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工場潜入 あのアクリルグッズはいかにして作られるのか

 雑貨屋に足を踏み入れると定番アイテムとして存在するのがアクリルキーホルダーなどのアクリル製品である。今回は、そのアクリル制作の現場に直撃した。なかなか工場の現場は見られないものだが、今回は特別に入れていただいた。制作過程を追うことで、実はその商品が生まれる背景には、いろんな人の思いと魂があることを知ってもらえれば、と思う。

アクリル工場潜入

1.造形物としての面白さ、デザインとしての可愛らしさ

 その制作現場に潜入した。案内してくれたのは、ファーロンズの石澤 仁さんで、一緒に同行してくれたのは、MDYの前田英夫さんである(トップ画像の二人)。この二人とまわる理由にはわけがあって、弊社で下記製品を彼らの協力によって、手掛けさせてもらったからだ。

 そもそも製品の製作にあたっては、石澤さんが工場との接点を活かして、商品のアイデアをくれた。彼は、工場と近い立場にあるからそれらの素材や技術をテコに、面白いプロダクトを考え出す。

 一方、MDYの前田英夫さんは言わずと知れたロディの育ての親。ロディというのは、元々海外の子供向けの遊具であり、洗練されたフォルムから、大人からの支持も高い。それを前田さんがリデザインして、雑貨商品で販売すると、それが瞬く間にヒットを生んだという経緯がある。

 だから、その石澤さんのアイデアをもとに、前田さんに商品全体のデザインを依頼して、ペットボトルホルダーができあがったわけだ。アクリル製で、ペットボトルや傘などに引っ掛けると、それが目印になるという商品。コップのフチ子さんをヒントに、何かと合わせて使うことで、魅力が伝わる製品だ。

2.アクリル製品ができるまで

 さて、それらが制作される過程を見てみようというわけだ。

 工場に入る前に、アクリル製品についての「いろは」を説明できればと思う。

 そもそも、スタートはアクリルの表面のイラストを手掛けるところから始まる。それらイラストを依頼主からもらい、入稿することで、それが始まる。実際に、工場では、それを相応しい形にレイアウトしたり、画像処理を行うDTPデザイナーがいる。つまり、彼らの手により“面づけ”を行うのである。

 “面づけ”というのは、アクリル板に対してそれらイラストを配置する作業のこと。どれだけ配置できるかをかんがえることで、その一つの板で、何個のアクリルの切り抜きができるかがわかる。だから、そのまま、依頼主への見積内容はこの配置によって、異なってくるわけだ。

 シンプルに話せば、アクリルに印刷して、カッティングする。ただそれだけでも多くの人の手により、よりミスが生まれないよう、一個一個丁寧に推し進めていく。

3.印刷機はインクの硬さが肝

 この印刷においても用途に合わせて、マシンを使い分けていて、そのポイントは、印刷のインクの硬さによる。つまり、一つは印刷範囲が広く鮮やかな発色がなされ、もう一つは印刷範囲は狭いが、濃いめの発色がなされる。

 アクリル製であれば前者になる。印刷範囲の広さを活かして、なるべく多くの数を作りたいからだ。しかし、それが財布であるとか柔らかい布系のものであれば、そぐわない。インクが硬くてそれが馴染んでも割れてしいまうからだ。そうやって柔軟にあらゆるものの商品化に応えうる環境を作っているのだ。

遂に工場へ

1.アクリル製品のおもてはうらなわけ

 さて、そういう深い話を踏まえた上で、工場に足を踏み入れてみた。繰り返しになるが、これらのアクリル製品は、印刷をするところから始まる。工場内には複数の印刷機があり、これが稼働して印刷をする。これまた、面白いのが、僕らが見ているアクリル製品の「おもて」は「うら」なのである。

 は?と思った方もいるだろう。実はアクリル製品の多くは、裏側から刷っている。白打ちといい、実際には色は2層になっている。だから、表面から見た時に、綺麗に仕上がっているわけだ。まるでコーティングしているかのようにツヤツヤして見えるのは、それゆえだ。

2.白打ちして綺麗に仕上げる

 つまりこの製品も、このカラーリングは裏側からされていて、さらにその上から白を乗せることで、色が鮮明になるようにしている。「あ、本当だ」と前田さん。

 だから、この印刷機はその「白打ち」の段階で確かに白っぽいものが並んでいる。

「だとしたら、両面印刷はどうなの?」と聞くと、それも同じ要領。裏側に印刷をしている。つまり、おもて面の印刷、白打ち、そしてうら面の印刷というのを裏側でやれば、表から見た時に両面になると言うわけだ。

3.精密に形状に沿ってカット

 そこの印刷工程が終われば、次にカットすることになる。カットする機械自体に、カメラがついていて、その図柄を読み取って、その周りをカットするわけだ。その形状に沿った形で切り落としてくれる姿は圧巻。前田さんも「ずっと見てられる」と呟いていた。

 その横には作業場があり、この作業場で、先ほどの「ペットボトルホルダー」の引っ掛ける部分を手作業でつけていくのである。

 そして、最後に、それを検品をしていく。アクリルは人の指紋がつきやすいので手袋をして、丁寧に、それを納品することになる。

4.多くの手により育まれて商品化

 何気なく手にするアクリル製のグッズ。改めて、この工程を見ると、色々な人の手がかかり、それぞれの持ち場で細心の注意を払って、労わるように商品として、形になっていることがおわかりいただけただろう。

 たまにでいいから、いつも手にするアクリル商品を見て、この人たちの思いを思い浮かべてみてほしい。するとその商品一つ一つから感じる印象も変わっていくのではないかと思うのだ。

 今後も、色々とアクリル系の商品についての知見を深めたところで、僕は僕なりに、何かしたら商品化をしていきたいと思う。そして、商品を手に取り、喜ばれるとともに、これらの工場の方々の思いを、ものを通して伝えていければと思う次第である。

 今日はこの辺で。

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