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“DX”推進で意識すべきは “ボトルネック”への理解

 改めて「ボトルネック」という言葉の意味を思う。2020年以降、コロナ禍でデジタルシフトが進んだ。思いがけず、売上を伸ばしたところも多く、今年くらいから積極的に投資をする企業が多い気がしている。その中にあって、チャレンジする姿勢を見せる企業も多い。その一方で、その中身が大事なのではないかと思って記事にした。

DX だと騒ぐ前に ボトルネック の大事さを想う

1.チャレンジしなきゃと焦らずに

 こういうご時世なので、金利も低く、比較的、業績も好調なら融資が得られやすい。そうすると、チャレンジへ駆り立てられる。変化著しい昨今にあって、その動きは正しい。チャレンジなしには時代の流れに乗ることすら難しいのは事実だが、その流れである。

 例えば、大企業で言うなら「うちはオムニチャネルをやっています」という言葉に繋がる。ところが、言うほど、簡単なことではない。それなりの投資をしないと意味をなさないことが多い。

2.社内を巻き込み確認しなきゃ

 何かシステムを導入すればパッと解決する。そんな風な気にさせられるが、実は違う。業務側と開発側の両方の力によって成立する泥臭いものであるそう。AMS取締役 古田俊雄さんは現場にいて、それを痛感したという。

 つまり、開発者側は現場を把握できていないことが多い。一方、業務側も開発についての知見がないことが少なくない。それが前提にありながら、オムニチャネルの本質は、縦割りの中では気づきづらい「顧客起点」でものが進む。だから、そこで交通整理をしてまとめることがいかに大変か。

 なおのこと、全体把握が難しい企業においては、業務側がそれを把握しきれない。

 実店舗、ネット通販、顧客データなどあらゆる要素を複合的に捉えないとならない。なのに、業務側が丁寧に把握できていない。それ故、易々と物事が解決するわけにもいかないのだ。根が深い問題である。

 だから、下記の写真のように例えば、開発側の意向を伝えるために、現場にモックを持って行ったりしていたというのだ。

3.DXありきで進めた時の罠

 昨今、みられる「DX」推進という考えは「オムニチャネル」ありきで突き進むことが多い。だから闇雲に投資をしてしまう。そうではなくて、まずは企業ごとに「ボトルネック」がどこにあるのかを考える。その上で、その課題に応える解決策がオムニチャネルにあるとわかって初めて、それが意味を成すのである。

 ちなみに「ボトルネック」とは、全体の作業工程のうち、処理能力や容量などが1番低い部分ということである。要は、部分最適にとらわれると、全体最適を見失う。だから、部署ごとの縦割りでは発見できないのであって、ボトルネックに対して答えを見出さないと、会社全体のプラスにならない。

関連記事:ネット通販を運営する 中小企業 での DX の進め方 逸見光次郎さんと考える

自分達にとって必要なことは何か

1.全体を慮って、指摘をする

 今の話はオムニチャネルに絡んでだけれど、それ以外のカテゴリーにおいてもそうだ。トランスコスモスの所年雄さんに話をしたところ、まさにそうだった。彼らで言えば、コールセンターがメイン業務だ。しかし、それをそのまま、請け負っているだけかといえば実はそうではない。

 例えば、とあるメーカーの製品に関しての問い合わせから生まれた。勿論、その商品自体に不備があるわけではない。しかし、コールセンターは常にお客様との接点を持っている。だから、実は少しの変化も見逃さない。一歩、踏み出し、そこでデータを分析することで、提供する側からは見えない気づきを与えたというのだ。

 お客様から寄せられる気になる点として、“ある特定部分”に関するものが多いことに彼らは気づいた。そこで、その部分の素材を改善していくことで、今より更に顧客満足度を高められるのではないか。そう指摘したのである。

 それは現場の努力の甲斐もあって、製造工程を見直すに至った。結果、その素材をブラッシュアップして、品質と合わせて、ブランド価値を向上させたのである。もしもコールセンターの対応件数だけ、みていたら、この核心は見えない。お客様の発言をそのまま、ルーチンワークとして処理していたらダメなのだ。

3.それは然るべき投資と変革なのか

 そういう視野が求められるのが今の時代だと所さん。

 だから、「サイトリニューアルをしたい」という話を寄せる企業もいる。けれど、その理由を聞くと、「サイト内の情報が少なく、サイト経由の流入ができていないから」というだけなのだ。たったそれだけの理由で、大掛かりなサイトリニューアルを検討してしまうのである。

 しかし「サイトの流入がない」のは、実は集客施策を徹底できていなかったりする。そこまで大規模に着手することなくともできることはある。もっと低コストでチャレンジできる業務設計をしてあげることに意味があるとするわけだ。そうすると、彼らはそれをベースにしてコンサルタントもするようになっていったのだという。

 この差はどこにあるのかと言えば、テクノロジーを通して、様々なデータに触れ、全体最適を考えて動けるようになるかどうか、という話である。つまりボトルネックはそこで見えてくる。

関連記事:DX の活かし方 データを活かした戦略でトランスコスモスが新たな強みを手に入れた理由

4.大は小を兼ねない

 売上が伸びて、それに応えようと投資を考えるわけだけど、「大は小を兼ねる」くらいの気持ちで大きく出てしまうことが多そうだ。極めて当たり前の話をしているけれど、上り調子の時にこそ、陥りがちな罠。

 そこに陥らないためにも、縦割り型で物事を見ることなく、 全体の設計図の中で、ここは改善ポイントなのではないかと図面を引き直してみること。なにより全員が全体を把握して、自分達の役割の最適化を図るべき時なのではないかと考える。

関連記事:“DX”が社員を変えて会社を変えた グッディが掴んだ成功への順序 その舞台裏

 DXという言葉が一人歩きして、飛びつきたくなる。けれど、そのような時代にあって、見るべきは自分達の足元なのではないか。やっぱそこでのキーワードは「ボトルネック」だと思うのだ。今一度、投資の前に業務フローを作り、見直ししてみることから始めるべきではないか。

 今日はこの辺で。

 

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