いつもと違う 楽天の数字に見る 2022年のニッポンの夏
去年、一昨年とコロナ禍で感染者拡大に悩ませていたのに比べると、今年は幾分、落ち着いた様相を見せている。今年はいつもと違う夏となるのだろうか。楽天グループが直近のデータなどから分析して、「2022夏トレンド予測」を発表したので、そこから一般消費者の動きを考えてみたいと思う。
楽天 の数字から 2022年の夏を予測する
1.楽天市場では3つの傾向
楽天市場から3つの消費の傾向を挙げている。具体的には、①復調消費、②値上げ対策消費、③防災消費である。新型コロナウイルス感染症対策に対して行動規制が緩和されつつある。だから、外向き商材の需要が回復しているというのだ。
「復調消費」という部分においては、夏に絡むところではイベントであろう。今年は例年よりも数多くのイベントが開催されそうで、関連して水着や浴衣など、祭りやレジャーなどを連想させるグッズの需要が回復していて、消費者の気持ちにも、変化が垣間見られる。
例えば水着でYOY約1.6倍、浴衣で約1.3倍。更に、浮き輪約1.6倍、花火約1.2倍という具合で、消費者も遊ぶ気満々である。
2.旅行も増加傾向
少し話が逸れるけど、当然、この流れなら旅行が増えそうである。その点、楽天トラベルのデータをみてみると、2022年7月から8月の旅行予約に関しては、対2021年 (調査日:2022/6/9) 約1.7倍とその伸びも顕著である。
「リベンジ」と捉えている節もあって、反動で精力的に動こうとする消費者の姿が垣間見られる。その証拠に、グループ、子連れファミリー単位での宿泊予約数は共に昨年対比2.3倍と伸びている。遠方に向かう旅行者の数も12.4ポイント増加した。
ちなみに、旅行先として人気なのは、楽天トラベルによれば1位 北海道 2位 沖縄県 3位 東京都だとか。「非日常」を今年のキーワードに挙げていたのは、この辺からもわかる。そこに加えて、ハイグレードな予約が増えているとか。いわば「宿満喫型ステイ」の現状を示す数値としては、高級宿の利用状況が2019年比で1.3倍だとか。これだけでもかなり活況に湧いていることがわかるだろう。
さて、話を戻して、だから「楽天市場」では「旅行用バッグ」は売れる。約2.1倍と昨年のほぼ倍である。また、旅行に関連する書籍も約1,6倍と、興味関心の高さを見てとることができる。楽天市場、楽天トラベルと、そのカテゴリーを超えて消費者の気持ちが一致していることからも、今年は、観光地も賑やかに盛り上がる姿が予想できるわけである。
3.原料費高騰で消費者が変わる
また、もうひとつ。今の傾向としてみられるのが、②値上げ対策消費である。原料費の高騰により食品・日用品、光熱費などが値上げしていることだ。当然、消費者の気持ちにも変化が現れてきていて、それは例えば、訳アリ玉ねぎが約1.9倍という具合に、数字に現れている。
やはり、賢く節約しようという心理が働くのだろうか。
カット野菜が約1.8倍、大豆ミートが約1.8倍など。価値観の変化とあいまって、工夫の跡がみられる。また、猛暑が予測されることから、冷却グッズなど暑さ対策用品も需要が増えていて、約6.7倍という具合。
三つ目が、③防災消費。昨今、地震が多発しているから危機意識が消費者の間でも高い。ポータブル電源が約1.6倍、携帯用 浄水器が約4.6倍という具合でそれが数字に出ている。
4.ママに焦点を当てると違った価値観も
ここまでは、全般をターゲットにしてみていたけど、セグメント分けしてみると見えてくる昨今の傾向もある。「ママ割」という枠での消費の動き。楽天では会員のうち、出産(予定)日などを入れると、子供にまつわるグッズで、さまざまな特典が得られるサービスがあるのだ。
ゆえに、そこからこの層に特化した傾向を抽出して見ることもできる。
例えば、「女性ならでは」という要素としては、冷感グッズなどの売り上げがそうだと僕は思った。アイスリングは44倍である。その母性本能と言おうか、子供の体調に敏感である「母心」がなせる技。この数字は昨今の猛暑を控えて、ということもあるけど、女性らしい細やかな配慮が窺える。
特にこうやってセグメント分けしてみると、その母親世代に広がる価値観すら見えてきて、夏でいうなら、それは水着である。
「水着?」そう思われた人もいるだろうが、「キッズ・ジュニア用 ラッシュガード」が約2.0倍。
プールの授業再開に伴い、学校で水着を着用する機会が増えて、注目が集まっているのである。特徴としては、これを男女関係なく着られるデザインに仕上げている点である。ジェンダーフリーへの意識の高まりを感じることができるだろう。
5.消費は時代を映す
改めて、楽天のように横断的にサービスを提供していると、データが一つ一つ紐づいていて、消費者の気持ちもよりリアルに伝わってくる。また、彼ら自身も強調していたけど、だからこそ、自らの経済圏をクロスユースして、お得にこの夏を楽しんでもらいたいと言いたくなるのも理解できなくはない。
ともあれ、消費は「その時代の心理を色濃く示す」ものだと思う。その意味で見れば、数字の上で消費者はしっかり変貌している。
コロナ禍が落ち着いての反動ということもある。また、原料費の高騰など、環境の変化が自然に、行動を変えるように促している。また、母親の心理を見れば、価値観の多様化が進んでいることもわかる。
いつもと違う、夏となるのは間違いなさそうだ。上記を踏まえて、商品ラインナップや提案の仕方を今一度、考え直すのもいいだろう。どんより曇り空のニッポンの夏。夜空に舞う花火のように、これらの消費の活性化が、ニッポンの景気に明るく花を添えてくれることを切に祈る。
今日はこの辺で。