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先駆けた「ニコニコ超会議 」2024 今も昔も何も変わらずリアルとネットを行き来する

 思えば、「ニコニコ超会議」は先駆けていたのだろう。「ニコニコ動画」は、ネットがあるから、各々の個性を尊重して、全世界に配信できることを証明した。そして、それをリアルに持ち込み、それらの配信者は、自分を発揮する。当然、臨場感たっぷりに、その価値を知れば、ますますその虜となる。今では結構、当然になりつつある、ネットとリアルでもたらす個性の最大化をずっと前から再現していたのである。だからこそ、配信者、表現者に愛が感じられるのがこのイベント。勿論、今年も「ニコニコ超会議 2024」にやってきた。

カオス。あれよあれよと引き込まれる

 一言で言うなら、カオスである。

 ふらふらと歩いていたら、猛烈な勢いで声をかけられた。え?何かと思ううちに、あれよ、あれよと人に囲まれて、どうぞ!と案内された先には女子がいた。彼女こそ、新人声優でコスプレイヤー「しょこら」さんというらしい。

 「30秒でーす!」わけもわからずキョロキョロしていたら、写真を撮影せよ!ってことなのね(笑)。

 この熱量は、声をかけた男性陣が彼女のファンだから。マネージャーでもなく事務所の関係者でもない。最近、よく見る光景だが、ファンは応援するだけではなく、こういう場所の運営を担って、率先して声がけをするわけだ。

 そうかと思えば、「超アイドルプロデュース」のブースでは、緊張な面持ちの女子がいる。要するに、プロデュース未経験のプロデューサー候補が、 プロデューサー不在のアイドルユニットの実演を見て、名乗り出る。名乗り出た候補が同じく自分たちのユニットを指名してくれていたら、成立するマッチング企画である。

 ついつい、足を止めてしまったのは「(仮)OS研修生」というユニットがいたから。この日がデビューだそうで、ユニットのロゴもなく、衣装もない。熱意だけで挑んでいて、逆に際立っていた。どうなるものかとハラハラして見ていたが、マッチング成功。これも個性だよねと。

宇宙は特別ではなくもっと身近

 その空気に圧倒されて歩いていると、何やら人が集まっている。そこには実業家の堀江貴文さんが、熱心に説明をしていた。

 そこは、超宇宙開発ブース。インターステラテクノロジズについて展示されている。同社は、宇宙へのインフラ構築を低価格で実現させようとしているスタートアップ企業。耳を傾けると、堀江さんはこんな風に熱っぽく話し始める。

 ロケット開発は特別なものではないのだと。今、日本政府はロケットの開発をJAXAから民間企業へと振り分けようとしている。民間企業が作る時代なのだと。今、この会社に入れば、2年後にロケットが打ち上がる。こんなエキサイティングな体験はそうは得られないのではないか。これは、確かにアツい。

 しかも、僕らに目線を合わせてくれている。ロケット製造に携われるのは、スーパーエリートだけではないかと思われがちだけど、堀江さんはこう語る。普通の人もこの会社にいて、それは経理だっているから、当然なのさと。また、町工場的に手を動かして部品を作る職人的な人もいるし、材料を仕入れる人もいる。社員のバックグラウンドも多種多様である。

 だから、皆が持ち味を生かして、夢を実現するから面白い!と。

 また、そういう人材が集まって作り上げていくその世界を、期待を持って見てくれている人もいる。北海道の「サツドラ」というドラックストアでは、超炭酸水を買うと、一本につき一円がロケット開発に寄付される。

 身近になったロケット開発、そして手が届くところまで来ている宇宙。それはもはや夢ではなく、現在進行形の現実として、その意義を語るわけである。

個性を発揮する舞台を皆で創出

 要するに、いろいろな価値観に触れることができるわけだ。

 国産またたびを配合した「HICAT」というドリンクを販売する「超ネコネコエリア」に辿り着く。猫に使う成分を人間のエナジーに変えるという発想である。そのメーカーがNIBOSIHIというVtuberをプロデュースし、ブースではコスプレイヤーがその格好をしてアピールする。もう、完全にカオスである。ちなみに、彼女の名前は「ゆゆ」さん。

 多くはそれぞれの個性であり主張なのである。それらは、企業の力を借りて、またより発揮されていく。「ニコニコ超会議」の真骨頂は「ゲーム実況者超大集合2024 Supported by 永谷園」であったり、

「超歌ってみた Supported by 太陽誘電」であったり、

一人一人の活躍の舞台を企業と共に創出していくことである。

 だから、その姿勢は、N高校やS高校にも貫かれている。同校と連携で「磁石祭」というイベントも開催されているのだ。N高校、S高校は、KADOKAWAとドワンゴが インターネットと通信制高校の制度を活用して立ち上げた高校である。

 この会場では生徒が、プログラミングの発表を行なっていたり、バンド演奏をしたり、アクリルキーホルダーを物販したりと、様々。いずれも、主体的な行動をする人たちの背中を、このイベントの開催によって後押ししており、皆の表情は充実感に満ちていた。

 ここにニコニコ超会議に通じる、個性を育てる姿勢を感じるのである。

QRコードの秘密

 そうやって人が集まってくれば、そこはブランディングの舞台にもなる。企業単体として、自らの考えや取り組みを伝えるべく、出展する価値が生まれる。企業ブランディングも個性である。

 このデンソーのブースがそうである。思わず、足を止めて、スタッフとやりとりするうち、同社の魅力を発見をしてしまう。所狭しと、QRコードを用いたくじやゲームなどが置かれているので、インパクト大。確かにデンソーがQRコードを開発した会社だということは聞いたことがある。

 さて、ここで一つで問いを投げかける。皆さんが日頃、使っているQRコード。それがいかにして生まれたのだろう。それをご存じだろうか。

 実は、元々は、自動車部品の製造を請け負うデンソーの工場で使われていたものなのだ。その工場では部品が何千点とある中で、管理する為に最初はバーコードを使っていた。ところが、バーコードでは入る文字の量が少ない。それゆえ、バーコードを何個も連ねて、使っていたのだそうだ。

 それでも不便なのだ。そこでバーコードより沢山の文字が入ったコードを作ったのである。それがまさに「QRコード」である。しかも、これだけ全世界に広がっているのは、特許を取らなかったからなのだ。

 その文字数たるや、英数字で4296文字も入れられる。だから、多種多様な使い道が生まれる。決済サービスなどにも使われているのは、まさに多くの企業がここで生まれたQRコードの有能さに着目したことによる。

 え?じゃあ「QR」はどんな意味なのですか?そう聞くと、スタッフはにっこり。

「QuickResponseです」。なるほど。。。素晴らしい。デンソーのファンになった。、、、とまあ、こんな具合だ。

ファンとの交流が生まれる

 全体を通して、文化祭のようなノリ。

 体験価値を底上げするために、サンエックスは、ステージまで用意した。お馴染みのすみっコぐらしなど様々なキャラを通して、ファンとの交流を図るわけである。こんな風に来場者と足太ぺんたさんとで、軽快な踊りを見せる。足太ぺんたさんも、一般人ながらYouTuberであり、発揮されている個性はここにも見られた。

 そして、思うのは継続は力なり。毎年恒例の「超歌舞伎」は、今年は実施されていない。ただ、認知されているからこそ、今年は開催がなくともショーを行えば、これだけ集まる。

 いまでこそ、ネットを起点にファンが生まれたものが、リアルの拠点を通して交流を深めるということは当たり前になった。けれど、それは、各々の個性を尊重してこそ成し得るもの。思うに、“ニコニコ”はまずその個性を重んじることの方を、ことさら大事にしていて、そこがリスペクトに値する。

 また、個性により生まれたその世界は、何も一部の人による特別なものではない。そことの垣根を取っ払うのがリアルの「ニコニコ超会議」であり、来た人皆が個性を出すことに魅了される。いつしか、それを見るうち、自分も自分らしく、好きなものを表に出してみようかと思うようになる。

 だから、ここが通常のイベントとは違う、温かさ、力強さと、一体感なのだ。

 おそらくこの手のイベントの先駆けであったけど、きっとこれからもその温度感は変わらないだろう。それは配信者への愛ゆえだ。どれだけリアルとネットが融合したイベントが増えようとも、彼らは彼らできっと存在し続ける。来年はどんなカオスが見られるだろうか。

 今日はこの辺で。

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