視点を変えれば購買も変わる 「mt」など に見る 知恵と工夫のメーカーの話
既存の商品でも、視点が変われば、用途も対象も変わってくる。少しの工夫で新たな活路が開ける。最最近、「mt」というブランドが話題を集めているのをご存知だろうか。カモ井加工紙という会社が手掛ける「リメイクシール」と呼ばれるもの。壁やテーブル、あらゆるものに貼り付けられるDIY用のテープである。でも、、、
メーカーは知恵を出して奮闘している
1.え?ハエ取り紙?
その会社は、もともと「ハエ取り紙」を手がけていたのだという。わからないものだ。全くそのイメージが湧かない。つまり、粘着性の高いシールを作っていたが、昔と比べて、窓を開ける機会が減少した。それで、ハエ取り紙そのものの利用機会がなくなって、考えたのだそうだ。その粘着性のある仕様を強みに工夫して、「貼っても剥がれないけど、剥がそうとすればいつでも剥がせる」リメイクシールも着想へと漕ぎ着けた。
布、プラスチック、木などさまざま素材に対応した粘着剤を採用しているから、利便性に優れているという。下地をカバーする隠蔽性が高く評価され、テープ自体に、張りがあるために、まっすぐ張りやすく、人を選ばない。
2.誰でも簡単に部屋の模様替え
ご覧の通りである。時計や照明器具など、小さなものから大きなものまでできることがわかるだろう。つまり、これらは、はさみやカッターがあれば、特別な道具は要らない。そのテープと身近なアイテムだけで一瞬に、そのイメージが変わる。リピート柄になっているので、どれだけ範囲が広くても継ぎはぎは、自然である。
「これでスタッフが様変わりしました」とスタッフは笑う。
ハエ取り紙の会社から、インテリアへとシフトしたのだからそりゃそうだ。社員の雰囲気が変わったのは、ターゲットを変えて、感度を重んじる業態へとシフトしたから。テープのデザイン性がそのまま、部屋のイメージに直結しているから、一つ一つの柄が大事なのである。だから、今では感度の高い、女性社員が会社を引っ張り、今の時代を取り入れた柄を提案しているのだ。本当に、わからないものである。
大人にブレイクブロック玩具「ナノブロック」
河田というおもちゃ会社は、元々「ダイヤブロック」という商品を、子供に向けて、ブロック玩具を提案している。それ自体、60周年を迎えるロングセラーだが、今から約10年ほど前、その知見を取り入れ、始めたのが「ナノブロック」である。
正直、ブロック玩具というと、レゴのイメージが強い。そして、子供のイメージが強かった。だから、彼ら自身、そことの差別化を考える過程で、生み出した商品でもある。敢えてサイズを指の上に乗るくらいのサイズで提案して、表現の幅を広げたのである。ブロック玩具は、大人向けの“プラモデル”感覚でできる“おもちゃ”へと進化した。
例えば、浅草の浅草寺といった具合に、パーツが小さい分だけ、表現力が上がって、それがそのまま、インテリアになるというわけだ。そこに加えて、最近では、SPY×FAMILYのキャラをそれらの「ナノブロック」でドット絵風に表現したりするなど、女性などへの浸透も著しい。
磁石をフックに変える
その他、マグエバーという会社は、磁石の視点を変えて、それ自体の特性を活かして、フックを生み出した。フック?彼らはマグサンドというアイテムで、柱や扉などを、2つの磁石で挟み込む発想を持ち込んだ。すると、その磁石が引き寄せ合い、それらが落ちない。そこで、そこに取っ手をつけることで、何もなったところに、フックを作ることができるという発想なのだ。
最近では、それも進化しており、BtoB向けにも幅を広げている。フックではなくネジ穴をつけたのだ。イメージとしては三脚につけるカメラを固定するネジである。片方はネジを受ける側にして、照明などのネジをここにと合わせてロックする。今度はフックではなく、何もないところに照明などが設置できるというわけである。
改めて、商品の奥深さを感じる次第である。通り一辺倒に、物事を見ていると見えてこないことだなと思う。改めて、あらゆる角度で、物事を俯瞰的に見ることの大事さである。
今日はこの辺で。