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DX の活かし方 データを活かした戦略でトランスコスモスが新たな強みを手に入れた理由

 昨今、DXという言葉が浸透している。けれど、使いこなしているのかどうかは疑問だ。DXをどう捉え、活用していけばいいのか。トランスコスモスの常務執行役員 所年雄さんと話していて、そのヒントを得た。以前、顧客の声の対処だけではなく、そのうち、会社にとって必要な声を取り入れることが大事と話していた。彼らはまさにコールセンターの老舗でありながら、DXを味方に、事業の幅を広げたのである。

DXには2種類ある

1.小売り以外でも必要なDX

 最近、DXに取り組んでも、もうまくいかないという企業が少なくない。そう僕が、所さんに問いかけると、こう答えた。「それは武器を持たずに丸腰で、戦闘に行くような戦い方をしているからではないでしょうか」。この言葉の意図を説明する上で、DXには2つタイプがある事を教わった。「その両方が実践できているか」。彼がいうには、それが大事なのだ。

 「DXと言っても、そこには『モード1』『モード2』があるのです」と。

 『モード1』『モード2』??なんですか?それ。

 それはAWSなどが結構、前から言っている表現で、早く『モード2』に行かねばならぬと彼らも言っているとか。しかし、そこから何年も経つけど、それが具現化できている企業は少ないと述べる。

 例えば、僕らがよく耳にする「DX」は小売に関する部分である。それは「売上向上」に直結するもので、その文脈で説明するなら『モード2』。企業もまた、それが業績に繋がるものだから、それを率先して取り入れようとする。けれど、実はその前に、やるべき『モード1』がある。小売に限った話ではなく、企業が次のステージに行く上で大事な要素だと説く。

2.『モード1』とは社内のデジタル化

 さて、『モード1』というのは、何か。一言で言えば、社内のデジタル化である。

 『モダン』システムへの移行を意味すると。モダンシステムなどというと、難しそうだが、そこを紐解くには『レガシーシステム』を考えるとわかりやすい。

 つまり以前であれば、職人肌でそこに打ち込むことができれば、あとは分業でなんとか乗り切れたわけである。ところが、デジタルが入ってくると、それを相互に繋げて判断することが大事になってきている。

 確かに言われてみれば、先日、取材した「グッディ」という会社がそうだった。

 要は、まずは社員そのもののデータ分析に重きを置き、全員のやることをデータ上で可視化したわけである。それまでは持ち場での仕事を重視し、その為、紙ベースでの報告に終始にしていたわけだ。ところが、クラウド上にデータのありかを用意して、日常の業務を数値化して、ダイレクトにそこで集約。紙などの資料作成に時間をかけるのではなく、皆で同じ数字を見て判断し、建設的な議論へと発展させていったのである。

関連記事:“DX”が社員を変えて会社を変えた グッディが掴んだ成功への順序 その舞台裏

 まさにその部分である。これからの時代を考えると、そのデータの分析ができない限りは、アイデアが生まれてこないだろうと説く。それらが『モード1』であり、社内のデジタル化を推進し、今にふさわしい働き方を推進していく発想である。

3.『モード2』は売上拡大

 それに対して『モード2』は、小売などにおける顧客データをもとに、分析して売り上げ向上に寄与する。そこでは『モード1』で培ったデータに基づく分析力で、仮説を立て、検証することが、欠かせないのだ。

 だから、デジタル化を社内に推進し、社員がデータ分析できなければ、いけない。そうでなければ、本来、小売においては『モード2』の最大化はできない。実際、多くの企業はその意味で『モード0.5』で『モード2』をやっている感覚だと所さん。なるほど。

 『モード1』が身についていれば「顧客の要求はここにあるのでは?」と数字から仮説を立てられるようになる。そこを突き詰めていくと業務改善に繋がるから、その成果は最大化される。モード1を踏まえたモード2の大きな意義は、その数字は経営指標に基づくから、ビジネスモデルの転換すら可能にする事にある。

 時代を読みつつ、これまでの組織の形態にとらわれず、新しい可能性にチャレンジできる。それが『モード2』だが、『モード1』の分析力がなければ導き出せない。

トランスコスモスは何をチェンジしたのか

1.レガシーシステムからモダンシステムへ

 経営に直結する数字を分析することは、全体で物事を俯瞰するということである。だから、企業のボトルネックに気づく事ができる。部分最適にとらわれず、全体最適を意識するからだ。

 そこに対処していくことで、会社全体の課題を解決していく術を身につけられるというわけである。その意味で言うと、トランスコスモスはそれを外部の企業に対して、行なってきた。いつしか、課題を可視化して問題提起を行い、解決へと導くスタイルへと変わってきたのは、まさに『モード1』の考え方を浸透させてきたからだ。

 故に、コールセンター業務に留まらない動きをしている。だから、今の会社のテーマは『People&tech』。コールセンターでありながら「デジタルリソースを身につけよ」と社内で徹底されている。その上で、カスタマーサポートに寄せられる人の今を見失うなと。

 もしも、これが旧時代の捉え方(『レガシーシステム』)であれば、そのコールセンターの業績だけで一喜一憂していたに、違いない。コールセンターは根管部分で勿論、業績を伸ばすのは当然の話だ。

2.コールセンターの業務に固執しない

 そこからさらに彼らは踏み込む。デジタルを使って、お客様のデータを洗い出せば、外注先の企業の課題解決に寄与できるのではないかと考えたのである。コールセンターでのお客様の声はデータとして蓄積できる。

 そこで社員がデータを分析することができれば、その貢献の中身はより幅を持った濃厚なものに変わってくるわけである。まさに『People&tech』である。

 例えば、コールセンターでとある商品に関しての声をデータにして、分析してみた。するとその商品の“ある特定部分”に対しての声が多い事に気づいた。だから、彼らはその部分の素材を改善していくことをその会社に提案したのである。

 それは、現場の努力の甲斐もあって、その会社での製造工程を見直すに至った。つまり、コールセンターの声が会社全体の業務の中身を変貌させたというわけである。いわば、その商品の該当素材をブラッシュアップすることで、品質と合わせて、ブランド価値を向上させた。

 だから、逆にコールセンターへの問い合わせが減ったというわけだ。つまり、会社の業務の中身すら変えてしまったのである。これは、お客様の発言をそのまま、ルーチンワークとして処理していたらありえない話なのである。

3.VOCはDXの価値を重んじる中でブラッシュアップされた

 まさにVOC(顧客の声)を最大化する強みを活かして、企業の課題解決を果たしたわけである。

 だから、所さんは「思えば、不思議な会社です」と笑う。

 「我々はコールセンターで生計を立てている会社です。そうでありながら、相手によっては『電話をやめましょう』とプレゼンしているのですから」と。

 その言葉が意図するところは何か。つまり、集まるデータを活かしてこそ、外注先の企業に貢献できる度合いが大きい。そう考えている。だから、それこそが彼らにとって粗利の大きな付加価値の高いサービスになるとしていて、業績を伸ばす要因になっている。

 だから、コミュニケーションという軸を押さえながら、LINEやチャットなど、ノンボイスのサービスなども取り入れつつ、その会話の中身でビジネスをしている。

 改めて、デジタルとは何か。それがある事で顧客と向き合い、その情報を集約しやすいという事。問い合わせを100個受けたとして、それを一件一件、フォローしながら何に気づくか。適切にその企業にとってのボトルネックを拾い上げていける、分析力こそが、企業の伸び代だというのである。だから発想的には「モード1」がなければならないと説く。

4.量よりも解像度を上げる

 その上で、所さんは『量ではなく、解像度を上げる』という表現をしている。全部に目を向けるのはレガシーシステム。そうではなく、「モダンシステム」では、何を拾い上げる事が、その企業の価値を底上げするのか。そこを考える。それを解像度を高める真意だ。

 でも、その解像度は量をとりにいかないと、見えてこない。だから、繰り返すが、彼らはコールセンターを含めて、チャットなど、あらゆるお客様のコミュニケーションに触れて、その絶対数をとりに行っている。

 彼らが業績を伸ばし続けるその理由は『モード1』というところにある。デジタル武装をして見ると、何気ないその業務に、別の価値が生まれる可能性がある。まさに、売上に直結する『モード2』はその知見を持って、気づく力を備えてこそ、最大化するのである。

 だから、最初の言葉に戻る。肝心要の武器を持たずに、取り組んではいないだろうかと。大事なのは、社員側の意識の改革。でも、そこに自然と向かわせるためには、デジタルが果たす本当の意義を考えなければならない。皆さんの企業は果たして、DXを本当に使いこなせているだろうか。

 今日はこの辺で。

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