香りが記憶をつなぐ——YUME to MOMOの挑戦 ティーンの心に寄り添う、新たなフレグランス体験

香りは、時に記憶と深く結びつき、心の奥底に刻まれるもの。10代のころ、特定の香りを嗅ぐたびに勇気をもらった経験がある人も多いのではないだろうか。そんな「香りの力」に着目し、女子高生1,000人のリアルな声を元に開発されたスティックフレグランスブランドがある。それが 「YUME to MOMO(ゆめともも)」 だ。
このブランドを立ち上げたのは、muguetfleur株式会社 代表・川淵晴加さん。彼女は「10代に本格的で心地よい香りを届けたい」という想いと、故郷・岡山の名産である桃の魅力を伝えたいという願いを重ね、新たなフレグランスの形を生み出した。本記事では、その誕生秘話や開発の舞台裏に迫る。
女子高生のリアルな声から生まれた香り
思うに、香りの好みは人それぞれだが、特に10代の女の子たちは言葉で表現しづらい「感覚」を大事にする。川淵さんは、そんな彼女たちの本音を引き出すために、実際に女子高生1,000人にアンケートを実施し、理想の香りを探った。
「『ふわっとした感じ』『キラキラしてる』『もこもこした香りがいい』……。そういった感覚的な言葉を、きちんとした香りに落とし込むために、何度も試作を重ねました。」
それを香水にしなかったところが、みそである。香水にすれば、溢れたり嵩張ったりする。おそらく、女性の多くはバッグが小さいから、そういうのを嫌がる。だから、練り香水にしたのであろう。
それでいて見た目の可愛らしさがその女の子自身のステータスをあげるからスティックタイプを採用。
それは、今書いた通り、彼女たちが持ち歩きやすいように「ポーチにすっぽり入る」「学校でも使いやすい」「リップみたいに可愛い」など、実用性とデザイン性を兼ね備えているから、使い勝手が良いのだ。
こだわり抜いた3つの香り
YUME to MOMOのスティックフレグランスは、3つの異なる香りを展開。それぞれが異なるシチュエーションや気分に寄り添い、10代の女の子たちに「頑張ろう」と思える瞬間を届ける。

1. Peach Floral 〜フレッシュで可憐な甘さ〜
「春の朝を感じるような、フリージアとジャスミンの甘さに、岡山産の桃のジューシーさをプラス。まるで、爽やかな風が吹き抜けるようなフレグランスです。」
この香りは、まさに川淵さんの故郷・岡山のエッセンスが詰まったもの。桃の果実感と花々の優雅さを絶妙にブレンドし、可憐でフレッシュな印象を演出する。朝の身支度の時間にひと塗りすれば、一日を気持ちよくスタートできそうだ。
2. Pure Sabon 〜清潔感あふれるピュアな香り〜
「洗いたてのリネンのように清潔感があり、ほのかにカモミールが香る。爽やかで万人受けする香りです。」
まるでお風呂上がりのような心地よさを纏えるフレグランス。部活や塾の後、リフレッシュしたい時にぴったりだ。すれ違った時にふんわりと香る、清潔感のあるフレグランスは、誰からも好印象を持たれるはず。
3. Natural Amber 〜ナチュラルで洗練されたユニセックスな香り〜
「緑豊かな大地に包まれているような、落ち着いた香り。男女問わず好まれる、シックで大人っぽい雰囲気。」
「甘い香りは苦手だけど、香りを楽しみたい」という子たちにもおすすめだとする。
ウッディな深みがありながら、ナチュラルな爽やかさも感じられる。放課後のカフェタイムや、大切な人と過ごす時間にそっと寄り添う香りだ。
何気ないことなんだけど、それを雑貨と共に提案していることも見逃せない。女の子の多くは、人との触れ合いの中でどう見られるかを意識する。

それらの練り香水は、化粧のコンパクトのようなものに入れられたりしたら、、、。ゆえに、可愛らしく見せる雑貨の中に、そうやってフレグランス要素を溶け込ませる。そうすることで、会話のきっかけを生み出し、また、日常遣いを促すわけである
ブランド誕生までの道のり
実は、川淵さんはもともと会社員。香りの専門家でもなく、ブランド立ち上げの経験もなかった。しかし、「本当に自分が心から愛せるブランドを作りたい」という強い想いが彼女を突き動かした。
「元々はお花の先生をしていました。花と香りを組み合わせた定期便を販売したり、マルシェに出店したりしていたんです。でも、もっと多くの人に香りの魅力を届けたいと思うようになって……。」
香りが持つ力を信じ、ブランド作りを決意。その理由はとても素敵だ。彼女は学生時代、運動部に属していたから、フレグランスを持ち歩いていた。いつしかその香りは、そこにまつわる思い出を喚起するスイッチとなった。
そこで得られたポジティブな気持ちが、今に蘇る。だから、大人になってからも背中を後押しするような香りをティーンに手掛けることこそが、自分にできることと考えた。しかし、フレグランス開発の道は決して簡単なものではない。調香、デザイン、パッケージのロット管理……そのすべてが初めての挑戦だった。
「箱のロット数だけでも、想像以上に大変でした。でも、やるからには妥協したくなかったんです。」
今ではれっきとした調香師であり、この熱意が、関係者の心を動かし、ついにYUME to MOMOは誕生した。
香りが記憶になる——10代へのエール
彼女がここまで打ち込む理由。それは、繰り返しになるが、川淵さんが何より大切にしているのが、「香りが持つ記憶の力」だからだ。
「10代の頃って、何気ない瞬間がすごく鮮明に残っています。その時にふと香ったフレグランスが、何年後かにその記憶を蘇らせる。そんな風に、このフレグランスが彼女たちの人生の一部になれたら嬉しい。」
自身の記憶と重ね合わせて、今度は自分が多くの若き感性を、力強く後押しする番だ。
ブランド名にある「YUME(夢)」と「MOMO(桃)」。それは、夢に向かって頑張る女の子たちを支え、岡山の桃のように優しく包み込む存在でありたい、という願いが込められている。
香りは、ただの香水ではない。記憶とともに、いつかの自分を支えてくれる大切なもの。YUME to MOMOの香りが、10代の女の子たちにそっと寄り添い、未来へと続く道を彩ることを願って。
今日はこの辺で。