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「スマリ」が取り組む「返品」や「商品受取」の変革

 商品の取引の仕方が多様化するほど、僕らの身の回りのインフラも変わっていくのだろう。その意味でもしかしたら「返品」や「商品受取」の有り様も変わっていくのかもしれない。僕が注目したのは、三菱商事が提案する「SMARI(スマリ)」。例えば、返品に関しても今までなら、各々自分でお客様がやっていた。けれど、このサービスが提唱しているのは、コンビニに行って常設された機械を通じて、わずか数分で「返品」作業を済ませられる、新しい生活スタイルなのである。

商品の取引の多様化は街のインフラすらも変えていく

1.簡単に返品ができてしまう

 例えば、最近、「ロコンド」という靴を販売する通販サイトが成長中である。そのコンセプトとして受け入れられているのは「自宅で試着、気軽に返品」を掲げているから。だけど、彼らにも限界があって、返品しやすくするというインフラは変えられない。「スマリ」がコンビニなどを巻き込んで、新しいインフラを作るわけである。それはお客様の返品の負担を軽減していくわけで、結果、それらのサービスの利便性向上に寄与するわけである。

 では、その軽減の中身は?ということになる。ロコンドで例えるなら、その通販サイト内で「スマリ」のQRコードが支給される。お客様はそのQRコードを、下記のようなコンビニなどで設置されるスマリの専用機にかざすだけで良い。

2.スマリはこれからの商取引に必要なインフラになるのか

 貼り付け用ラベルが印刷されて出てくるから、予め箱に返品商品を詰めておいたものにそれをペタッ。スマリの機械が開閉式のポストのようになっているので、そのまま、中に入れてしまえば返品完了である。

 たまたま今は「ロコンド」で説明しただけのことで、このサービスが、BEENOSグループが提供する「ブランディア」というサイトでも極めて親和性が高い。同サイトでは、不要になったブランド品を段ボールに詰めて送るだけで、その中古品の査定をしてくれる、というサービスを実施。その着眼点も今までにないもので、だからこそ、ここでも同じ形でこのリソースを使えば、負担を軽減できる。

 変な話だが、取引の多様化によってインフラも変わっていく。なぜならそこにお客様がいて、できるだけその利便性を向上させたいという、サービス提供側の意向があるからだ。

 そこに目をつけ、「発送」という軸でプラットフォームになろうと考えたのが、三菱商事であり、まさにそれこそが、新時代。多様化する取引が結果、街のインフラを変えていくわけである。

システム側で連携させれば配送業者の負担は軽減できる

1.配送側の負担もシステムで解決できる

 スマリに関わるスタッフはここに止まらない。ここで話が終わりかと思いきや、お客様の利便性から考えたサービスだけではなく、宅配業者側の負担を軽減する視点でも今、目下新しいシステムを作り出そうとしている。具体的には、宅配ボックスに絡むところ。

 企画段階ながら教えてくれたが、それを理解する上では、そもそも宅配ボックスの流れを見るとわかりやすい。

 通常のパターンで言えば、まず配送物を宅配ボックスに入れて、配送業者は自分でその暗証番号を決める。その後、配送業者でその番号を紙に記載して、該当するお客様のポストに投げ込み、お客様に知らせて、完結させる。この手順でも分かる通り、配送業者の手間が相当かかっている。右肩上がりで、日々扱う件数が増える中では、少しでもそこを生産性を高くしたいと考えるのは自然だろう。

2.お客様と配送業者をデータで繋げてアナログの行動をなくす

 それを解決するために「スマリ」のスタッフが考えたのは、宅配ボックスに「QRコード」をシールで貼り付ける、ただそれだけで良いというアイデアなのだ。

配送業者は個々の宅配ボックスで割り当てられたQRコードを、それぞれのボックスで読み取ると、その宅配ボックスに対応した暗証番号がスマホに届く。だから、配送事業者はそこで言われるがまま、その番号を入れて宅配ボックスを閉じて鍵をかける。ただそれだけだ。

 これができるのは、バックヤードでこの暗証番号の部分とお客様の購買データが紐づくように設計されて、一括で管理されているから。あとは、配送事業者とお客様の各々デバイスを活用して、共通化させて情報を伝えれば、その作業工程は一気に減少するということなのである。

 お客様との取引の多様化と、やり取りの仕方の変化に関連して、そこでデータとネットの親和性を活かした、三菱商事のような利便性を高める動きは今後さらに拡大していくはずだ。すると、それに伴い、そのインフラ自体が変化をもたらす。デジタル化と商売の多様化は、僕らの身の回りのインフラを大きく変えていく可能性を秘めている。

 今日はこの辺で。

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