京都烏丸六七堂 の 和文具 和紙 の伝統に今の息吹 新風を

京都は長い歴史の中でさまざまな伝統工芸が育まれた地。その一つである「和紙」は、多くの職人たちの手によって受け継がれ、現在も息づいている。伝統というと重厚なイメージを抱きがちだが、今だからこそできる新しいアレンジを加え、チャレンジしているブランドがある。それが京都烏丸に店を構える「京都烏丸六七堂」である。
和紙そのものへの深い愛情をもとに、現代のライフスタイルに溶け込むような“和文具”を発信し続けています。
京都烏丸六七堂 は 和紙 への愛溢れる 和文具
「京都烏丸六七堂」は、「紙を愛し、紙で楽しみ、紙の未来を考えるブランド」と自ら掲げる通り、和紙の特性を最大限に活かした文具づくりを手がけている。
その代表的な例の一つがポストカード。日本の食文化の象徴である「寿司」のデザインが施されたカードでは、イカの握りが透け、下のシャリがうっすら見えるようになっています。これは和紙が持つ“透け感”を、遊び心あるクリエイティブとして表現したものなのだ。

さらに、四季折々の風習や行事をモチーフにしたアイテムも多く、一点一点に和紙ならではの温かみが感じられる。
素材の良さを引き出すデザインは、人を惹きつける“メディア”としての役割も果たしているといえるだろう。
紙の人形やポチ袋──「軽さ」も魅力
さらに驚くのは、紙で作られた人形である。型を作り、和紙を貼り合わせ、固まったところを二つに割って再度貼り合わせることで完成する。
そのため見た目からは想像できないほど軽量で、手に取った瞬間に驚かされる。

ほかにも、和紙を使って絵柄を表現したポチ袋など、ちょっとしたコミュニケーションを明るく彩ってくれるアイテムが揃っている。日本の伝統技術を尊重しつつ、遊び心あるアイデアを取り入れることで、和紙の持つ可能性を広げているのだ。

今には今の 伝統 の生かし方
「京都烏丸六七堂」の企画に携わるのは、デザイン会社・有限会社スリーミンの後藤美由子さん。
もともと下請けのデザインではなく、「自らの主体性で世の中に新しい風穴を開けたい」と考えていた後藤さんは、紙の卸問屋である上村紙株式会社とタッグを組んだ。
職人たちとのネットワークを活かし、若いデザイナーのアイデアを反映させることで、和紙の新しい表現を形にしていったのである。
伝統を大切に思う職人たちの中には、当初、和紙を“今風”にアレンジすることを否定的に見る声もあったといいう。しかし「面白いのではないか」と興味を示す人々も一方ではいたのも事実。だからこそ、そこから新しい試みを伝統の枠を少しずつ広げていったのである。
新たな息吹を纏う和紙
後藤さんは「私たちが伝統そのものを語ることはできないけれど、素材を生かしつつ、今の時代に合わせてアップデートすることは、逆に私たちにしかできないこと」と話す。
まさに伝統は、現代の感性によってアップデートされることで進化し続けるのだ。
長い年月を経てもなお、人と人とをつなぎ、思いを伝え続ける「和紙」。その魅力は、現代のデザイナーやクリエイターの手でさまざまに表現され、新風を巻き起こしている。
「京都烏丸六七堂」が示すのは、伝統と現代の融合の可能性。そして伝統は過去のものだけでなく、“今”の人々の生活に寄り添いながら生き続けるものだということを教えてくれるのだ。
ぜひ一度、和紙が生み出す豊かな世界観を手に取って体感してみてはどうだろう。長い時を超えて、今の息吹も取り入れながら、今も人と人とをつなぐ「紙」である。思いを伝え続ける「紙」である。
今日はこの辺で。