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「女性」「旅」「パリ」で伝わる19世紀の躍動感 ポーラ美術館コレクション展

 ポーラの創業者の長男 鈴木常司さんはフランスの現代美術などに造詣が深く、数多くの作品を収集した。そして、箱根に創設された「ポーラ美術館」でそれらが披露され、多くの美術愛好家に支持されている。今回は、渋谷のBunkamuraが「ポーラ美術館コレクション展 甘美なるフランス」を開催するというのでやってきた。

ポーラ美術館コレクション展 当時のパリをリアルに伝える

1.印象派の画家による絵画を厳選

 この美術展は、箱根にある「ポーラ美術館」の作品でも、印象派などの28名の画家による絵画を厳選。興味深いのは、この辺がポーラならではで、化粧道具と合わせて、90件の作品を紹介している。

 19世紀のパリというのは、産業が発展するタイミングで、その躍動感は絵からも伝わってくる。例えば、「サン=ラザール駅の線路」というクロード・モネの作品。煙と蒸気がもくもく広がり、奥には駅舎が見える。

2.鉄道ができたことの高揚感

 鉄道ができたことで、いままでは郊外と思われた場所も一気に近くなった。街に訪れる人も、街自体も変貌を遂げていく。今であれば、これは環境的に、、、という問題もあるのだろう。だが、この時代はむしろ、この煙にこそ時代の進化を見た。それをモネはひたすらそれを感情的に表現しているわけである。

 館内での説明によれば、この絵を描くために、駅近くで部屋を借りたそうだし、汽車を止めさせたり、大量の石炭を焚べるように依頼したなどのエピソードもあって、それでまず、冒頭の「目の前にあるものをただ描くのではなく、結局はその人の内面を映し出すもの」という気持ちに至ったのは、それゆえだ。

動き出す時代の中で、際立つ女性のしなやかさ

1.帽子へのこだわり

 今回の展示会の中でメイン「レースの帽子の少女」。ピエール・オーギュスト・ルノワールの作品である。ルノワールは自ら絵を描くにあたって、衣装を自分で用意していたのだそうだ。帽子へのこだわりが一際、強かったことがこの絵から窺え、たかが帽子じゃないかと思うが、そうではない。

 本当のリアリティというのは、何か。先ほどの汽車の話と通じるが、あるがままを書くのではない。

彼らにとって絵画は主張である。だからこそ衣装を自分で用意する。単純に目に見えるものを描こうという作業的な意味合いであれば、そんなことは必要はない。準備に彼らの姿勢があるわけだ。

2.ラウルデュフィのパリは4枚のカンヴァスで表現

 20世紀にかけての作品も多い。ラウルデュフィの「パリ」は圧巻。4枚のカンヴァスを使って、屏風に見立てた作品である。そこにはパリの名だたる主要なモニュメントが描かれている。だが、1枚目から4枚目にいくにあたって徐々に、朝から昼、そして夜へと街並みが変化していて、興味深い。

 画家がその表現方法の工夫によって、胸の内を示そうとしている事がよくわかる。

 そして、この19世紀、芸術の街でやはり輝いていたのは「女性」。しかり、やっぱり、僕自身一番心惹かれたのが先程触れた「レースの帽子の少女」で、女性らしいときめきとしなやかさがある。

3.化粧品の容器も時代を彷彿

 そしてその横にはそっと化粧品の容器が置かれているのも気になった。そういう当時の女性のしなやかさは、その当時の化粧品にも見られている。女性像をモチーフにしたのか、その曲線的な作りになっている。心に訴えるデザインであって、想いを感じる。

化粧品もその時代を輝かせる表現

1.時代を輝かせるのが化粧品

 改めて、ポーラの創設者の鈴木常司さんが、フランスの現代美術などの収集をしていた意味はどこにあるのだろう。

 この美術展のテーマは「女性」「旅」「パリ」。鉄道などにより多くの人が街を意識して、産業が発展していく中で、パリという街は芸術を上手に取り込んで、身も心も女性は輝いていた。しかも絵画はリアリティそのもの。その時代の興奮を今に伝えるもの。

2.美しさの原点をアートに学ぶ

 「美しさ」という部分で同じく化粧品を提供するものとして、これらの絵画は琴線に触れる何かがあったのだろう。「表現するもの」の工夫、またそこで躍動する人々の表情。それは、何かしら自分たちの表現にも繋がる力を持っている。

 ポーラは化粧品会社として、こういうアートを通して、女性の躍動感という意識にどう近づき、華やかな世界を自分たちが演出するか。それを気にかけていたのではないか。アートも誰かのフィルターを通して心に残る人々の日常だ。見る人に何かしらの表現を後押しすることになりそうに思う。

 今日はこの辺で。

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