「楽天市場 ショップ・オブ・ザ・イヤー 2019」から学ぶ成功の法則

会場を見渡すと、どの賞に入るのだろうかと少し落ち着かない様子で、杯を交わしている。2020年1月、ここは、楽天による「 ショップ・オブ・ザ・イヤー 2019 」の会場。約5万店の「 楽天市場 」の出店店舗の中で、売上や成長率、注文件数、お客様対応などにより決定する賞であり、店にとっては一つのステータスと言っていいだろう。
2019年度の結果を見ると、上位入賞店舗にはある“共通のカギ”が存在した。本記事では、それぞれの受賞店舗の事例を短く紹介しつつ、どのような要素が成功に直結したのかをひも解いていく。
1. 受賞店舗からざっくり見える「勝ちパターン」
靴ジャンル大賞:ABC-MART楽天市場店
- • 常時5000点以上の有名ブランドを展開
- • 楽天市場が行う公式キャンペーンを積極活用
- • 在庫数の徹底管理で、売り時の機会を逃さない
当店は、有名ブランドスニーカーを始め、常時5000点以上を展開しています。2019年は「楽天市場」内のキャンペーンにも、数多く参加し、商品企画や商品の在庫数などの見直し、精査を積極的に行い、成果を出しました。
ここからの学び:
「キャンペーンに合わせて商品在庫と企画を整える」。→ 最もアクセスが増える時期に、機会ロスを最小化できる。
バッグ・小物ジャンル大賞:カバンのセレクション
- • 老舗バッグ専門店として“+αの顧客体験”を提供
- • レビューを細かく分析し、サービス改善を継続
- • 型番商品が多いからこそ、丁寧な対応で差別化
創業19年の老舗バッグ専門店です。型番商品をメインで取り扱い、だからこそ「+α」のお客様体験に拘りました。一件一件のレビューを元に、より良いお客様体験の提供を日々追求していて、それが実績につながりました。
ここからの学び:
価格や品揃えが似通っていても、“接客”や“レビュー対応”の質を上げるだけで抜きん出ることができる。
インナー・下着ジャンル大賞:サンテラボ
- • 女性目線のコンテンツ強化
- • 年齢を重ねる悩みに寄り添う商品開発のスピード感
- • 顧客満足度を高める“丁寧な説明”と“新商品のタイムリー投入”
きれいに、そしてヘルシーに年齢を重ねる為の商材作りを行い、セレクトしています。特に、2019年はエイジニングの悩みに寄り添った商品選択と女性目線のコンテンツ発信を強化しました。また、商品の吟味を徹底し、スピード感ある商品開発を行うことで、お客様の満足度を向上ささせています。
ここからの学び:
ターゲット像を明確化し、“ほしい商品をいつでも見つけられる状態”を作ると、ファン化しやすい。
…このように、ジャンルごとに見ても“在庫管理”や“レビュー活用”などの共通した成功要素がちらほら見え隠れする。
2. トップ3店舗の“成長の秘訣”
第3位:アルペン楽天市場店(スポーツ用品)
- • 実店舗との連動企画(楽天スーパーポイント導入)で相乗効果
- • 課題だった配送リードタイムを短縮→ 顧客満足度UP
- • EC×リアル店舗のオムニチャネル化が奏功

当店では、リアル店舗を持つことから、そこで「楽天スーパーポイント」を導入して、実店舗とECをあわせた連動企画を実施するなどして奏功しました。課題であった配送のリードタイムの改善にも着手。ユーザーの利便性の向上に努めて、店としてのサービスの内容が向上したのが成果に繋がりました。
第2位:暮らしのeショップ(山善)
- • 家電を中心に豊富な品揃え
- • 顧客のスマホ利用率UPに着目→ スマホページの回遊性を大幅改善
- • 楽天市場のポイント還元やキャンペーンもフル活用

当店は、山善が運営する家庭用品全般のインターネット通販。中でも家電商品の多さには自信があります。配送などの徹底は勿論、店として、2019年は特に、スマホ率の向上に着目して、その回遊性の向上に力を入れました。そうすることで、お客様の売り場での買いやすさが向上し、結果につながりました。
第1位:A-PRICE 楽天市場店
- • 約20万点の圧倒的商品数を誇る家電・住宅設備ショップ
- • スピード配送や設置サービスなど、生活に寄り添う付加価値を強化
- • 「欲しいときにすぐ届き、必要なサポートも受けられる」ところが顧客支持を集めた

当店は家電商品など、約20万という豊富な商品を取り揃えています。昨今、お客様満足度の強化を徹底。そのための品揃えとスピーディーな配送などを心がけています。また、自分たちの強みである大型家電や住宅設備の設置など、お客様の生活に欠かせないサービスの拡大に努めたことが奏功しました。
トップ3共通の学び:
1. 自社ならではの強み×楽天市場の集客力
2. 顧客が“面倒”と感じる部分(在庫切れ、配送遅延、設置サービスなど)を丁寧にケア
3. キャンペーンやポイント施策をうまく組み合わせて“買いたい”気持ちを逃さない
3. 店舗横断で見える“成功のコア要素”
(1) 在庫・物流の最適化
- • キャンペーン時期の需要急増を見越した補充体制
- • 迅速な配送(あす楽)対応の拡充
- → 「今すぐ欲しい!」というニーズに応えられる店ほど売上が伸びる。
・海産物ジャンル大賞「越前かに職人 甲羅組」
当店は、地元の越前蟹だけでなく、実際に、世界の蟹産地に直接、出向いて一括大量買付をしているのが特徴です。2019年は主力の蟹以外の海産物商品を増やすことに注力して、店としての幅を広げました。その上で、全品即日出荷の「あす楽」に対応させるなどして、足場固めも徹底したことが実績を掴む要因となりました。
(2) レビューや問い合わせ対応の徹底
- • お客様の声(レビュー)に迅速にレスポンス
- • “どんな点が改善を求められているのか”を洗い出し、サービス向上に即反映
- → 長期的にはリピート購入や店舗評価の上昇に貢献。
・インテリア・寝具・収納ジャンル大賞「ニトリ」
コンセプトとしては、お客様のお困りごとをいかに解決するかに重きをおきました。そこを軸に、商品の見直し、サービスレベルの向上を心がけ、特に、商品ページ制作を強化しました。
・日用品雑貨・手芸・旅行用品ジャンル大賞「タオル直販店 ヒオリエ/日織恵」
当店は、タオルメーカーの専門店です。自社生産のタオルを看板としながらも、大阪泉州タオル、今治タオルなど、こだわり寝具やベビー雑貨まで広げました。それがお客様に受け入れられて、結果を出してきました。商品へのこだわりは強いものの、それにとどまらず、今後は価格帯、商品を使う用途などの提案なども考えて、お客様への貢献の度合いを増やしていきます。
(3) 独自性の確立
- • 大量仕入れによる価格優位(越前かに職人 甲羅組など)
- • オリジナル商品やブランドコラボ企画(ニトリやサンテラボなど)
- • イベント活用(おいもやの“芋フェス”など)
- → 「ここでしか味わえない」「ここから買いたい」という理由づくりが重要。
スイーツジャンル大賞「おいもや」
当店は薩摩芋スイーツの専門店です。ネットでも実績が出てきています。なので、ネット上だけでは伝えきれない商品の背景を伝えるべく、「芋フェス2019」を開催しました。全国から700名以上、参加する盛り上がり。そこで、土に触れ合う楽しさ、静岡県のお芋文化そのものと啓蒙することで、体験型を通して実績に繋がる工夫をしています。
米・雑穀ジャンル大賞「こめたつ」
当店は九州、熊本のお米を中心としたお店です。農家のお米をより新鮮な状態で届けたいという想いが社員一同強く、それを真心込めて提供しています。自分たちの強みとして、脱酸素剤入りの包装、当日精米を心がけています。ネットだからできるサービスにも拘って、それがお客様からの評価につながっています。
惣菜・食材ジャンル大賞「板前魂 おせち」
当店は、板前、シェフ、マイスターの三人が一品一品吟味して、彼らの厳しい下に合格した完璧な料理だけを製品化しています。2019年においては、特に、ローストビーフ付き商品を増やすなどして、ラインナップを極限まで増やしたことが実績を後押ししました。
(4) 公式キャンペーンと販促強化
- • 楽天スーパーSALEやお買い物マラソンとの連動
- • セール時期前の“商品ページ最適化”や“在庫調整”
- → 一気に流入が増えるチャンスを最大限活用している。
ガーデン・DIYジャンル大賞「DCMオンライン」
当店は、本業であるホームセンター事業の主力商品であるDIY商品を中心に、20万点以上の豊富な品揃えが強みです。その中で、利便性の向上をするべく「あす楽」商品を拡充。また、核となる商材を発掘するとともに、楽天スーパーSALEへ一層の注力を図ることで、お客様を多く獲得できることにつながりました。
(5) 顧客の購入体験を最適化する努力
- • スマホ最適化(回遊しやすいページづくり)
- • “顧客が不安に思うポイント”を事前に解消するような商品説明・FAQ
- → “単に物を売る”から一歩進んだ“接客型EC”を目指す。
花ジャンル大賞「花の専門店 行きつけのお花屋さん」
当店は、ギフト需要が多いので、お客様のご要望に極力答える配慮を重視しました。それに関連して、受注処理から出荷に至るまで、スタッフ全員がチェックを怠らないよう努める体制を構築。それがお客様の信頼につながり、売り上げにもつながりました。
・肉・野菜・フルーツジャンル大賞【くまもと風土】
当店は、メイン商材である成果物や農産加工品は勿論、夏場の冷凍みかんやお歳暮ギフトの販売拡大に注力しました。それによって結果を出すことができました。
4. 抑えておきたい受賞店舗の“原理・原則”
1. 「欲しい商品が、欲しい時に、確実に手に入る」よう整備する
• 在庫切れや配送遅延を極力なくすのがECの基本。
・ビール・洋酒ジャンル大賞「リカーBOSS 楽天市場店」
当店は、商品が自由に選べる「よりどりセット」の販売で、特にビールや缶チューハイが売れ筋となっています。2019年は物流強化を徹底し、スピード配送を実現しました。さらに、価格戦略、企画、品揃えの見直しとレビューのお客様の声に耳を傾け、サービス全体の向上に尽力。多くが改善され、結果につながりました。
・ワインジャンル大賞は「ワイン&ワインセラー セラー専科」
当店は、世界中のワイン生産者を直接、訪問して、中間マージンをカットしすることで、低価格での販売を実現しています。2019年は、その品揃えの充実とヨーロッパ産のワインをいつも以上にお値打ち価格で案内できるように努めて、それが実績として反映されたのだと思います。
・文房具ジャンル大賞は「ハンコヤストア」
当店の特徴として、印鑑やスタンプ印だけではなく、オーダーメイド商品も多いということが挙げられます。オーダーメイドの商品は、少しでも早くお届けするための期間短縮を目指し、社内で対策を整えてきたことが、お客様の間で支持されることにつながったのではないかと思います。
2. 顧客の声を拾い、即座に改善するサイクルを回す
• レビューやSNSでのフィードバックを丁寧に解析→ 業務フローや商品ページへ反映。
腕時計ジャンル大賞「ジャックロード 【腕時計専門店】」
当店は、腕時計に関してはアンティークモデルまでの品揃えに自信があります。昨年同様コストを抑え、ユーザーの導線をどう整えるか、考察ました。また、レビューには全て目を通し、返信を行うのは勿論、それを改善に生かすなどして、満足度向上に努めています。
3. 差別化できるオリジナル要素を探る
• 大量仕入れ、イベント企画、限定コラボなど、自店しか提供できない価値を追求。
・キッチン用品・食器・調理器具ジャンル大賞「scope version.R」
当店は、北欧デザインの食器類やインテリア雑貨・家具を幅広くセレクトしています。一点一点個性のある商品を一個ずつ写真に撮って販売する個別販売を展開し始めました。そうすることで独自性を出し、成果が出ています。2019年は、逆に「お得企画」、ブランドごとに設定したキャンペーンを終了して、当店としての原点に立ち返ったのが奏功しました。
・キッズ・ジュニアジャンル大賞「Plus Nao」
商品を更に拡充すること。そして売上数量が伸びたことによりボリュームディスカウントを反映して、それをお客様へのメリットとして提案しています。それが、成果を掴んでおり、同様の施策を継続し、強化していきます。
・ジュエリー・アクセサリージャンル大賞「cream dot」
当店は大人のジュエリーと雑貨のコンセプトショップです。大量生産をすることでコストを大幅に下げ、それをお客様に還元して満足いただいています。その上で、品揃えの充実さにこだわり、セールの時でも極力早く届ける仕組み作りと、迅速な出荷を心がけています。
4. 時期やキャンペーンを味方につけて一気に集客
• 楽天の施策・ポイント倍率を把握しておき、最大限に活用する。
・日本酒・焼酎ジャンル大賞「越後雪国地酒連峰(新潟店)」
当店は細かいニーズに応えるべく、品揃えも価格や知名度、人気を重要視。その上で、季節性に関連づけ、その時に買う意味を伝えました。昨年は受注数、受注金額のアップの目標に対して、作業手順、環境の整理などを行い、それによって商品の梱包、出荷がスムーズになるよう社内全体で、改善を図りました。
5. 顧客体験全体(サイト設計・接客)を最適化してファンを獲得
• 商品ページの見やすさ、問い合わせ対応のスピード感など、一貫した“良質サービス”を提供。
・水・ソフトドリンクジャンル大賞「暮らし健康ネット館」
当店は、暮らし、健康に必要なアイテムが数多く存在します。その為、お客様にとって、それらがわかりやすいお店作り、丁寧かつ、迅速なお届けを意識して、業務に反映しています。特に最近では「あす楽」を増強させて、商品ページを工夫して、一目で見て「欲しい!」と思わせるページへの改善を進めています。結果、それによりお客様の支持が広がったと思います。
・ベビー・マタニティジャンル大賞「ナチュラルリビング ママ*ベビー」
当店は総合的なベビー用品店です。受注数が増加した今こそ、出荷時におけるミスが起こらないよう配慮しています。そこにとどまらず、丁寧ではない発送などが増加しないよう、作業の仕組み化に注力して、それが成果に繋がっています。また、それを促進するべく、社内ではチャットを使用。情報共有を迅速かつ徹底したのが奏功しています。
楽天SOY受賞各店舗に共通するのは
2019年の「楽天市場 ショップ・オブ・ザ・イヤー」受賞店を俯瞰すると、どの店舗も「地道な当たり前」の水準がとても高いことがわかる。
早く届ける、レビューの声をすぐに反映する、キャンペーン時に在庫を切らさない。派手さよりも、基本を徹底した努力が成功へとつながっている。
商品の入荷(オリジナル商品も含めて)までのリードタイム、配送状況、その粗利の計算と、そこからお客様対応の質向上のためのコスト配分の見直しなど、受け身ではない、主体的な店の姿勢が一層問われる時代になってきている。
自店の状況を振り返ってみて、もし同じような課題を抱えているなら、受賞店舗の事例をヒントに“自店ならでは”のサービス強化にトライしてみてほしい。そこに楽天市場の強力なプラットフォームを掛け合わせれば、まだまだ伸びしろは大きいはず。
今日はこの辺で。