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楽天 三つ子の ビジネス の勝算は?EC と金融、ソフトウェアとその先 2021年第3四半期 決算

 「三つ子の ビジネス 」。楽天グループの会長兼社長の三木谷浩史さんがそう口にしたのが印象的だ。その中身は「eコマース」と「フィンテック」、「ソフトウェア」。 楽天 が先日、発表を行った「2021年12月期第三四半期決算」での発言である。会社全体の売上収益(2021年1月1日~2021年9月30日)に関して言うと、15.4%増の1兆2005億7400万となった。この数字を牽引しているのは、間違いなく前者2つ「eコマース」と「フィンテック」であろう。

ECはコロナ禍で伸びた上で、継続利用が後押ししている

1.ECはまず継続顧客が奏功

 eコマースを含む「インターネットサービス」セグメントにおける売上収益は7022億4800万円(YOY15.6%増)で、「フィンテック」セグメントにおける売上収益は4555億8900万円(YOY7.0%増)。現時点で投資を行いつつも、一定の成果を見ている事業である。そこを背景に三つ子のビジネスの三つ目、ソフトウェアへの投資に理解を求める格好だ。

 まず最初の三つ子の「eコマース」はコロナ禍でのネットシフトの恩恵を受け、楽天市場や楽天ファッションなどのショッピングECが前年同期比8.7%増で、その成長を維持していて、それを支えているのは、継続顧客の利用である。

 実際、Q3/2021での「楽天市場」での購入者のうち、Q2/2021から継続して購入しているユーザーの割合は75%にも上り、ここでの継続的な利用が彼らの成長を押し上げている。

2.伸び代のあるECは楽天がデジタルでリアルを取り込んだ数値

 かつ、ここで「eコマース」という定義は、三木谷さんもこの席上で話していたがインターネット通販に限るものではなく、多様化するECそのものを指している。だから、OMOなども意図していて、例えば楽天ファッションや楽天西友ネットスーパーなどと合わせたクロスユースを拡大させることで、それ自体が継続を生み出すサイクルとなって、先程、触れた継続の度合いをさらに高めて、アープ(ARPU)を上げ、基盤を盤石にするからである。

 こちら、不思議な話であるけど、Zホールディングスが決算発表で「物販系EC」が伸びていますという話をしているのとある意味、近い話をしていて、ここが経済圏の要になってくるのだろうと思う。ここは楽天は先見の明というか、早くからネット通販を強化して、そこに紐づけて金融と連携してきた事が生きていると思う。

 そういう視点で見てみると、そういえば、Zホールディングスはそれらを「PayPay」に集約するような話をしていたなという部分にたどり着くわけで、それに相当するのが楽天でいえば、「楽天カード」なわけである。

 話を戻して、楽天西友ネットスーパーもそういう多様化するECという観点で、そういうリアル的な要素を取り込んで、多様化するECに応えようというわけで、2021年度の国内EC流通総額で5兆円を達成させると強調するのは、それ所以である。いつも話すことだがいわゆるネット通販が伸びると言う意味ではないことをよく押さえておく必要がある。

 ちなみに、先日の東急と楽天のOMO施策もそうだし、リアルでの消費場面からいかにネットに誘導できるかと言う部分の指標も含めて彼らはこのマーケットに伸び代があるとしているわけだ。

 関連記事:楽天 東急 で OMO 始動 楽天ファッションで ポップアップストア に対しての両社の胸の内

経済圏を差別化要因に一気に伸びるカード

1.トリプル3を主張してエンジンをかけ始める理由

 三つ子のもう一つの稼ぎ頭、フィンテックは以前にもまして、その存在感を見せており、最近、楽天カードの穂坂 雅之さんが「トリプル3」を語る機会も増えていることでも明らかだ。

 コロナ禍にあって、楽天カード発行枚数は3〜4ヶ月で100万枚の発行と好調に推移している。そこに加えて、彼らは自信たっぷりに、これをアフターコロナでもこの勢いは継続すると見込んでいる理由として、他にはない要素として経済圏を持っているから。ポイントなどを通して、循環していくことのメリットを、最終的にはカード利用に繋げていけるのである。

 それもそのはず、これを見てもらうとわかるのだが、「楽天市場」での楽天カードに使用率である。

 これをECの文脈で考えれば、これまではネットの中で完結していたものが、楽天ネットスーパーなどリアルの場面にも接点を持ち、利用機会が拡大していくことを、カード利用などにつなげることができれば、そのまま、伸び代はカードが吸収できる、ということになる。だからこその強気なのであろうと思う。

 他のカード会社にない高い成長率を誇れる土壌ができているわけが理解できる。

2.楽天銀行の上場で資本を手厚く

 これに連動する形でそれらのカードが楽天銀行から引き出される形をとるから、またそこで相乗効果が生まれるわけである。

 これは三木谷さんも話していたことだけど、彼らがイーバンク銀行を買収した際には、数千億円だったその預金残高も今や数兆円レベルになってきているとしており、だからこそ、銀行として上場を目指すのは、そういう資本を手厚くするためのようでもある。より経済圏の起点である現金の部分を強化しようというわけである。

3.金融を活かすための経済圏の拡大

 そういう意味では経済圏の土台に金融を用意して、その成長を生み出すエンジンとして、eコマースがあって、だからそのクロスユースとユニークユーザー数、LTVを掛け合わせた独自の「メンバーシップバリュー」という基準を掲げて、そこに注力するわけだ。

 若干、コロナ禍で急成長を受けたその反動で若干、それにより戻しがあって、この基準に相当するメンバーシップバリューが減少傾向にある。

 だから、彼らにとってはその幅を広げて、楽天トータルでデイリーユースを促して、ここの価値を上げていこうというわけで、クロスユースの度合いを上げて、客単価を上げていく事が大事になってくる。それと同時に、外出が増える中で、楽天市場などが、購入こそされても、単価の部分で、どれだけコロナ前の状況を維持できるか、というのは会社全体を考える上でも、狭義のECでの成長を踏まえても、重要となるだろう。

モバイル事業をやる本音はソフトウェア

1.モバイル事業だけで儲けるわけではない

 そして、三つ子の中で前者2つは既に収益を作るメカニズムとしては出来上がりつつある中で、今コロナ禍の追い風の中で積極投資をしているのが、三つ目の「ソフトウェア」ということになる。ソフトウェアと聞くと何かと思うが、言うなれば、モバイル事業のことである。

 「モバイル」セグメントにおける売上収益は162,2億0800万円(YOY26.5%増)ではあるものの、モバイルにおける自社基地局設置等の先行投資が継続中で、セグメント損失は302,5億1900万円と未だ大きい。(前年同期は1506億8200万円の損失だったので減少はしている)

 これは以前の決算で、三木谷さんが話していることではあるけど、AWSのようなサービスの価値に着目していて、クラウド上にインフラを確立すれば、高収益なビジネスモデルを作れると考えてのことで、彼らはそれをモバイルでインフラ構築したいと考えているわけである。

2.モバイル上のクラウドインフラの構築を見ている

 だから、モバイル事業はそれ単体で収益を上げていくことはさる事ながら、モバイル環境そのものを完全仮想化で実現させて、その完全仮想化のメリットを強みにして、AWSのように、多くの企業に提供して、次なる成長をみようというわけである。

 思うに、楽天モバイルを通して、経済圏に必要なものはそのモバイル上に設計されるから、そこで成り立つソフトウェアはそこに親和性のあるものとなる。だから、彼らは海外において「楽天」経済圏を作ろうということよりも、日本の楽天経済圏で培った、経済上の必要なインフラをモバイル上に構築して、それを海外事業者に安価で使いやすいインフラとして、使ってもらおうとしているのではないか。

 楽天シンフォニーの可能性については、全貌が見えづらく、曖昧な部分も少なくはないけど、彼は株主総会などを含め、言うわけである。「eコマースやフィンテックの盛り上がりは先を見越して企業として投資して、挑戦してきたからこそ得られたものだ」と。だから、この投資もまずは、その過去の実績を通して、先を見越した投資が意味を持つ事を信頼してほしいという事なのだと思う。三木谷さんが見据える先の何かしらの光明が、eコマースやフィテックのように開花することを期待したい。

 今日はこの辺で。

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