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ほぼ日 ほぼ日手帳 2021 発表 文化を敬い、表現で魅せる

ほぼ日手帳内覧会2021_2

 以前、渋谷パルコにある「ほぼ日カルチャん」というお店を取材した時、僕は、その店を糸井重里さんの言葉を借りて「まかない飯」と表現させてもらった。でも、それは株式会社 ほぼ日 の代表的な商品、「ほぼ日手帳」でも同じなのではないか。 彼らが開催した「 ほぼ日手帳 2021 内覧会」で感じたことだ。

ほぼ日 は気づきと表現のプロ ほぼ日手帳 2021 も深く

 「まかない飯」とはこうだ。著名人というのは、各々の才能を発揮して今に至るわけだが、そんな人にも色々な顔があって、本業以外の顔つきにも光を当ててみると、それもまた魅力的で、そんな大事な一面をほぼ日では取り上げているという、そんな意味を喩えたものである。

 思うに、「ほぼ日」手帳でも、様々な文化や作品の魅力に誰よりも深く気づき、手帳カバーをまるでキャンバスに見立てて、趣向を凝らし、メッセージを乗せて表現している。いわば、彼らは気づきのプロであり、表現のプロである。だから、来年はどんな表現をしてくるのか。ファンは皆、この時期になると心待ちにするのである。

 2021年のテーマは「handwrite(ハンドライト)/人は書く。」。全ての原点は、人が書くところから始まっている、ということである。まず、目に止まったのは、漫画とのコラボである。あの国民的名作も、漫画家のペンで「書く」ことから始まった。全てはまず「書くこと」から始まるのだ、と言うメッセージである。手帳の存在を持って、自然と僕らを書きたい気持ちへと駆り立てるわけだ。

ドラえもんを敬い表現で気づき与える

 一番感銘を受けたのは「ドラえもん」の「ほぼ日手帳」である。デザイナーの大島依提亜さんが「ドラえもん」で抱いた衝動を、この手帳に込めていて、その表現が僕らに新鮮な気づきをくれる。

 一見すると、その手帳は、本体のカバーと透明カバーの二層になっていて、コミックスの扉絵のようなデザインなのだが、透明カバーを外すと、ドラスティックに印象が変わる。透明カバーはコミックスの扉絵の装飾のみが印刷されている仕様で、それを外すと本体カバーに印刷されているのは、白地に一点、ドラえもんの顔のみである。

 これこそが大島さんの狙い。扉絵の原画を見たときの印象が、ここで言う透明カバーを外した時と同じで、シンプルでアートの香りを醸し出すドラえもんであった。そこに彼は感銘を受けたから、漫画では見せないドラえもんの“横顔”を、手帳で表現したのである。先ほど、手帳カバーをキャンバスに見立てて、と書いたが、この自由な表現こそが、ほぼ日の真骨頂だと思う。 ほぼ日手帳 2021 にも ほぼ日 魂は健在だ。

右下写真の通り、デザインの違うシートも入っていて、それを挟んで楽しめる。
右下写真の通り、デザインの違うシートも入っていて、それを挟んで楽しめる。

 ほぼ日 はこの ほぼ日手帳 2021 で、和田誠さんのシリーズも発表している。その手帳では表紙に鳥が描かれていて、これは生前、和田さんが週刊文春の第一号に寄せた表紙絵である。そこで、ひと工夫。手帳カバーの最後、差込部分にも鳥が描かれていて、これが週刊文春2000号で描いた絵という話である。つまり、最初と最後、手帳という素材を最大限、意識させる形で、鳥の姿で時の移り変わりを表現しているのである。

和田誠さんの絵で時を感じさせる工夫
和田誠さんの絵で時を感じさせる工夫

 コスチュームアーティストのひびのこずえさんの手帳は「kadan」と名付けられていて、それは桃源郷のようで、彩豊かな花の表現が心に染み入る。元々、これは、ひびのさんがEテレの「にほんごであそぼ」に寄せたデザインである。

ひびのさんの手帳には華がある
ひびのさんの手帳にはしおりひもに遊び心

 「花鹿亭(はなしかてい)」と言う落語のコーナーの名前にインスパイアされて生まれたもので「花」。ただ、そこにとどまらせる事なく、手帳の中で、再度、光を当て、表現したのである。手帳の「しおりひも」には蝶々のチャームがついていて、時を刻むごと、1日1日、飛び回る工夫も見られて、華やかである。

気づきが別の付加価値を生む

 どの気づきにもあたたかさがある。スタッフの方に聞けば、ほぼ日という会社は「いい時間を作る会社」を目的に掲げているそうで、それ故、合点が入った。他で表現されていたものでも、その価値を見逃さず、別の切り口で引き立たせて、人の心を豊かに満たす。新しいか古いかではなく、それをベースにどう味付けするかで、まるで化粧直しをしたように、魅力的に映る。

 ここで、最後に彼ららしいエピソードを挙げる。 ほぼ日 による ほぼ日手帳 2021 と銘打たれた内覧会だと言うのに、ネクタイが飾られていたのだ。それは、ネクタイ素材と職人へのリスペクトによってもたらされたことであった。

 ネクタイを作ろうとしたのではなく、手帳カバーで細かな表現を施す素材はないかと、探し求めてたどり着いたのが、ネクタイの素材であった。ネクタイの素材は刺繍映えして、発色がよく、繊細で、極めて表現力が高く、それ故、採用されるに至った。

ネクタイのイズムが手帳に注入
ネクタイのイズムが手帳に注入

 彼らはそこに敬意を示しつつ、手帳で使われた柄をモチーフにして、ネクタイそのものも作った。「ほぼ日手帳」がネクタイの付加価値を底上げして、ネクタイの魅力を再確認させている。ちなみに、2021年版の「ちびまる子」ちゃんの手帳カバーもネクタイの素材であり、その素材の良さは、脈々と違う表現に生かされているのだ。

あらゆる価値を見逃さない だから期待する。

 最後、余談であるが、たまたまレジ袋有料化の中で、日頃、仕事用のバッグと一緒に持ち歩いているエコバックのようなものがあって、この内覧会で、ハッとして、そういえば、「以前、ほぼ日で買ったか、何かを購入した際についてきたか、なんですよね。」と言って、これを見せた。

nezuanaとあるエコバッグ風
nezuanaとあるエコバッグ風。擦れている(笑)

 すると、すごくスタッフの方が物凄く喜んで「NEZUANA!写真を撮っていいですか!」とまで言って、この会社の商品にかける思い遣りのようなものにまた、触れた気がする。

 さて、話を戻そう。そんなこんなで、ほぼ日 が丹精こめた ほぼ日手帳 2021 。それは、やっぱり、様々な文化と作品へのリスペクトで溢れていた。繰り返すが、「ほぼ日手帳」のカバーはいわばそれらを表現するキャンバスであって、「ほぼ日」が文化と向き合ってきた歴史そのものである。また、あらゆるものに価値があることを示していて、そこには「まかない飯」精神が宿る。

 毎年、多くのユーザーが継続的に、買ってしまう理由は、そんな風にして、ほぼ日が見つけてくる“文化”を楽しみにしているからなのではないか。2021年は、彼らの表現のうち、どの文化の息吹を感じて、自分のどんな書き込みによって、その一年を、「いい時間」に変えていけるだろうか。そんな前向きにさせてくれるパワーがここにある。

 今から2021年が楽しみである。

関連記事:“ほぼ日”らしく パルコ らしい。文化へ誘う知的好奇心の広場

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