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キャラクター業界のDXはこう進める──Mintoに学ぶ「伝え方」でキャラが育つ時代の法則

 「ただの可愛い」では終わらない。時に自己表現のツールとなり、時に誰かの心の拠り所になるキャラクターたち。その裏にある設計と情熱を、SNSやLINEスタンプを活用して数々の人気キャラを生み出してきた株式会社Minto。そこで現場に携わる小山幹人さんに聞いた。彼の話を聞きながら、クリエイターたちが手がけたキャラクターが、これから無事に羽ばたいていくために。

 “共感”を起点に、キャラをどのように立ち上げ、育て、届けていくのか。そのプロセスと哲学がここにある。

第1章:キャラクターに“命”を宿すということ

着想と企画は「届けたい人」から始める

 僕が彼に声をかけたのには、理由がある。いわゆるライセンサーというと、語弊を恐れずに言えば、「いかに世界観を壊さずにチェックするか」という物差しで評価される存在だ。

 ただ、その一方で、彼らがライセンサーでありつつも独自の立ち位置を手に入れた。その理由は、プロデューサー気質が強いからに他ならない。それは、元々チャットの中でのスタンプのリアクションを起点にキャラクターの可能性を紡ぎ出し、そこからビジネスを見出してきたことに由来する。

 ※詳しくは「キャラクター業界のDX革命はいかにして推進するか──Mintoの挑戦」も参照いただきたい。

 スタンプという最も身近なコミュニケーションの場から、キャラの価値とライセンスの新しい可能性を世界に拡げた、その“DX視点”がすべての起点となっている。

 だから、これから学ぶ人にとっては、うってつけの存在だと思う。今の時代を生きるキャラクターに必要な本質が、Minto小山さんの言葉に詰まっているように思えたからだ。

「誰に届けたいか」がすべての起点

 そして、色々聞いていくうちに、たどり着いた結論はこうだ。やっぱり「テーマ性」がすべての起点なのだ。キャラクターを企画するとき、まず「誰に届けたいか」が出発点になる。

 ターゲットを原宿の女子高生に設定するなら、「なりたい」「使いたい」「共感したい」という要素から逆算してコンセプトを設計する。

“可愛い”だけでは届かない、“とがり”という個性

 特に重要なのは、“可愛い”だけではなく、受け手の心に引っかかる“とがり”をもたせること。可愛さの中に込められた社会への皮肉や共感性が、多くのファンの心をつかんでいる。

 ここが肝であるということを痛感させられた。

キャラクターの魂は“世界観”と“意志”から宿る

 そして、キャラクターは「タレントの一種」だと捉えてもいい。魂を込めない限り、ただのイラストでしかない。その魂とは、制作者の“意志”であり、“メッセージ”だ。ビジュアルは目立ってなんぼだが、それだけでは長続きしない。

 Mintoが扱うキャラクターの例を挙げてみよう。動物×動きの掛け算でバズった「うさぎゅーん!」も、アニメーションスタンプ時代を読み切って企画された存在だった。

 しかし、最終的に愛され続けるには、キャラ自身の「生き様」が必要なのだ。繰り返すが、“可愛いだけ”じゃダメなのである。

SNSは“育ての場”。バズも計算、でも“愛”がベース

 冒頭でも触れた通り、彼らのキャラの多くは、SNSを味方にして、その影響力を獲得している。SNS上では、キャラは日々の投稿で人格を深めていく。投稿は「物語」であり、「育成」でもある。

 KPIを意識しつつも、アイドルのようにファンとともに成長していくストーリーが必要だ。どれだけ内なるメッセージを持っていたとしても、それが伝わらなければ意味がない。小山さんは「動画のフレームまで真似する」くらいトレンドに寄せることも、伝える手段として語ったが、そこに込められた意図は“パクリ”ではない。

 伝えたいことがあるからこそ、そこまでやれるのだ。

 この“伝え方”への貪欲さは、読解力が分散する時代にこそ、クリエイターの矜持として必要だと感じさせられた。

第2章:ブランドとしてのキャラを育てるには?

ポジションの設計:可愛いだけでは足りない

 可愛いキャラは世に溢れている。だからこそ、印象を残すには“理由のある可愛さ”が必要だ。そこに潜む悲しさ、毒、意外性──それがキャラクターに奥行きを与え、人の記憶に残る鍵になる。

 そして、キャラクターが企業の“橋渡し”役になることも多い。ここに、最初に話した「伝えたいこと」、つまり“核”がある。キャラクターには、常に“向き合う相手”がいるということを意識することが大切なのだ。たとえば、企業キャラクターを作る際に、社長を模したキャラでは届くべきメッセージは届かない。

 伝えたいことを、伝えられるキャラクターと“見せ方”で届けなければならない。そこには、親しみやすさと信頼感のバランスが求められる。

そして、その軸の上に“トレンド”を掛け合わせていく設計が重要となる。

ステップと判断軸:キャラをブランドに昇華する

 Mintoは企業として、自らキャラクターを手がけてもいる。だからこそ語れる、キャラがブランドとして成立するかどうかの分岐点──それは「費用対効果」だ。

 投資したリソースに対して、どれだけの成果が出ているのか。これを冷静に見極めながら、段階的に育成していくいく必要がある。

KPIで物語を作るという発想

 KPIがあるからこそ、それをフォロワーにも明示し、イベント性を生み出すことでキャラクターの存続を願ってもらえる。たとえば、「フォロワー1万人達成でグッズ化」などの目標を掲げることで、ファンとの“共創”ストーリーが生まれる。

 これは地道な積み重ねの結果であり、華やかに見えるキャラ運営の裏には、こうした現実的な設計が存在する。

 この点においては、趣味で始めたクリエイターが花開く流れとは、少し違う世界線だと言えるだろう。

第3章:ユーザーとの“共鳴”をどう生むか?

UGCの力:ファンが“自分の物語”を描けるキャラ

「キャラは、ファンにとっての“素材”でもある」。この言葉がしっくりくるのがMintoの展開だ。

 Facebookの「Usagyuuun Family」など、UGC(ユーザー生成コンテンツ)を自然に生む環境を、見守る姿勢がある。下手に公式のコンテストを打つよりも、ファンが自発的に描き、広げ、互いに刺激し合う空気感こそが“友達のようなキャラ”を育てる鍵なのだ。

だから、極論すれば二次創作にも寛容である。

 それがファンのクリエイティブを発揮させるきっかけとなり、キャラクターの世界を広げる要因になるからだ。思えば、人々の才能は「何かの素材」があってこそ生かされる。

 キャラクターという土壌があることで、創作の種が芽吹くのである。

商品開発:リアルの場へつなげる熱量

“好き”がリアルとつながるとき

 SNSで広がったキャラクターとの関係性は、リアルに落とし込むことでさらに深まる。ぬいぐるみやアパレル、アクリルスタンド──これらは単なる商品ではなく、「一緒に過ごす感覚」そのものだ。

 街でカバンにキャラをつけた人を見かけた時、ふと思う。“あの人にとって、このキャラは誰かとの関係をつなぐメディアなのかもしれない”。

 これは、SNS上での熱狂と本質的には変わらない。

 キャラクターとブランドのコラボにおいても、担当者がそのキャラに理解があるほど、コラボが“ハマる”。キャラのファンと、同じ目線で世界を見ているからこそ、自然と世界観が共鳴するのだ。

AIなどあたらしい技術との接続:これからの共創の可能性

 Mintoは、次の未来を見据えている。ベタックマのAI化など、新たなテクノロジーとの融合にも積極的だ。

 従来のライセンサーが避けてきた“世界観の開放”にも柔軟に向き合い、キャラを“誰かの人生に寄り添う存在”へと進化させる。「いかに参加余地を残すか」。これはキャラの未来を左右する問いであり、共創を設計する側の新しい責任でもある。

目指すべき“これからのキャラクター像”

「みんなに寄りそう存在。でも、ちょっと抜けていて、愛される存在。」

 Mintoの小山さんの話を聞いていて思う。目指すべきキャラ像は、まさに“隣にいる哀愁漂うヒーロー”なのかもしれない。そのキャラがSNSで伝え方を学び、共感を集め、二次創作の素材になり、仲間との関係性の中で育ち、拡がっていく──

 すべては“伝えたいこと”があるからこそ、成立する流れだ。

“共感”は、いつも小さな問いから始まる

 “伝えたいこと”と言うと、どこか崇高に聞こえるかもしれない。

 でも実際は、「動物×動きの掛け算って、面白くない?」──そんな小さな問いから始まっていい。

 キャラクターが“商品”から“共感の起点”へと進化する時代に、小山さんの話は、表現を志すすべての人にとって、大切な羅針盤になるはずだ。

今日はこの辺で。

(C)Minto Inc

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