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キャンバスに絵を描くように 手帳カバーは無地から表現を受け入れ進化を遂げた ほぼ日手帳 2025

 アートというか、“表現”って偉大だな。それは心に潤いを与えるから、僕らの日常に充実と生きる意味をもたらす。まさに、その“表現”と日々を刻む手帳の相性の良さに価値を見出したのが「ほぼ日手帳」。時を刻むほど、充実感が伴う手帳は、彼らの魅力を閉じ込めるには十分な素材。この日、僕はプレス内覧会に来て、それを思い、新商品の前で想いに耽ったのである。

ほぼ日というメディアがあってこその手帳カバー

 ・・・とまあ、そうは書いたけど、スタートを思えば、最初は手帳カバーも無地だったように思う。一方で、「ほぼ日刊イトイ新聞」は、エンタメやアートなど、最初から感受性に訴えかける素材を優しく言葉で綴っていた。だから、この手帳と表現の遭遇を果たせたのである。実は、出会いは偶然だったかもしれないけれど。

 それは「ほぼ日手帳」を購入する僕が言うのだから、本当だ。会場でスゲェとつぶやく僕。とてつもなく進化したなと素直に思う。

参考:“ほぼ日”らしく パルコ らしい。文化へ誘う知的好奇心の広場

 それらの遭遇が素敵な化学反応を起こすのである。例えばそれは「ひみつのストレンジャー」でよくわかる。

 その原点は、スピッツのアルバム「ひみつスタジオ」にある。草野マサムネさんが同アルバムに寄せて書いた楽曲をもとに、junaidaさんという作家が物語を描いた。その歌画本こそが「ひみつのストレンジャー」。作品と彼らの縁は深くて、「ほぼ日」の文化的拠点「ほぼ日曜日」でも、その展覧会を行っていたほど。

 作品への敬意、絵の価値観への共感。そして、それを取り上げるセンス。それらなくして、これらの手帳は実現しなかっただろう。

 写真を見てほしい。他の誰が見るわけでもない、カバー裏面にもその絵が描かれている。そこにコストをかける辺り、彼ららしい。持ち主だけの楽しみを入れて、特別なものである気分を高め、胸を躍らせる。

1日1日、潤いを与えて時を刻む

 手帳のカバーを通して、数多くの作家の視点が、深く、僕らの人生に潤いを与える。

 柴田ケイコさんは「パンどろぼう」などで知られる絵本作家。オイルパステルという手法で、淡い色合いがアーティスティック。動物をモチーフにしたハートフルなイラストを描く。

 こちら、北岸由美さんは、アクリルガッシュで絵を描くのだが、マットな印象。絵本風という括りでもその表現方法は多種多様であることがわかる。

 ここにそっと、ほぼ日のエッセンス。手帳の内面にも、こんな微笑ましい工夫を施すのか彼らの流儀。

 また、石川直樹さんは、写真家。元々、マッキンリーという名前で知られる「デナリ」という山を写したもので、自身が登山したその道を、セスナで撮影した。深みのある青と白で構成された山の景色を、なんとか生かそうと、「サイアノタイプ」という手法で現像した。カバーの右端には、現像液を塗った時のハケの跡が残っていて、そこに味わいがある。北米最高峰の山の魅力を際立たせたいという想いが成せる技。

漫画、アニメもまた日本が誇る大事なカルチャー

 また、見逃せないのが、漫画・アニメ系コンテンツで、日本が誇るカルチャーである。

 例えば、『ONE PIECE magazine』とのコラボレーション。『ONE PIECE magazine』というムック本で「読者が選んだ『ONE PIECE』の言葉」を募り、それをテーマに製作した「ほぼ日手帳」。365の日々の言葉として1日1ページに掲載している。

 また、手帳は勿論だが、手帳をカスタマイズする商品も出て、存在感を増している。

 例えば、こちらはいわゆる修正テープの要領で、押して引っ張ると、漫画中の尾田栄一郎さんテイストの効果音が転写される。

©Eiichiro Oda/SHUEISHA

 これが大事な職人芸を引き寄せる。

 下のボタン式浸透印を見てほしい。その名も「Pochitto6(ぽちっとしっくす)」。これは、スタンプの老舗メーカー「こどものかお」の技術を用いたものである。押しボタンのようなものが6つ並んでいて、裏を返すとハンコになっている。全部が印刷されるわけではないのがみそ。

 そのときの気分に応じて、好きなボタンを一つ、二つ、ポチッと押す。6つのハンコは、麦わら帽子や電伝虫など、作品を印象付けるモチーフ。これ一つで、6種のスタンプを使い分け、ポンポン押して、楽しめる趣向である。僕は、ほぼ日手帳、あるいはONE PIECEのファンの掛け合わせの裏側で、老舗メーカーの職人芸が燻銀で光っていることに意味を感じる。

キャラクターグッズにはないアート性

 また、新たに『SPY×FAMILY』もほぼ日手帳に仲間入り。これも、彼らの手にかかると、アート思考が強くなる。手帳カバーの表面だけではなく、裏面に、テレビアニメの名シーンが描かれていたり、各々でカスタマイズできるように工夫されている。

©遠藤達哉/集英社・SPY×FAMILY製作委員会

 漫画、アニメ関連の手帳の裾野が広がっているのも「ほぼ日」進化ではないかと思う。

 なぜなら、これらの漫画、アニメコンテンツは、海外需要の伸びを受けてのことである。共通しているのは、それは消費財としての手帳の購入ではない。

 手帳は手帳でも、記録というよりは1日1日の「生活に潤いをもたらす」視点で作られている。そこがブレていないから、必然的に趣深い仕上がりになる。キャラクターに依存しない商品力が、結果、海外でのリピート需要に伴って、今やこの会社の柱となるほどなのである。

センスは細部にも宿る

 そのセンスが秀逸で、その素材がなんであれ、そこには彼らの精神が宿る。「パディントンベア」という有名な作品があって、これも「ほぼ日手帳」が出ているけど、それに関連した下敷きなどもこの通り。

可愛らしい色合いに満ちた雰囲気だが、裏を返せば、その線画によって表現されたシンプルなテイスト。作品の奥深さを商品で表現しているわけだ。結果、それは、ほぼ日手帳のアート性を引き立てる。一日一日、そのページを捲る日が充実感に満ちたものへと変わっていく所以である。

 また、手帳の提案の仕方も多様性を帯びており、ブックタイプの手帳もある。要するに、手帳カバーなしで使える手帳。でも、ほぼ日手帳と同じクオリティであり、例えば、左端の手帳の表面はネクタイの素材を使ったものである。

 さらに、手帳自体の裾野が広がっているのも注目で、それが「ほぼ日 5年日記」である。

 手帳は一年周期に書くもの。だけど、そうとは限らない。出産などを契機に、そこを起点に数年、まとめることで価値が生まれるものもある。実際、そのような使われ方でギフト需要として、広がっているというのだ。手帳の底知れない可能性を思う。それゆえ、その点を意識して、奥見伊代さんデザインで統一された贈り物セットを用意。受け取る側の感動がより大きくなるよう、振り切った仕様だ。

消費財とは違う視点で付加価値をどう生み出せるか

 僕はいつも思うのだ。勿論、消費財のように必要不可欠だから、商品が購入されることがある一方で、人の心にとってかけがえのないアイテムだから、購入されることもあると。正直、手帳なんか、昔から山ほどあった。でも、その中にあって、「ほぼ日手帳」が支持され続けている意味を思う。

 語弊を恐れず言えば、実は、あってもなくてもいいものの方が、人の心にとって“必需品”になりうるのではないかと思う。何をしてもその1日は過ぎていくものだからこそ、人生の豊かさは、その1日1日で、どれだけ価値を見出せるかなのではないか。そこには、アート、文芸、音楽など、あらゆる才能を受け入れる、心のゆとりが大事で、いかに付加価値をつけて、1日1日の到来に胸を躍らせられるか。

 その意味で、ほぼ日手帳は、Googleスケジュールにはない、気持ちが華やぐ期待がある。僕はここにものづくりとしての価値を感じる。ああ、僕は今年も買ってしまうだろう。来たる新しい一年に胸をワクワクさせて。早くもどれを選ぶかで“楽しく”悩んでいる僕がいる。

 今日はこの辺で。

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