もぐとごく 有田焼 を背負って 未来へ
先日、創業から200年以上、存続しているとある会社の方が「マーケティング目線は大事だけど、そればかりでものづくりが軽視されないようにしたい」そう話していたのが印象的で、ものづくりは、その両者のバランスだと思う。僕が出会ったのは「mg&gk( もぐとごく )」というブランドを展開する有限会社篠原渓山で 有田焼 を作るものづくりの企業で、彼らは彼らでマーケティング目線で少し形を変え精を出すのである。
「mg&gk(もぐとごく)」は、ちょこっとモグモグ、ゴクゴク。ちょこっと食べたり、飲んだりと、働いている女性の方がちょっと休憩する時に傍にある有田焼の食器のブランドである。
ここにはいろんな想いが込められていて、篠原渓山は60年ほどの会社で、まだ日が浅い方ではあるけど、かなり有田焼も衰退の域に達し始めていると素直に口にする。それはバブル時代に有田焼の需要が高まり、ありとあらゆるものを作成してしまい、結果、その反動で、企業としてそれを維持できずに衰退を招いてしまったと話す。
貴重な時間を 有田焼 で演出 mg&gk もぐとごく の想い
ありとあらゆるものを作ってしまったが故に、そこに個々の商品としての定義が薄れてしまい、本来持っているその高い商品価値が実感として得られなくなってしまった。だからこそ、彼らは、敢えて女性の隙間時間を大切にする一品として有田焼をシーン提案したというわけである。
例えば、有田焼はいろんな商品で今や網羅しているけれど、「フィナンシェと紅茶の器」という定義を持ち出して、そこのカップとお菓子を置くための器に特化して提案して、それに沿ってひとつ一つ手描きで表現して、上品な紅茶の時間を楽しみましょうと。
「波」「七宝」「麻の葉」といった古くから縁起の良い模様とされる吉祥文様をベースに、ひとつひとつ心を込めて描いた、優しくみずみずしい絵付けの表情が至福の時を演出しようというわけである。
彼らはいう。有田焼には材料に“天草陶石”を使っていて、それは熊本県の天草市の地場産業であり、彼らもまたかなり苦境に瀕していて、彼らのために、そして自分たちのため、この産業自体をどう守っていくか、そこにチャレンジする姿に、僕は純粋に心を打たれたのである。別に大ヒットではなくていい。誰かしらの間でずっと受け入れられ、存続し続けるものづくり産業であってほしいと願うのである。
今日はこの辺で。