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Amazon 広告活用する前に おさえておきたい大鉄則

 商品が売れるためには、広告が必要。今回は、インサイトアイズの榊さんと話して、Amazonに特化して広告運用の秘訣を考えようと思う。痛感したのは、広告を出す事よりもその前のロジックがあり、それが本質的で大事だという事だ。それは、広告を出すとしてもだ。逆に言えば、それを踏まえず、広告を出すのは、危険行為以外の何者でもない。

商品の立ち位置を明確にする

1.安易に広告に投資して費用に見合わない

 彼の話を聞いて思ったのは、Amazonで広告を活用する利点は、商品の立ち位置を「より明確にする」ことにある。そういうことだ。「立ち位置?」と思われる人もいるだろう。

 つまり、その出品商品におけるAmazon内での検索結果の精度を上げていくということだ。その為には、商品の訴求ポイントが自分たちの頭に明確に整理できているかが大事。榊さんは自らが多くの店舗の運営代行に関わる中で、商品特徴の“炙り出し”方が実に的を得ている。案外、彼の問いかけは実にシンプルである。

 その店舗の扱う商品の強みはどこにあるのか。多くの人は答えられるはずの質問だ。しかしそれを“Amazonというフィールドの中でと言ったら、きちんと”イメージできているだろうか。つまり、彼の話の核心はここにある。そこを徹底して、Amazonの“競合商品”と照らし合わせて、何なのかを突き止めていく。

2.その競合商品はどうやって見つけるのか

 では、その競合商品をどうやって見つけるのか。答えは、悩みから逆算する。案外、商品でそれを見てしまいがちだが、物事を解決するのは、その商品がもたらす解決策だからだ。

 もしも、その悩みが花粉症でそれが自社商品なりの訴求ポイントがあるとしよう。だとすれば、競合は「マスク」であり「目薬」であり、もしかしたら、メガネかもしれない。あるいは、もっと他の商品もあるかもしれない。

 それが絞り込んだら、次に見るべきはその競合商品のAmazonレビューである。

3.対比の中で自分を出す方が強みははっきりしやすい

 そことの対比で、自分たちの強みはどこにあるのか。そこを徹底的に洗い出すことで、まずは自分たちの打ち出し方がわかってくる。それも見るべきは1評価でも、5評価のコメントでもない。平均値の3である。なぜなら、寧ろ、感情的にならずにコメントしている分だけ、的確だから。その全てがヒントとなる。

 その競合商品の強みと同じ土俵で語ってはいないだろうか。あるいはその競合商品での課題が実は、自分たちの商品の強みになりえないだろうか。そうやって因数分解のように、切り出していくのである。すると、曖昧になりがちな商品の強みは、ロジカルに“言語化”されていく。こうやって、対比の中に“商品の立ち位置”を見出すのである。

 例えば、ストラップを販売していたとしよう。仮に、競合商品の素材のレビューに「ビニールだから切れやすい」という声があったとしたら、自分の商品の素材に目を向けてみる。もし、それが頑丈な素材であれば、そこを強調することで、その事実は、そのレビューを書き込みした人には利点に見える。強みは独りよがりにならず、客観的な根拠を明確にして、Amazonでの立ち位置を検証していく。榊さんが運営代行をする会社では、広告運用よりも、その部分に徹底的に時間を割く。

4.訴求ポイントの効果検証が数字で行える

 それができれば、商品名をどうつければいいかも、論理的検証が可能になる。なぜなら、数ある対比の中で、訴求ポイントが絞り込まれているからだ。あとは、それ自体に優先順位をつけて、可能性の高いものをABテストで効果検証を行えばいいのだ。ここまでやると、行動は数字に紐付くので、感覚に頼る事なく、成功の方程式が見えてくる。

 榊さん曰く、実は、タイトル以上に効果を発揮するのは商品画像。Amazonでは複数枚の画像を入れることができるが、メイン画像以外は、説明の画像を入れることができる。

 まさに、そこで先ほどの対比で浮かび上がってきた訴求ポイントを全面に出して、アピールに変えていくのである。勿論、画像だから、視覚的に伝える為にはどうしたらいいか。その議論を徹底する。ただ、論点が明確なので、結果も発揮しやすくなるわけだ。

進化するほど顧客の利便性を上げるアルゴリズム

1.ここまでの土台を重ねて広告をしないと意味をなさない

 ここまでやっておかないと、幾ら広告を出そうが、成果は出ないだろう。その理由は、Amazonが主流とする広告が、アルゴリズムを活かしたCP広告だからだ。

 Amazonは「欲しい」と検索するユーザーに対して必要な情報として、相応しい商品を表示しているに過ぎない。徹底して、検索精度を上げるだけのことだ。言い換えれば、売上の高い商品を上位表示しているわけではないのだ。だから、本質的に上記の“自分たちの立ち位置を明確にする”事が活きてくる。

2.Amazonは引き合わせの精度を上げることが命題

 あとは、そこに対してのキーワードとして何を設定するか。ただ、それも、これまでの議論のおかげで何が優先順位の高いワードなのかはわかりやすいはずである。既に絞り込まれ、ロジカルに導き出されている。だから、あとは数字で実証されているものを、広告にかければいい。

 そう考えると、つくづくAmazonのアルゴリズムはよくできている。なぜなら、いつもお客様の行動に立脚しているからだ。だから、広告はそのアシストであり、Amazonにその道筋を示す。そんな意味合いもあるだろう。

 だから、もし広告によりクリックされれば、今度は広告に関係なく、結果が良くなる。そのキーワードに対しての相性がよいことが証明されているからだ。ゆえに、広告により、以前より売れるようになる。Amazonが巧みなのは、その広告でお金をとっておきながら、自らも検索精度を向上させて、未来につながる利点を手に入れている点である。でも、それはお客様にも出品者にもプラスに働くからwin-winだ。

3.関連商品としての表示も全てお客様の動向に基づく

 繰り返しになるが、売上ではなく、検索の精度だ。やればやるほど、お客様も売り主も、互いの目的が明確となって、お互いの利害は一致した表示となるから、それが売上となる。Amazon売上向上のスタートは自らの立ち位置を知ることにある。そう説明する意図を理解いただけただろうか。

 もう一つ、今までのことを応用すれば、どの競合商品の関連商品として、自分の商品を表示させるのが効果的かを考えることで、またお客様との出会いの精度は高くなる。別に、それは、ライバル商品自体に自分の商品をぶつけるということを言っているのではない。

 興味対象が近しい商品でも、その競合商品との差別化ができていれば、正しく、その競合商品と自分たちの商品を峻別できるというわけである。それがよりお客様にとって正しい選択を促すことになるという意味である。

4.言葉、商品、様々な視点での引き合わせの質を向上させるAmazon

 それだけではない。その競合商品が意図しているキーワードの結果にも、自分の商品が相性が良いことをAmazonに伝えることができるだろう。それこそが正しい理解なのだ。そうやって自分の立ち位置がわかれば、お客様の行動から逆算しながら、アプローチも多種多様になっていく。

 それを広告を使いながら、あの手のこの手で“立ち位置”を知らせるのである。そうすれば、逆説的ではあるけど、広告に関係なく、表示される率は高くなる。それこそ、それは競合商品のお客様を奪い取る行為ではない。選択肢を用意するだけで、道筋を提示して、共存共栄の構えで勝負している。

 それで、Amazonも消費者のニーズに対して素直な反応で答えているから、それは理にかなっている。

 そこまで考えて、商品の打ち出し方を考え、広告的アプローチを組んでいけば、その道筋は見えてくる。地道に広告への投資も費用に見合ったものに近づくだろう。

 だから話が戻ってくる。結局、商品力こそが大事。その上で、何が訴求ポイントなのかを売り場の環境に合わせて論理的に導き出す。それが論理的ゆえに、優先順位もつけられるから、仮説と検証が可能となて、客観的な判断を下せるわけである。

4.引き合わせに見合う備えができているか

 結論を言えば、Amazonは消費者の行動をフックに相応しい引き合わせをしているに過ぎない。しかし、彼らはどんな小さな行動も見逃さず、その行動をヒントに相応しい引き合わせをずっと模索している。だから、逆に言えば、僕らはそこで、どれだけのヒントをAmazonに提示できるかなのだ。

 彼らもまた、人を見ているから、僕らはもっと人を見ないといけない。その対比ができても伝わるかどうかは、表現力によるからだ。それはABテストを重ねながら、リアクションを地道に見ていくのみである。自分たちの商品を商品だけではなく、人のリアクションにつながるための論理的検証が大事で、それが広告をする上での大前提となる。

 そして、そのキーワードや広告の価値を発揮できるのは、Amazonというフィールドを利用しながら、自分たちを知ることなのだ。そして、多くはその洗い出しを苦手とする。だから、榊さんは今日も、競合商品をてこにその絞り込む力によって、商品を見極める。

 彼は、「自分には商品を思いつく才能はないから、それをやっているだけ」と笑う。逆に言えば、その取引先は商品の愛ゆえに、見失っている分析がある。お互いが補完しあって、最大化しているけど、まず僕らにできることは、なんだろう。それはその自分たちを知るためのロジックだろう。今一度、その立ち位置を曖昧にすることなく、考え直そうではないか。

 今日はこの辺で。

 

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