オルビス 流通サービス AGV 導入で変貌 物流 環境と生産性
ネット通販の利用が増加し、急激に出荷数が増えてきている今、変革すべきは、物流拠点にある。一つに生産性をいかに向上させるか、もう一つはそこで働く人員の確保と、それを定着させるための職場環境の見直しにある。そんな 環境と生産性 の重要性が叫ばれる中、株式会社流通サービス が AGV (自動搬送ロボット)を導入した事を明らかにし、未来に繋がる一つの方向性を打ち出した。流通サービスは、生協やオルビス株式会社の化粧品商材などの 物流 を支える企業である。
物流 の変革期 AGV 導入 環境と生産性 はどう変わる
今回の動きは、オルビスが掲げる方針「テクノロジーの積極活用と協創により省人化と生産性の向上を実現する次世代物流構築」に合わせて、実行したもの。オルビスにおける通販の姿勢を示すものであり、それに呼応する形で、流通サービスが動いたわけで、今後、通販関連の物流に影響を与えるものである。
具体的には、集荷から発送までの部分で、マテリアルハンドリング企業の株式会社椿本チエインと協働し自動化した「T-Carry system」と呼ばれる仕組みを新設した。この仕組みの中で一役買うのが、AGV(自動搬送ロボット)である。このAGVは、プラスオートメーション株式会社より導入したもので、Zhejiang LiBiao Robot製を、一部改良して稼働させたのである。ここが重要である。
AGV(自動搬送ロボット)って何?
AGVは、AI 技術を活用した優れた管理システムによって最適なルートで走行し、循環する仕組みで、バッテリー消耗時には稼働エリア内の充電ステーションへと向かい自ら充電する優れもの。上の写真を見て欲しい。これが物流拠点の課題解決に寄与するわけだが、それは具体的に下記の5つの点からである。
- 1)省人化によるコスト削減
- 2)複数業務統合による省人化
- 3)出荷能力現状比30%増
- 4)労働負荷低減(待たせない・歩かせない・持たせない・考えさせない)
- 5)省スペース化
特に5つ目の省スペース化においては、200坪の空きスペースの創出などが見込まれ、期待は大きい。流通サービスはすでに実稼働に向けて諸所の調整業務を完了していると言っており、準備は整っている。
その効果はいかに
気になるのは「AGV(搬送ロボ)導入」の効果の具体的中身である。まず人材の数字から。過去、オルビスへの通販対応の人材投入は89人であったのに対し65人と27%減。
就労者の作業についても、導入前、低・高頻度品で2種類の設備稼働となっており、特に低中頻度品の集品に関しては1日中の歩行が必須で、負荷がかかっていたわけだが、導入後はそれも無くなった。
また、導入前は、カート・DAS・検品梱包作業時のピックケース持ち上げや高頻度集品ライン及び検品時には待ちが発生するなども見られた他、目視による発送先の方面別仕分けが常時、発生しており、生産性が高かったとは言いづらい。
しかし、ピックケースの持ち上げも導入後は無くなり、AGVが常に待機するので集品・検品作業時共に作業待ち発生がなく、方面別仕分けは全て自動化になって、全て改善されたというわけなのだ。
以上から、処理能力は導入前1800件/時に対し、導入後は2400件/時と約30%の大幅増となったので、受注ポテンシャルの時間・量・質ともに大きく底上げすることになり、流通サービスはいわゆる物流拠点における課題に道筋を示した格好だ。
冒頭にも書いたとおりだが、ネット通販の利用が増加し、急激に出荷数が増えてきている今、変革すべきは、物流拠点。ここが変わらずして、いわゆるデジタルシフトもないだろう。今回、流通サービスが取り入れたこれらの一つ一つの改善要因は、彼らが担うオルビスや生協など、通販全体の盛り上がりと、物流施設内の風通しの良さ、そこで働く人々のモチベーションに対して明るく光をもたらすことを祈りたい。
今日はこの辺で。