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“ほぼ日”らしく パルコ らしい。文化へ誘う知的好奇心の広場

 いきなり余談で恐縮だが、僕にとってかけがえのない一冊がある。「ほぼ日刊イトイ新聞の本」。僕が学生時代、心を動かした一冊であって、だから、「ほぼ日刊イトイ新聞」、つまり“ほぼ日”は僕にとっての憧れであった。だからこそ、僕は「渋谷 パルコ 」の4階で感慨深く、とある店を見つめていた。

この本は、「ほぼ日」の原点が詰まっている。
ほぼ日刊イトイ新聞の本:「ほぼ日」の原点が詰まっている。

 その店の名は「ほぼ日カルチャん」といい、その運営は、株式会社ほぼ日が行っている。

ほぼ日 カルちゃんは パルコ にある
ほぼ日 カルちゃんは パルコ にある

 このお店を見ていて、思い出したのがその「ほぼ日刊イトイ新聞の本」の中でのキーワード“まかない飯”という言葉だ。

 著名人はそのそれぞれの才能を発揮して今に至るわけだけど、そんな人にも色々な顔があって、本業以外の顔つきに光を当てて、それを、ほぼ日では取り上げた。そこで、そのことを「ほぼ日刊イトイ新聞」主宰 糸井重里さんは“まかない飯”と呼んでいたのだ。

 “まかない飯”が美味しいように、人もまた、普段見せない表情は、魅力的かつ学びがあるということだと僕は受け止めた。そんなふうにして、生活の“何気ないものに価値を気づかせる存在”である「ほぼ日」のこの精神はこのお店にも通じていた。

何気ないものに価値を与える名手「ほぼ日」

 この「ほぼ日カルチゃん」は“まいにち、東京特集”をコンセプトとした東京の文化案内所であり、都内にある美術、音楽、映画などを紹介して、合わせてチケットやそこでのグッズを販売している。何気ない日常も、こんな文化に触れることで潤いを持ったものへと変わる。極論、これがなければ生きていけないものではないけど、あれば、きっと人生は充実するに違いない。

野田秀樹さんの舞台「Q」の伝え方

 この店に足を踏み入れると、アーティスティックな衣装が一際目を引いた。聞けば、松たか子さんが着用していた衣装だという。

 野田秀樹さんが「Q」という舞台をやっていて、それを象徴するものとして、松さんの衣装をこの店に展示した。衣装担当のひびのこづえさんが手掛けた渾身の力作であり、来客した人を“その気”にさせる。そして、惹かれるまま自然な流れでチケットも買えて、そのまま足を運べるというわけだ。それ以外にも、藤子・F・不二雄ミュージアムでの「50周年展」を盛り立ててるべく、そこには、漫画家が描く際に必要なペン「カブラペン」などを展示していた。

 東京は人も多く、触れられるカルチャーも多い。だから背中を一押しするこの店の存在は大きい。何より「パルコ」も文化的色彩が強いから、どれも親和性が極めて高い。

言葉で伝え、言葉以外で感じてもらう

 「ほぼ日」のサイトでは、忖度なく本当にいいものを良いと主張して続けてきたわけだけど、この店でもそれは徹底されていて、「紹介されている美術、音楽、映画などは、実際に、美術館や映画館などにスタッフが足を運んで本当にいいと感じたもの」とスタッフ自身も誇らしげだ。

 純粋に感動していると、その場で案内していた「ほぼ日」木下奈保子さんに「ぜひ、8階にも」と促された。8階には「ほぼ日曜日」というお店がある。

 このネーミングは「いつ訪れても日曜日のようなワクワク感を与えるスポット」という意味を込めてのこと。ここにも何気ない平日に“休日のような付加価値を与える”この会社らしい仕掛けが垣間見られる。

 先ほどの「ほぼ日カルチャん」がアート展や舞台の“案内所”“入り口”だとすれば、この場所は、ここ自体が、知的好奇心が刺激させられる、アートの“表現場所”に思えた。

作品は何度も素敵さを醸し出す

 お伺いした際には、(少し前で恐縮だが:今はやっていない)「アッコちゃんとイトイ」という企画展をやっていた。ここに並ぶ作品は、かつて、矢野顕子さんと糸井重里さんで作られた曲の数々を、全くジャンルの異なるアーティストに投げかけて、それらの曲からイメージされる作品を作って欲しいと、依頼したものなのだ。

パルコ にある ほぼ日 の店

 僕が印象に残っているのは名曲「ニットキャップマン」にまつわる作品。イラストレーター福田利之さんは紙の皿にティッシュを貼り付けて、凹凸のあるニットキャップマンのアートを作っていて、その横では作家Bonami(ボナミ)さんがニットを使って編み上げた、素敵な人形が並んでいる。実に印象的に、曲を全く違う価値観で、盛り立てていたのだ。

 本来、音楽も絵画も、どんな作品もまた一回聴いたら終わりではなくて、スルメイカのように噛めば噛むほど、味わい深いものであるはずだと思っている。こうやって一度耳にした曲であっても、時を経て、こうやって別の作家によりまた新たな表現をされることは、その曲を大切にすることであり、今の人に知らなかったはずの素晴らしい価値を伝えることになる。

まかない飯を探し当て、その素敵さを拾い上げる

 冒頭で、勝手ながら「ほぼ日」の印象について“何気ないものに価値を気づかせる存在”だと僕は書いたが、それはこちらの「ほぼ日曜日」でも健在だった。

 これからも、この渋谷パルコの拠点をきっかけに、まだ見ぬ「素敵なもの」が「ほぼ日」の手により発掘され、そして育まれて発信されて、多くの人の心に留めていくことになるだろう。

 これを契機に、ほぼ日が、世の中のあらゆるものの「まかない飯」を探し出して、ほらこんなに素敵なんだよ、と語りかけてくれる日が増えそうである。この地に、僕はまた次なる“まかない飯”を心待ちにして、訪れてみようと思う。

(追伸)ほぼ日さん、この記事をシェアしてくださいまして、ありがとうございました。一ファンとして純粋に喜んでいます。

関連記事:ほぼ日手帳 2021 発表 文化を敬い、表現で魅せる

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