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量子コンピュータ とEC の関係性 GMO SCの描く未来

 未来において、ネット通販はそういう進化をしていくのか。GMOシステムコンサルティング(以下 GMO SC )の畔上文昭さんから「 量子コンピュータ 」について話を聞いた。先の話ではあるけれど、EC サイトでのレコメンドなど顧客対応の中身がより「多様性」を持って変貌していく。

量子コンピュータ ? EC に関係性あるの?

 きっかけは GMO SC がblueqatと提携するということにあった。blueqatはどんな会社か。2014年、日本では誰もまだやっていない頃から「量子コンピュータ事業」に取り組んでいる。その研究内容においても国内で第一線を走っている。

 一方 GMO SC は「GMO クラウドEC」を展開。ネットで独自ドメイン店を構築するプラットフォームであって、顧客体験の向上に繋がる、アップデートが常に必要。そこでアップデートに絡んで、量子コンピュータの可能性に着目した。

 さて肝心の「量子コンピュータ」とは何か。膨大な計算処理能力を持ったコンピュータだと説く。とはいえ、僕が思ったのは「似ているところでAIと何が違うのだろう?」という事だ。

AI は言われた通り、量子コンピューターは自ら計算

 すると、こう答えが返ってきた。AIは「学習して答えを出すもの」。そのためには過去の経験なり、何らか学習をさせなければならない。対して量子コンピュータは「全てを学習させなくとも計算で出してしまう」。その点で大きく異なる。

 そのことを顕著に示すのが、フォルクスワーゲンの実証実験だ。

 フォルクスワーゲンは空港から北京市内までの渋滞を「量子コンピュータ」で計算することで(渋滞を)散らした。「量子コンピュータ」の場合、実は、交差点情報などを入れているだけでよい。あとは計算してくれて、それを具現化させてくれるのである。

 もしもこれがAIであればどうか。「どんな状態でどんな車が来ていて・・・」。そんな具合に全部、AIがインプットしないと、それができない。

 やや細かい話だが「量子コンピュータ」には「ゲート方式」「アニーリング方式」の2種ある。

 ただその2種が何であるかの説明はここではしない。「アニーリング方式」に触れて、その未来を見てみる。なぜなら、現時点ではそちらのほうが、敷居が高くない。おまけに、ECとも親和性が高い実例が揃うからである。読者の皆さんにはECに近い事例で、未来の買い物の広がりをイメージしてもらえたら幸いだ。

量子コンピュータ を EC に近いところの例で理解しよう

 実例を聞いて僕が思ったのは「多様性」である。畔上さんの話してくれた内容でわかりやすかったのは、リクルートの「じゃらん」での事例。いうまでもなく「じゃらん」は旅行予約の大手。下記のデータで比較するとわかりやすい。

 通常のコンピュータにより導き出した結果が、左である。

 ただ、右のデータを見てほしい。量子コンピュータを用いた際のレコメンドは、明らかにその順位が違う。勿論、迅速に整理している。だが、処理能力の高さゆえ、処理する上で吟味する情報量が多い。だから、個々のデータからも様々な情報を導き出して、多様性と意外性に満ちた結果になっている。

 例えば、ホテルだけではなく旅館も入っている。選択肢に多様性が生まれ、衝動買いも生まれやすくなる。繰り返しになるが、与えられた情報だけを扱うAIなどとはそこが違うのだ。

 AIなど今のコンピュータは機械学習により、与えられたデータを迅速に整理してお客様のニーズに合わせて必要な形に可視化させていくのは得意。実際、それが様々な要素を引き合わせてネットビジネスにおける発展の根源になっているけど、融通が効かない部分もある。

リクルートなども関心を持つ技術革新

 量子コンピュータでの結果を見ると、今のコンピュータデータが無機質でのっぺらぼうに見えてくる。

 畔上さんにも話したが、僕はこの技術革新にリクルートが興味を持っている事が面白いと思った。そもそもリクルートという会社は情報を引き合わせることとで成り立つ企業である。例えば、とらばーゆもリクナビも、就職したい人と就職させたい企業を引き合わせ、探す人は無料で企業からお金を取る。

 創業当初は、そのビジネスモデルがなかったから、ただその引き合わせだけでも十分、ビジネスになり得ていた。でも、今主戦場のビジネスは、Google然りネット上「検索」などでそれをやって覇権を握っている。ただ、引き合わせるだけではもはや差別化できなくなっているわけだ。

 だから、その引き合わせ方に工夫が必要なのだ。人の分析然り、データの活かし方も大事。だから、ここに徹底したコストを割くことで、引き合わせの質を高め、自らの企業価値に繋げることも可能だと考えるのだ。先端を行こうとする企業が、この量子コンピュータに関心を持つのは自然な流れであろう。

 例えるなら、普通のプレゼントとサプライズを伴うプレゼントの違いのよう。レコメンド結果はその感覚に近く、その意味でレコメンドが進化していく。

 こういう点を見れば、それらがネット通販にも親和性が高い事が予想つくだろう。

未来のショッピングの中身

 では、彼らが今回の提携により、どんな変化をもたらそうとしているのか。まだ構想段階なので、事例はそこまでないが、3つ挙げているので紹介したい。

 一つは「組み合わせ最適化」。いわば、EC サイト における商品の陳列方法や、リコメンド商品の選択などで活用することを想定している。計算結果にもとづいて、上記にも書いた通り、適度にばらつきが発生するのでついで買いの増加が期待されるのである。 

 二つ目は「画像認識の活用による商品ラインナップの最適化」。 量子コンピュータによる画像認識では、EC サイトで使われている商品画像の特徴を抽出し、商品ラインナップの最適化などに活用することもできそうである。

 三つ目は「自然言語処理の活用による検索結果・サジェストの最適化」。文章中の単語同士が離れていても意味が把握できるようにして、検索結果の最適化や検索時に表示されるようにするわけである。

未知数なうちからその可能性に着目するGMO

 ただまだビジネス利用での実例は少ない。コストが大きすぎるゆえ、それを取り入れて利益が取れるかどうか。その点から賛否が分かれているのも事実。

 それでも未知数な部分も少なくない段階に着目するのがGMOグループらしい。でも普及した際に、ここで得た知見はECサイトだけでなく様々なものに活かされ、この会社の差別化要因になるだろう。

 別に、彼らは量子コンピュータの専門家になろうというわけではないだろう。彼らはそれらを使って、どれだけ顧客満足度が高められるか。そこに関心があるのだ。逆に言えば、この実用化は先の話ではあるかもしれない。だが、聞けば、ネットショップにおいてどんな未来を見据えて、お客様にどう提案するべきかのヒントは見えてくるようにも思う。

 より一人のお客様の趣味嗜好を深く受け止め、あらゆる角度で先回りし気づきを与えて、買っていただく上質なショッピング体験。それがこれからの時代には求められるという事なのである。今のうちから人間の持てる知恵をそこに向けて来るその時の為に備えておくべきなのであろう。

 今日はこの辺で。

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