「もしも私が帰れなくなったら…?」猫と人をつなぐ“もしも猫”物語と、ねこヘルプ手帳が生まれるまで

猫を飼っていると、いつもそばにいてくれるだけで心が満たされますよね。けれどもふと、「もし私が家に帰れなくなったら、この子はどうなってしまうんだろう……?」。そんな風に考えたことはありませんか? そんな“もしも”から生まれたのが、猫のための「ねこヘルプ手帳」。そして、SNSで大きな反響を呼んでいる漫画『もしも猫』です。
今回Xスペースを活用した番組「キャラ談」は、作者のオキエイコさんがゲスト。創作への想いや、新しいキャラクターの広がりを語ってくれました。その背景には、SNSの読者たちと一緒に育む“物語”の形がありました。ハートフルなストーリーに込めたメッセージとともに、オキエイコさんが大切にしている世界観をのぞいてみませんか?
1. “大好き”のその先にある、もしもの準備
オキエイコさんがまず手がけたのは、「もし自分が突然、家に帰れなくなってしまったら……」という想定から生まれた「ねこヘルプ手帳」でした。
「大好きな愛猫を守りたい」という気持ちから、猫の基本情報や代理人の連絡先、病院の情報などをまとめて書き込める手帳を発想。その着想をかたちにするまでには、周囲のアドバイスを取り入れたり、必要な項目をファンから意見募集したりする工夫があったそうです。
誰もが考えたくない“もしも”。だからこそ、あえて目を背けずに向き合う大切さ。それをわかりやすく支えてくれるのが、このヘルプ手帳というわけです。
2. SNSで沸き起こった共感──創作とファンが育む物語
しかし、オキエイコさんの活動は、手帳だけにとどまりませんでした。
「ねこヘルプ手帳」の想いをさらに広めたい。そう考える中で生まれたのが、SNS連載の漫画『もしも猫』です。物語は、ある日突然、飼い主が事故で家に帰れなくなり、残された猫たちが奮闘するという切ない幕開け。
ところが、読んでいくうちに見えてくるのは、「家族同然の猫も、不安になりながら、どうにか飼い主に会いたいと思っているんだ」という猫の心情や、飼い主の中にある孤独や葛藤──つまり、人と猫がお互いを思い合う姿です。
SNSにアップされるたび読者からは多くのコメントが寄せられ、「私も考えさせられた」「自分も愛猫をもっと大切に思えた」といった共感の声が作品の世界を後押し。
オキエイコさんはファンの反応を見ながら細かな表現を調整することで、“読者と一緒に創る”作品へと育てています。
3. 描くたびに深まるキャラクターと、心を支える声
『もしも猫』には、飼い主・りんちゃん、そして個性豊かな猫たちが登場します。
- • 無口だけれど、飼い主を想うまめちゃん
- • 飼い主への気持ちに気づかせようとする話し好きのくろ
- • 愛すべき脇役たち(千場さんやファット、ボスなど)
どのキャラクターにも、読者それぞれに「推し」がいるほど。彼らがどんな行動をとるのか、読者はSNSでリアルタイムに応援や心配をし、時には「そこは危ないよ!」とツッコミを入れながら見守ります。
オキエイコさんにとって、このファンからの声は“創作のエネルギー源”だそう。日々のリプライ(返信)や感想を通じて、「誰かの心に届いている」と実感しながら筆を進められるのだといいます。
4. 目指すはホッとする未来──作品が広がるこれから
「もしもの時、愛猫はどうなるのか?」という問いから始まった物語。ですが、ゴールに待っているのは決して暗い結末ではありません。オキエイコさんは、「読んだあとにホッとできるような、でも大切なことを考えるきっかけになる作品にしたい」と語ります。
今後は、書籍化やグッズ展開への期待も高まっています。
ファンからは「キャラクターのキーホルダーが欲しい」「あのシーンのイラストを部屋に飾りたい」など、さまざまなアイデアが寄せられ、皆で応援し合いながら物語がさらに広がっていきそうです。
まとめ
「猫が好き」という想いは誰でも同じかもしれません。けれど、その先にある“もしも”を考え、行動に移し、さらには物語という形で伝えたのがオキエイコさんの活動です。
飼い主の不安や喜び、猫たちの視点や絆をリアルに描きながらも、読み終えたあとには優しい気持ちになれる──そんな『もしも猫』。興味を持った方は、ぜひオキエイコさんのTwitterや連載漫画をのぞいてみてください。きっと、日々の暮らしがもう少しあたたかく感じられるはずです。
大切な存在と、かけがえのない時間をもっと大事にしたくなる――そんな優しい物語に、あなたも触れてみませんか?
キャラ談vol.32
教えて!オキエイコさん。〝あの猫の漫画〟脚光の舞台裏と未来