蔦屋書店 のOMO 戦略 アプリ刷新で 彼らの文化を商品で表現する
蔦屋書店は単なる書店ではない。地域に密着し、そこでの文化を重んじることで、人との繋がりを作る。そして集会所のような場所となることを意図している。だから、各々の店のカラーを尊重。今度はネットを通して、それぞれのカラーをどこでも手に入れられるようにしていく。蔦屋書店のアプリの刷新は文化を重んじ、OMOで各々の店の文化を最大化させていく狙いであるようだ。
蔦屋書店 がOMOに着手する狙い
1.OMOとは
「OMO」は「Online Merges with Offline」の略称。ネットとリアルの掛け合わせのことである。要は、ネットを使ってリアルの価値を最大化させる動きなのだ。
それを考える上で、彼らの軸となっている事業を見てみよう。大きく分けて「レンタル販売」「イーコマース」「動画配信」の3つが存在する。つまり新しく刷新されたアプリ一つで、その三つを相互に利用できるというのがベースにある。
だから、会員の行動を全てアプリに集約させることに意味が出てきて、OMOもより、内容を持って、具現化させることができる。例えばTSUTAYA オンラインショッピングで、購入した商品。それが全国のTSUTAYAのどこでも受け取れるようになる。
つまり、そういう風にしてTSUTAYAのお店に来るきっかけができれば、DVDレンタルなども提案しやすくなるだろう。それを踏まえて、今度は、そのアプリを通してDVDレンタルとオンライン配信とを合わせて定額1000円プランで提案する。
正直言えば、これまでは各々のサービスがバラバラに機能していたということだろう。だからこそ、アプリを起点に全てを集約することで、自らの価値を最大化するわけである。これらの戦略を手のひらのTSUTAYAと呼んでいる。
2.各々の店舗のカルチャーを重んじる
特に、彼らの可能性が発揮されそうなのが、冒頭に話した部分である。蔦屋書店は地域に密着して各々文化の醸成をしている。とはいえ、今まで言えば、それがその地域にとどまっていたわけだ。
ところが、今回の刷新でアプリを起点に、通販があるから、地域を跨いだ交流が生まれる。つまり、そこで培われた文化は、TSUTAYA オンラインショッピングの中で商品と共に伝えられることになる。だから、今までやってきた店舗の努力が報われるはずなのである。
例えば、銀座蔦屋書店でしか買えない商品もここでは販売されるようになる。
一つ挙げると「peti peto」。
折り鶴の飾り物のように思えるがメガネ拭きである。折り鶴の形状になるようにプリーツ加工をしているのだ。この形状が常に維持されるので、折り紙のように見える。どんなにグチャグジャっとしても戻って、それは手品みたいだ。
3.店に世界観があるからオリジナル商品も増えていく
この商品の仕入れに関わったのがCCCアートラボ 奈須彩夏さん。この元となる商品も存在していたが、彼女が所属する銀座の蔦屋書店のテーマに沿って、オリジナルの柄を作成した。
他にも、アーティストと連携して作り上げたマスクなど、書店らしからぬアーティスティックな商品が多い。とは言え、独自商品はそれなりのロットで作らなければならない。店として在庫面などそのリスクは、気にならないのか。
定番商品がコンスタントに売れているので、そこからオリジナル商品を作る。実績に基づき、独自商品に挑戦できている。また、その挑戦をしていくほど、来店客が増えることとなり、結果、定番商品の回転率が上がるのだとか。
お分かりいただけるだろうか。本を売る場所ではなく、本などの世界観を店に再現することで価値を生むのが蔦屋書店なのである。また、それが特に地域性を持つと冒頭のような話になる。
OMO で 蔦屋書店 の文化がもっと醸成
1.商品が文化を作り文化が顧客を生む
これらオリジナル商品はそれぞれの店舗の文化を背負ったものだと言える。だから、今回のアプリ刷新によりTSUTAYAオンラインショップで購入でき、近所のTSUTAYAで「店舗受け取り」できるようになることに意味があるわけだ。その地方に行かずとも、全国の蔦屋書店の“文化”を買えるようになったと考えて良い。
それは各地の蔦屋書店の文化を大切にしようとする姿勢にも直結する。
2.函館 蔦屋書店の地域密着っぷり
下はTSUTAYAの想いに通じる一枚の写真。文化を大事にするというのは、創業時代からなのである。モノを売り込むのではない。自然にモノの必要性を、文化の魅力になぞらえて感じさせる姿勢なのである。
取締役の田邊雄志さんは「オリジナル商品で売れたものは、関連企業に対しても粗利に応じた一定額をお支払いするようにしています。店舗やそこに関連する企業の頑張りが反映されるようにしています」と述べており、各々の文化を重んじる姿を感じさせた。
蔦屋書店が培ってきたそれぞれの店舗の文化に対する姿勢は、ネットの力により、全国へと羽ばたく。そして、ネットで買えるようになるのだ。それが進めば、各々の店舗での文化の醸成やそこで作られる商品開発は触発されることになる。
それぞれの店舗が自らの企画と文化への想いに誇りを持てば、それこそ、新しい才能の発掘にも力を入れることになる。そのクオリティで人を魅了した後は、その魅了した作家を重んじて、きちんとマネタイズしていくわけである。これこそ、ネットができる革命で、それぞれのリアルのお店を活かす施策である。
今日はこの辺で。