在庫 回転率 で強み発揮 ピアリビング ネット通販がネット通販たる所以
今や「ネット通販で買うこと自体」はネット通販の付加価値ではなくなっている。では何?というと、僕は「お客様を把握して、物流を味方につける」ということなのだろうと思っている。わかっている店舗はもう動いている。ピアリビングは、防音マット・防音カーテン等の一部人気商品にて、「最短!365日発送サービス」を開始したのだ。僕はこの動きに注目した。
ピアリビングは防音という価値から小売を見出した
ピアリビングは、防音に関してのグッズを取り扱う専門通販サイトである。案外、防音に適したグッズはあるものの、それらの商品はバラバラの売り場であって「防音」という括りがありそうでない。そこで、防音に悩む人向けという括りでショッピング体験をもたらした。
商品自体ではなくニーズに着目して、それを自らの個性へと変えて提案したのは、まさにネット通販ならではの強みを生かした、ナイスな視点である。
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ただ、今回、彼らはそこからもう一歩踏み込んでいる。「最短!365日発送サービス」は、お客様が防音商品を注文後、当日(もしくは翌日)に発送が行われるというもので、年中無休で対応してくれる。これまで以上にスピーディーに商品が届けられるようになったというわけで、僕はこれもまた、ネット通販の付加価値を活かすものだと注目したわけだ。
そして、これからのネット通販のお店には強く意識しておきたいことでもある。
このサービスは 在庫 回転率 を伸ばし生産性を高める
どういうことか。これは同社の代表取締役 室水房子さんにも確認したのだが、商品を絞り込んで、このサービスを提供しているのである。つまり、ピアリビングの倉庫の在庫商品に対して成績をつけていて、その根拠は毎月「期末在庫金額」をつけて、「回転月数」を把握しているわけだ。
1ヶ月100万円売れている商品があるとして、その「期末在庫金額」が200万円であったら、回転月数は「2ヶ月」というわけです。そうやって倉庫の中に無駄な在庫を抱えないようにしているわけである。
これが大前提であり、その回転月数が早いものだけを選んで、それだけをこのサービスのラインナップに入れているわけである。すると、元々回転月数が早いものだから、売れて倉庫から無くなっていく率が高いわけで、それをメインにして、このサービスを当てはめれば、更に注文がそこに集中して、その回転率はよくなっていくというメカニズムである。
適量入荷し、適量出荷に繋げて、その回転率を上げれば、無駄な在庫がなくなりますからキャッシュが常に回っていることになるので、会社の経営状況はよくなるというわけで、単純に顧客満足度を高めるだけの視点ではないことがこのサービスにおける理解の上では大事だということだ。
やはり、商品を販売する上で一番のネックになるのは、残在庫である。ネット通販は倉庫を抱え、ある程度、その中で残在庫の状況を把握しやすい環境にある。
この残在庫の状況を的確に把握して、それらが大体「どのくらいの日数や月数で回転してるのか」を掴むことができれば、逆にどの商品をメインに倉庫に預けて、展開すればいいかと判断できるということになる。これを受注予測と連動させれば、どれだけ売れるかがわかるかと今倉庫にある量とが紐づいて、倉庫にあるのはいつも適量である、ということになる。
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これを販売に活かすのである。何を積極的に打ち出せばいいのか、仕掛け商品もどれにすればいいかが明確になっているから、おそらく「最短!365日発送サービス」をやったのだろうと予測がつくわけである。
かくして365日発送サービスは生まれる
それを室水さんに話したところ、やはりそうであった。「うちではよく出るものだけ絞り込んむことを意識して、それ以外のものの取り扱いをやめました。よく動くものを物流会社にあずけています。この物流倉庫を軸にして全店舗、海外も発送しています」とのこと。365日、、、、サービス名からして、あの物流会社を連想するが如何だろう。
実際のところ、新型コロナウィルス感染症の拡大に伴い、問い合わせ件数は増加した。確かに、テレワーク・在宅勤務の広がりや学校の休校など、⼈々の⽣活様式は⼤きく変化して、「騒⾳」という問題は実は隣り合わせにある。
ピアリビングでは⽇々騒⾳で悩む多くのお客様から相談が寄せられ、その中でおよそ半数を占める電話の問い合わせ件数は5,500件を超え、2019年と⽐較して約4.46倍と最も多い件数となったという。
ネットの付加価値は、潜在的なニーズに基づき、ネットで買えることはさることながら、そこに加えて、ネットを通してお客様を知り、そして必要な商品を知ることで、それを生産性高く運用していくことで発揮される。
ピアリビングはその両面から、このコロナ禍に悩む世の中で、躍進している。ヒットの裏にはこのアイデアを醸成し育てる情熱と在庫のような経営的目線を抑えた冷静さのバランスが大事だ。
今日はこの辺で。