ZARA を世界一へ導う 戦略 高い 利益率 の秘訣
ZARA を世界一へ導う 戦略 高い 利益率 の秘密 ZARA は今や世界一のファッション企業であるが、その裏には今までのファッションとは違う 戦略 にあり、その秘訣は安定した 利益率 にあった。「ZARA」はどこにコストを割き、他との差別化をはかり、それだけの地位に登ったのだろう。そのことを教えてくれたのがリンクスの代表取締役 小橋重信さんであり、物流の専門家である彼がなぜそれを語るのかは、下記を見ればわかる。
ZARA の 利益率 の裏には、彼らならでは 戦略 があった
1-1. ZARAとはどんな企業か
「ZARA」は改めて説明するまでも無いが、スペインにあるインディテックスという会社が展開しているブランドで、ファストファッションの雄である。もともとは1975年に誕生し、最初は生地を仕入れて、縫製して製品にする、いわゆるメーカー的存在。
ところが、その後、とあることをきっかけにその方向転換をすることとなる。それは小売や卸先の姿勢である。小売や卸先はトレンドをよく理解しないまま、商品制作の依頼をし、また、自分の都合で理不尽にキャンセルをすることもあったのだ。まさに、そこへの不満を契機に、自ら小売をやりながら製造をすることを着想することになる。
もともとメーカー的要素があったが故に、製造工場をよく知っていたという事実が相まって、それが小売を通してお客様と直接繋がることとなり、今でこそ当たり前になったSPAの販売スタイルの原型がここに生まれるわけだ。
※SPA=製造小売業
今やその売上は日本円にして約2兆円(2019年1月期)。ちなみに、最近破綻した「Forever21」も同じくファストファッションで名前がよく上がるが、この「ZARA」とは全く事業の構造が異なっていて、かたや破綻、かたや世界一と、このタイミングで両社の明暗はここで大きくわかれる。
そんなZARAの戦略で重要な要素として、実は“物流”の話が出てくる。その他のアパレル企業と決定的に違うのは、物流の部分なのだ。
1-2. 今までのアパレルは?
過去のアパレルならば、船を使い1ヶ月かけて資材を送り込み、中国の工場で大量生産した上で、商品が店に並ぶ。ところが、「ZARA」は受注予測に基づいて、最初の型こそは2ヶ月ほどかける。けれど、それ以降はそのデザインをベースにマーケティングを徹底して行い、微調整して4週間のサイクルで次のデザインを生産してしまう。マーケティングに基づきわかった消費者のニーズのその熱が冷めないうちに、そのまま空輸でスペインの本社から直接、世界中に送っているのである。
送る回数も1週間に2回であり、当然ながら日本国内に物流拠点がない。一回一回、本国からこのサイクルで空輸で送る、その配送コストの金額は尋常ではないことは言うまでもない。
1-3.“物流” を駆使してトレンドを逃さず販売する
流行ってからお客様の手元に届くまでのリードタイムを徹底的に短くすることに専念した結果、プロパー消化率が極めて高くなったという。この「プロパー消化率」とは「定価で売れている商品の割合」のこと。つまり、セールを行わないので、「プロパー消化率」が高いのがZARAの特徴。当然ながら、利益率は高くなり、これが業績を安定させる。
これをみて欲しい。日本経済新聞者出版の書籍(「ユニクロ対ZARA」斎藤孝浩著)を参考にしたデータであるが、粗利が高く、「ZARA」の基盤を安定させているのだ。
つまり、売れる数量を、売れるデザインで、売れるタイミングに売れば、自ずと商品の原価を引き上げることが可能となる。それが実現できるとわかっているから、その分のコストを物流の費用に回し、その強みを伸ばす戦略に出て、一気に他のファッションブランドに差をつけるたのである。物流を経営の軸に据えて、会社の構造そのものを大きく大転換させたことが、世界一の企業へと押し上げたということなのである。
ちょっと余談になるが、ZARAの価格も、その意味では適正な価格なのである。よく、ファストファッションというとものが安いというイメージがつきまとうが、そうではない。これらのビジネスの構造からすれば、この価格は採算が取れ、かつある一定のお客様が間違いなく買う、適正な価格なのである。
だから「安い」という思い込みこそが固定観念なのである。
むしろ今までの構造ではマスメディアの為の広告費や、大量生産ゆえの廃棄分のコストを踏まえた価格設定で、それが比較的高価になってしまっていただけだ。ZARAがその躍進を手に入れたのは、そのファッションの常識に風穴を開けて、物流をコストとして捉えることなく、逆転の発想でむしろ物流のメリットは何かと考え、物流を「スピード」という武器に変えたことにある。
それが顧客満足度を高め、確実に高い利益を産んで、かつリピートを作りだし、会社を支えて、次なる積極投資を生んで、また事業を大きく成長させているのだ。
だから最近は、僕自身もよく耳にする言葉として、「サプライチェーンマネジメント」というのがあって、共感している。全体感を見て、そのそれぞれが最適な動きを見せて連携し、模索する中に、企業としての強さが見えてくるというわけだ。
ZARAは物流を重視し、廃れないうちに適量生産し、それを売り尽くすための武器として、活用した結果、これまでのメーカー、小売などに分業されていたことで生まれていた無駄なコストや在庫が軽減されて、結果、お客様にとって最適な価格で、商品を提供できるようになり、高い利益率を生み出して、それが事業と柱となって、飛躍を続けてきたのである。まさに顧客視点で勝ち得た見事な戦略であると思う。
世界的企業となった「ZARA」の好調さは、過去のやり方に捉われることなく、全体の一連の流れを見て、その企業として何を発揮することが強さなのかを認識して、生かす経営をしていたからこそ、勝ち得たところがあるのだろうと思ったのである。
今日はこの辺で。