マーシャとくま 等 時代や国を超えて 発掘する ADKエモーションズ の変化球に着目
語弊を恐れず言えば、やや奇抜なキャラである。「マーシャとくま」に出てくる子供のキャラ「マーシャ」。でも、これが海外でヒット中のコンテンツなのだ。
ADKエモーションズはそういう海外や過去のヒットを見逃さず、国や時の垣根を超えて、今にリリースしてヒットを狙っている。よくよく話を聞くと、コンテンツ業界でもSNSの存在感は大きくなっているなと思うのである。
日本ではまだ馴染みのない マーシャとくま は世界では・・
いい作品は時を超えるし、いい作品は国境を越える。かつてのようにマスメディアで全体を牽引することで、ブームが画一的に生まれるのとは全く違う状況になっている。冒頭の写真は、「マーシャとくま」という作品で、主人公の女の子「マーシャ」は少し奇抜であるけど表情豊かで、世界中の子供を魅了している。
海外発祥のアニメーションで、海外150か国で放映され、YouTubeチャンネルは840憶の再生回数を誇り、登録人数は1憶3000万人にのぼるのだそうだ。
内容的には、森に住む「マーシャ」という少女とそれと一緒に出てくる「くま」が出てくるストーリー。くまは、サーカスのパフォーマーを引退してのんびり暮らして、悠々自適な生活を楽しんでいたのに「マーシャ」が現れ、くまの平穏な生活に波乱を引き起こす、というものだ。
通常なら「ふーん」と流されてしまいがちなところを、ADKエモーションズがわざわざ注目したのは、日本からの英語公式サイトへのアクセス数なのである。その数2億3000回以上、登録者数は13万人以上。え???ってことになるわけだ。そんなに見ている人がいるの?と
だから海外でヒットしているというだけでスルーされがちなものも、こうやって数字が実証してくれて、日本で展開する前に、既に垣根を超えて、発展するだけのポテンシャルを持っている事を推し量れる時代なのであるということ。半ばそれに押されて、彼らも国内マーケットに向けて動き出したというわけだ。
言うなれば、海外で既に展開されているからこそ、その商品を海外から仕入れることで、売り場は構築できるし、そこに最近ではマルイ系のメーカーと組んでオリジナル商品も生産して、それらをまとめて、マルイの一部店舗でイベント開催するなどして、その裾野を広げようとしているのだ。
ついには地上波の放映も決定し、10月4日からテレビ東京系列で毎週月曜、朝7時半からスタートした。最初の戦略として位置づけられていたテレビ番組がSNSなどの外からの流れに押される形で、動き出しているというのは今という時代を象徴する動きである。
1989年の筒井康隆著の小説が今売れる時代だから
話が逸れるかも知れないけど、ボーダレスを痛感している出来事があって、最近、1989年に作家の筒井康隆さんが発表した小説『残像に口紅を』がヒットしたのをご存知だろうか。
それまで書店から消えていたこの本が何故に今、ヒットしたのか。その答えはTikTokで脚光を浴びることになったからである。「一つひとつと言葉が失われてゆく世界で、執筆し、飲食し、交情する小説家」というテーマ設定がこの作品を知らない人たちの心に刺さって、それに後押しされるように、多くの書店に並ぶようになったのだ。
だからそういう時代を超えてヒットする可能性をADKエモーションズも抱いているようで、「こういうのもあります」と紹介されたのが「ショーワヒーローズ」。
「エイトマン」「黄金バット」「スーパージェッター」など、僕には知り得ない白黒時代のアニメで、「知らないよ」と言いたくなるが、上記を踏まえればわからないことは言うまでもないだろう。
同時に、往年のファンがいて、その層を取り込みながら、今の人たちにも響くように、敢えてそれをビンテージというテーマと掛け合わせて、今にリバイバルさせて、ブレイクさせようというわけである。
その隣の特撮のDNAもそうだ。ミニチュアや着ぐるみを駆使した独自の撮影手法を編み出し、実写と見まごうばかりの空中戦から巨大怪獣のバトルまで数多の名シーン、名キャラクターを展示会などでフィーチャーするというわけである。これも同じ考え方だ。
まずは人々の今を知ること。そして、そこでチョイスされるコンテンツは国や時代の垣根というものがこのネット時代にはなくなっていることを実感するべきなのである。
今日はこの辺で。