New Energyで語られる未来のプロダクト — 香り、自然療法、そしてクラフトマンシップ
時代ごとに、新しい価値観や素材の発掘、活用の仕方が生まれて、現在進行形で、プロダクトは年々、進化している。東京・銀座の東急プラザで行われた「New Energy」では、持続可能性への言及がなされ、地域とのつながりなどをテーマに、新しい切り口のプロダクトが集まった。香り、自然療法、クラフトマンシップといった多彩な取り組みが未来を拓く。
新芽を使った自然療法
まず「Herbiolys」は、ジェモエッセンスを用いた、飲む植物幹細胞エキスである。ジェモというのは、植物の新芽のこと。それを使ったエキスを水に15滴、浸して飲むのである。それを口にすると、デトックスや睡眠改善、消化機能の向上など、多岐にわたる効果が期待されている。
そもそも、フランスには「ジェモセラピー」という自然療法が広く知られている。新芽の力を生かして、体を労る習慣が徹底されているわけだ。ただ、日本では全く認知がない。それゆえ、まずは、この商品をアピールすることから始めた。
忙しい現代人でも手軽に取り入れられる新芽エキス。アルコールに漬け込んだハーブエキスの一種であり、薬草治療やホメオパシーに近い存在として注目されている。
そして、日本にこのプロダクトを導入した企業が、ル・スリール。同社代表は海外でそれを飲んで、その効果を実感した。日本に帰国するなり、この為に、輸入代理店を設立したほど、魅せられている。
勿論、売れてほしい。だが、それは、それが未来の人々の心身ともに、健康をもたらす要因となるから。このエキスを用いることで、体調改善に活かしてもらいたい。その真心で、この商品の意義を呼びかけている。
工場とのコラボから生まれた唯一無二のデザイン
続いて、「KALNAM」。栃木にあるアルミニウム工場とコラボレーションし、誕生したジュエリーブランドである。その軽さや色のバリエーション、そしてユニークなデザインで注目を集める。
職人が一つ一つ手作りし、この素材ゆえに、形の自由度も高い。だから、ジュエリーとしてだけでなく、アート作品のような存在感を持っている。下記のように「すき」などの筆文字のような形すら再現してしまう。
このブランドのデザイナーは、試行錯誤を続け、やっとの思いで、これを昨年、デビューさせた。形の自由度の高さは、ジュエリーとは違った価値観を生み出す。特に、タロットカードをイメージした作品など、アート性の高いジュエリーは、まさに素材の力を得て、生み出した表現である。
アルミニウムジュエリーの背後にある、長年の試行錯誤と情熱。それがもたらしたデザイナーが職人とともに新たなジュエリーの形。その軽さや形の自在さ、色のバリエーションといった要素を引き出すことで、他にはない魅力を追求して、できたわけだ。
一流ブランドに身を置きながら、退路を絶って、この道を選んだ理由。それは、こういう常識を超えた、ジュエリーによる表現を求めての事だろう。顧客に対する誠実な姿勢が表れている。
香りで地域をつなぐ
その他、キャライノベイトは、日本各地の農家が手がける香り高い素材を活かし、地域経済を支援する取り組みを行っている。例えば、石川県の「国造ゆず」を使用し、その土地ならではの素材を香水として商品化しているのだ。
売上の一部は、素材を提供する農家に還元され、持続可能な地元の農業支援が進められている。単なる「日本産」ではなく、特定の地域の名前を前面に押し出す。そうすることで、香りを通じて地域と消費者を結びつける姿勢が特徴である。
それ以外にも、以前、取材も行った「FREDDY LECK」も出展していた。
こちらは、洗濯に特化したブランドで、ベルリンのモアビットから始まった。そのブランドのオーナーのフレディレック氏は、コインランドリーの“きれい”さに疑問を持ち、ランドリーとカフェを融合させた拠点を作り、洗剤や柔軟剤を開発して広げていったわけである。
このブランドのユニークな視点に目をつけたのが日本の藤栄。インテリアやリテール事業を展開してきた彼らは、洗濯というライフスタイルに注目し、「FREDDY LECK」ブランドの商品を国内で展開。洗剤やランドリーバスケットなど、多岐にわたる商品を手掛け、無香料のランドリー洗剤を発売。これもまた、新しい価値観である。
いずれも感性に問いかけ、そして未来に必要な価値として、提供するもの。だからこそ、商業的な視点とは別で僕は注目してみたいと思ったのである。
今日はこの辺で。