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“女性ひとり旅” ”推し活” ”アウトドア”・・・楽しみ方の多様化を反映する 2023年GWトレンド

 4月も半ばに入り、そろそろゴールデンウィークについて考える時期がやってきた。先ほど、楽天グループは、「ゴールデンウィーク」に関する2023年のトレンドについて発表を行った。コロナ禍もあけて、外へ出ることへの抵抗も無く、外向け需要が増えているが、僕はそこに人々の多様な感性を見た。トラベルと、アウトドアに焦点を当てて、それを考えてみよう。

旅行予約は増加中

 まず、国内の旅行予約は1.4倍。予約数そのものでは東京や北海道、大阪など大都市圏が多い。また、昨今、顕著に伸びている都市では東京や大阪など。これは同地域に点在するテーマパークや施設を目当てにした動きであろうことが予測される。

 今まで旅行を控えていたせいか、その反動で活発になろうとする人々の姿が浮かび上がる。楽天市場のデータでは、スーツケース・キャリーバックは昨年対比167%増。旅行ガイドブックの類は74%増。外出する気満々といった具合である。今年のゴールデンウィークは例年になく、各地が賑々しくなりそうな予感。

多種多様なライフスタイル

 「お出かけ」トレンドに関連した部分では、楽天はいくつかのキーワードを挙げた。まず、気になったのは「女性ひとり旅」。それこそが人々の多様化するライフスタイルを示しているからである。我が道を行く女性の姿が、世の中を活気づけているのだ。改めて、データを見てみよう。旅行予約の宿泊に関してで、「人数」に関するデータがある。どの人数単位も、関係なく全て伸びている。だが、中でも「女性一人」が突出していて、60.5%。

 他の「人数単位」と比較すれば分かる。子供連れや男女二人など、その他の人数は大体30%〜40%を推移している。つまり、いかにそれが飛び抜けているかがわかる。

 では「一人旅」というくくりで人気の旅行先を洗い出してみる。すると、これがまた興味深い。東京、大阪などの予約数が多く、伸び率で見ると、神奈川が入っているのが注目。

 まさに「推し活」ではないか。アーティストなどの対面のイベントに遠征に行く動きが顕著に出ているわけだ。東京、大阪でそれらのイベントが多いのは言わずもがな。神奈川には横浜アリーナなどの施設も充実していて、そこで躍動する女性の姿は想像に難くない。

旅のプランも一人旅が増加

 それに呼応してか、「楽天トラベル」でも「一人旅プラン」の数が増加傾向にある。昨年と比較すると、1.64倍という状況。しかも、連泊での宿泊も多く、その数は約6割を占めている。自分のペースで余裕を持ちつつ、旅行を楽しむ姿が目に浮かぶ。日頃の頑張りがこの旅行などで、報われるわけだから、余裕を持たせるのも納得だ。

 でね、何が言いたいかと言うとそういう時代だからこそ、それにふさわしい文化が生まれるものだなと思っている。例えば、雑貨業界で言えば、最近、“推し活”のグッズが急増しているのをご存知だろうか。

 つまり、これをセットで考えれば商品企画のヒントになるよね?という話。そういう旅行とライブに合わせて商品を作る、なんてことが可能になりそうだ。

 また、冒頭話した通り、多様化を思わせるのは、他にも見てとれる。旅行を大都市圏で満喫する人がいる一方で、自然に触れてキャンプをしようとする動きも見られる。活動のベクトルが真逆なのが面白い。昨今、SNSで人々の趣味が多様化しており、チャレンジする人が増えて、二極化が進んでいるのだと思う。

アウトドアが身近な存在に

 その背景には、メーカー側の努力もありそうだ。つまり、商品の敷居が以前より低くなって、快適さを伴ったキャンプが浸透しているといえる。昨今、コロナ禍もあって、密を避けたキャンプに光が当たったことも大きい。ある意味、そういう日常に少しプラスアルファしたようなキャンプグッズの成長が見られる。それは、楽天もトレンド・キーワードが挙げていた「チェアリング」や「キャンプ家電」などがまさにそうだ。

 「チェアリング」というのはその名の通り。屋外でアウトドアのチェアに座って、くつろぐというもの。本格的なキャンプというよりは、自然に触れて気分転換という意味合いが強い。実際、楽天市場で見ると、アウトドアチェアは前年対比83%増、アウトドアワゴンは前年対比29%増だという。

 当然裾野が広がれば、キャンプ用の家電なども利用機会が増えていく。例えば、防水機能を持った家電は前年対比で111%増。ポータブル家電は149%増。キャンプシーンが日常と変わらぬ快適さを持ち、充実感の求め方も多様化している傾向の現れだろう。

キャンプの提案は新興企業によって広がりを見せる

 その一方で、キャンプ用品全般を指す「キャンプギア」の市場も拡大。当然、裾野が広がれば、趣味としてさらに深掘りする人が増えるのも当然だ。

 「キャンプギア」での特徴でいえば、新興ブランドの台頭が顕著。

 新興ブランドの年平均成長率(2019年から2022年)は69%増と伸びているのだ。また、傾向として、アジア系のブランドに人気が見られる。アジアブランドの年平均成長率は2022年までの三年間で66%増である。キャンプに足を踏み入れたユーザーが、更に新しい価値を求めて、アジアを中心とするキャンプギアに惹かれていく。言うなれば、それらが互いに新しいキャンプギアの文化を作っている。

 ここまでくると、多様化は広く、また深く、生活に新しい風を送り込んでいると言って良い。僕が聞いていて、「よくぞ!そこに着目した」そう思わせたのは「キャンプ・トイ」というジャンルである。いろいろな人がアウトドアに興じるようになれば、その対象にキッズも入ってくる。

 当然ながら、それは大人をも巻き込むゲーム性を持ったものが好まれるわけで、面白いのが「モルック」である。

人の生活の変容にビジネスチャンスが

 僕も知らなかったが「モルック」は、数字の書いたボーリングのピンのような物を倒してあそぶもの。50ぴったりになるまで続けて、競う遊具である。それまで遊び道具がそれほど充実していないところに、こういう視点で商品を出すと、やはり「5400%増」という驚きの実績を叩き出すことになる。

 約三年間、コロナ禍で抑圧された生活を送っていた分、反動で多くの人が街や自然と触れ合う機会が増えるのは間違いない。故に移動が増えて、旅行の機会が増えるのは当然だし、アウトドアを楽しむ人が増えるのも理解ができる。

 ただ、ここで受け止めたいのは、その中に見られる楽しみ方の多様化である。

 さきほどの「モルック」ではないけど、外を実感できるアイテムなどの台頭に、今の時代を潮流がある。ゴールデンウィークがよりゴールドにピカピカと輝きをもたらすのは、その多様化の背中を後押しするサービスであり、商品なのではないか。意気揚々と、都会や自然で闊歩する消費者をヒントに、店も、消費者も、ゴールデンな時間を享受できる華やかなGWを期待したい。

 今日はこの辺で。

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