人は皆、誰かの役に立てる スキルを流通させて革命を起こす タイムチケット の 野望
ひとはみな、誰かの役に立てる。後段で話すが、この「誰か」というのがミソである。どんな人も各々が持つ才能で、実は誰かしらの為になれるのだけど、それに気づいていないことが多い。だからこそ、革命なのだ。新しい“はたらく”を提供する タイムチケット代表取締役 各務正人さんに話を聞いたのだ。
タイムチケット の気になる内容
1.今までの“はたらく”とは違うスキルの活用
改めて、多くはサラリーマンとして働く。企業って、改めて考えると、掲げる共通の目的に社員が合わせてもらうことで、まとまったお金を生み出す生産性の高い手段だ。が、実はその一方で、その中の一人一人の才能が埋没している可能性も否定できない。そこを生かそうというのが今から説明する「TIME TICKET」サービスの本質である。また、それらは個々の話であり、副業も認められる世の中になってきているから、時代のニーズにも応えている。
そんな風にして、彼らの手掛ける「TIME TICKET」はスキル(ジョブ)単位で人からの依頼を受ける。安くて500円、高いものでは40万円といった具合。価値に応じて、お金を支払う。今までの就職という概念とは違う発想である。それと同時に、モノではなく、才能を流通させるプラットフォームである。もはや“はたらく”に見えない。
2.スキルの中身は
イメージしやすいスキルで言えば、あなたを可愛らしく、撮影しますよといった具合だ。普段は別の仕事をしていても、その才能だけ切り離して、ニーズに応えるわけである。ビジネスのノウハウを教えるというレベルのものであれば、それなりに高くなる。
しかし、単純に、女子大生が一緒に話してくれるだけ、というようなものもある。その女子大生も必ずしも身なりがきれいだというわけではないから、面白い。つまり、話の盛り上げが上手な芸人勝りの女子大生もいる。それも例えば、最近、依頼者の気持ちが落ち込み気味だというときには、大きな価値となる。つまり、人によって、何が価値になるかなんて、分からないのだ。そこに事業として可能性を感じているわけだ。
だから、正当に、その個々の人にとって価値があるものだったのかは、レビューで判断できる。不思議な話でレビュー数が多い人ほど、不思議と値段が高く、成長も早い。これは、各務さん自身も話していたことだが、例えば、「犬の散歩をお願い」なんてことがあるかもしれない。しかし、その犬の散歩しかり、レビューが集まる人には、それなりの差別化要因を各々見つけて、動いているというわけである。
そもそも「キャリコネ」で“はたらく”を変えてきた
1,キャリコネで転職が変わった
もともと、各務さんは以前から「キャリコネ」というサービスを手がけている。それは、企業の口コミサイト。以前、勤めていた会社の感想を口コミする事で、それがその会社に転職しようとする人の参考になる。その視点を持ち込むことで、転職したい人の集まりを生み出し、求人マーケットのプラットフォーマーとなったわけである。
そこから、「キャリコネ転職」など、企業の採用活用に必要な求人サイトを運営するなどして、収益を得るに至る。これが深いのは別に求人マーケットに広告を出さずに、ある程度、集客できている点なのである。
だから、ハッとさせられるのは、ネットという物の本質である。ある意味、人と人とで両方に利点があるメディアを生み出せば、極論、広告すらいらないということになる。
だから、彼らはキャリコネでそれを生み出したおかげで、生産性が高く、マネタイズできて、数ある求人系の企業の中で、その事業が伸ばせたのだ。各務さんは、それらを運営するグローバルウェイの会長なのである。ただ、その事業は主には他のメンバーに任せて、今は先ほど触れた「タイムチケット」への成長のために打ち込んでいる。
2,実はもっと小さな単位で人の価値を活かせる
彼が最初に思ったのは、いくら「キャリコネ」が受け入れられていると言っても、所詮は、企業の口コミを書き込む側に、読者への想いはないということ。ただ単純に、その口コミを書き込むだけである。
だが、ここで視点を変えてみる。もしも、それらの書き込む人が具体的な誰かを想定したら、どうだろうと。その恩恵を受ける側は、普通に、それを価値と考え、お金を払うのではないか。そう着想したわけだ。何が言いたいかと言うと、「相手を明確にイメージするだけで、その書き込む側の姿勢は変わる」ということ。
例えば、会社のことをその人のために親身に伝えたり、面接の突破法などを伝授することだって、考えられる。ここが相当、大事な部分である。つまり、書き込む側はその会社に勤めていたという経験だけで、対価を得られるだけのポテンシャルを持っているということなのだ。その個々人の才能の有無に関係なく、各々に人のためになれる要素があるという事なのである。
3.タイムチケットにたどり着く
極論、特に何か才能に秀でた特別な人でなくても、人の役に立てるのである。経験や、その人自身がやってきた行動が時に、誰かのためになることだってあるのだ。それを思い浮かべた時に、各務さんは「タイムチケット」というサービスを発見した。
それは、人々の才能を披露し、それを求める人とを引き合わせをするというもの。何もそこにいる人たちは、インフルエンサーなどと言われるような人に限った話ではない。ごく普通の人が自分の立場を生かして、マネタイズする姿であったのだ。ただ、当時、まだタイムチケットは小さなレベルの会社。その着想は素晴らしいかった。だが、スケールはしていなかった。だから、彼はその会社をグローバルウェイの傘下に置く決意をする。
そもそも対面を軸にしていて、そのサービス内容が限定的。まさに、キャリコネがそうしてきたように、ウェブ上で完結する仕組みを構築した。これにより、場所も取らず、実際に会わずして、必要なスキルに巡り合えて、伸び代が見えてきた。ただ、サービスとしてはまだまだ未完成。今はまずシステムに投資を行って、UI UXの向上に努めているという。あわせて、スキルのカテゴリーごと、広告をかけて、人々にサービスの認知をしてもらい、拡大している最中である。
思えば、多様性に憧れていた
1,海外での経験で築いた多様性を重んじる文化
彼自身、今でこそ、このように会社を経営するまでになったが、学生時代は、挫折の連続。これではダメだと、奮起して海外留学した。そこでの経験が不思議と今の事業の礎になっている。
日本は、何をしようにも目立つと、出る杭は打たれる風でもあったし、頑張る人を後押しする文化があまり感じられなかったという。けれど、海外では違かったのだ。例えば、海外では色々な人種が存在する。だから、年齢性別に関係なく、平等で等しく、環境が与えられるわけだ。
頑張る意思があるものは、その主義主張を応援し、皆で、高めあうのである。その多様性を受け入れる姿勢に、彼は刺激を受けたわけである。
2,これまでないマーケットゆえに確立すれば参入障壁は高い
だから、彼自身、こういう「タイムチケット」への意欲に駆り立てられるのかもしれない。日本はそういう才能に対しても評価が疎い。そこに埋没されるくらいなら、これを通じて、発揮すればいいと。
一方で、その日本人の考え方や文化からして、これまでにはない視点である。ここに経営者目線がチラリ。一度、それが定着すれば、参入障壁は高くなる。ゆえに、他の企業がそう簡単に参入ができるものではない。だから、この産業で覇権を握れる。自ら資金を投入してまで、この事業を成功させる決意を見せる。
当初、転職に絡んで“はたらく”を変えてきた彼。その“はたらく”単位を今度はスキルにまで落とし込むわけだ。それは、不思議と今までやっていることと、繋がっているから面白い。描く未来は、彼が意図した多様性を受け入れる、海外留学の時に魅力を感じた世界である。
人は何かしらで誰かの役に立てる
1,各務さん自身が自ら行動で示す
いやいや、そんなスキルなんて、一部の人だけでしょ、という人もいる。だけど、僕が今回、一番、気づきを得たのは、その部分にからんでの話で、各務さんがやっていることである。そもそも、一人一人のスキルの発揮に欠かせないのは、何気ない小さな一歩を踏み出すことなのだ。それは、先ほどの「キャリコネ」でも話した通りだ。とある会社に勤めているという経験だけでも、それが他人の価値になるのだから。
だから、何よりそれを地でいく各務さん。実は、彼は最近、自分でYouTubeのチャンネルを始めたという。彼のような経営者の立場で、あえてそのようなことをする必要もない。けれど、せっせと毎日あげているのである。それこそが、この議論の本質である。それこそ、自分で全部、動画制作のソフトを購入。仕事が終わってからの深夜の時間を使って自ら撮影し、編集してアップロードしているのである。
2.一人の役に立てれば、まずはそれでいい
事業への姿勢を感じさせるものなのだ。YouTubeというだけで受け入れられるだろうか、と身構える。けれど、彼はその取り組みに対してあっさりこう言う。人は何かしらに悩んでいたりするから、それに応えるだけで価値はあると。
例えば、「キャリコネ」で寄せられる悩みの中には「将来が不安」などといった漠然的なものも少なくない。だったら、それを彼の今までの生き方から助言することはできるだろうと。少なからず、それで一人の悩みには応えていることになる。TIME TICKETと考え方は同じことですよねと。それでいいのだと語るわけである。始めて1ヶ月ほどでチャンネル登録者数も1000人を数えるまでになった。
ここが「タイムチケット」の考え方に通じる本質ではないかと思う。十人十色で生き方も様々だから、自分の思いがけない要素が人にとっての価値となる。その延長上にこのサービスで、意気揚々と人生を謳歌する利用者の姿があるわけである。
中にはその「タイムチケット」の利用で4000万円以上、稼ぐ人もいなくはない。いつしかその人はそれで会社を立ち上げるに至ったという。それでいいのだ。もっと違った“はたらく”があるはずだ。
3.人はみな、誰かしらの役に立てる
つまり、冒頭に、僕が思い浮かべた言葉につながる。
人はみな、「誰か」の役に立てる。
社員にもいうのだという。「才能を発掘する会社なのだから、自分もまずその才能を信じればいい。誰か一人を喜ばせる価値は持っている。まずはそれを思いうかべて、自ら行動すればいいのです」と。そうだ、まさにそうかもしれない。全てに受け入れられようとするから見えてこない。一見、誰も欲しがらないようなものでも、欲しがる人はいる。それがマネタイズされていくことの価値であり、それがタイムチケットの本質である。
就職、転職する会社選びよりも、これから大事なことかもしれない。
そんなので儲かるの?そんなことしていてどうするの?なんて、ネガティブな言葉で片付けるのはもうやめよう。そこから、日本の常識が変わる。一人ひとりの持つスキルを大事にしよう。ここから、僕らが考えもしなかった「はたらく」が始まる。
今日はこの辺で。