることを正直に、口にした。

 彼の分析からすれば、今ユーザーに求められ始めているのは、「トークするだけ」のアプリではないということだ。つまり、アカウント主の表現(例えば動画など)が伴ってこそ、SNSの価値が発揮される。それらの表現に付随してDM然りコミュニケーションの土台が生まれるからだ。

 それが標準になりつつある中で、LINEもそれを当然に実装していかなければならない。だからこそLINE VOOM(動画)事業を育てたいと考えていると話してくれた。

 彼らがLINE VOOMを推す理由はそこにあるのか。企業側も表現を「込み」で考えた方がいい。「公式アカウント」を持っていて、そのテキストの内容で一喜一憂するのでは足らないということである。

・テクノロジーの仮説と検証を迅速に

 海外展開に対しても問いが出た。これについては、LINEがタイと台湾で浸透していることを強調。その際に、ペイメントなどで更に生活に密着したいと説明しており、ハッとした。

 ZHDがPayPayとLINE Payの決済手段の両方を残すのは、ここが理由かと。海外展開の上で、トークアプリで浸透。そこからスーパーアプリ的な位置付けで決済しかり様々な事業に広げていく。その構想は、会社として海外進出に繋げていく上で大事な手段なのだろう。

 それともう一つ、出澤さんが強調したのは「AIテックカンパニー」としての位置付け。LINEやヤフー、PayPayなどに絡むエンジニアがいる。そのことを強みに迅速に新しいデジタルリソースを生み出し、事業の可能性を広げていきたいと話した。

 出澤さんの発言は、僕が以前のLINEに抱いた印象に近付いているように思った。多くの事業を仮説と検証を早いサイクルで行って挑戦をしていた。正直、LINEの発表会は取材していてもワクワクさせられるものだった。そういう会社に変わっていくのだろうか。

・ヤフーの影は薄くモバイル起点の革新か?

 当然ながら、chatGPTに関しての質問も出ていて、これもLINEになぞらえて説明していた。LINE CLOVAでコミュニケーションの自動化を図るべく、AIを活用していると。その延長上にchatGPTを絡める。そうすれば、相性の良いサービス向上を果たせるというのである。

 ここまでの話を見ていただくとわかるだろうが、語弊を恐れず言えば「ヤフー」側の存在感は薄れている。それにともなって、ECの話題も出ない。ECという手段やYahooが提供してきた事がコモディティ化したという事だろうか。悪く言えば、古くなりつつあるわけで、先進的な要素を取り入れながら、小売そのものも見直す時代なのかもしれない。

  ここ5年はモバイルが主軸だから、LINEを軸に革新が生まれるかどうか。株主総会ならではの直球な質問もあり、だからこそ、改めて見えてきた部分もある。解答の一つ一つを見るにまだ迷っている印象も感じた。

 「自信なさげで、語尾がはっきりしない。シャキッと自信満々に話して、明るい未来を描けるようにしてください」という株主の声も。苦笑いする出澤さんではあったが、それも愛ゆえの発言。これも株主総会の魅力の一つ。数年後、彼らがその愛に応えて、明るく未来を語れる日が来る事を切に祈りたい。

 今日はこの辺で。

 

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