ゼロから上場まで上り詰めた エクストリーム 成功 の裏には論理 がある
成功 の裏にはいつも 論理 がある。そうしみじみ思った。今から15年ほど前、僕がまだ社会人になりたての時に、とあるキャラクターの版権管理に関わっていた会社の社長がいた。その方は、その時の会社をクローズして、たった数名で新たに会社を立ち上げた。その大胆な行動に「大丈夫だろうか」という声があったのも事実。でも、彼はそこから登り詰めたのである。その人の名はエクストリームの佐藤昌平さん。
エクストリーム 成功 の理由
1.佐藤社長が教えてくれたその 論理 とは?
今、その時の社長にお会いする機会に恵まれ、その建物にやってきて驚いた。東京・池袋、駅に隣接する「メトロポリタンプラザ」の最上階にその会社は存在していた。そう。その企業は上場企業となった。
それが、エクストリームなのだ。代表取締役の佐藤昌平さんは、以前、別の会社で「うみにん」というキャラクターを展開していた。僕は純粋に、そのキャラクターが好きだった。だから、心から応援し、自ら特集を企画するなどもしていた。その当時から親交があって、その後どうしているだろうと思っていたのだ。
「大丈夫だろうか」。そう誰しも思っただろう。その会社は驚くほど成長したのだ。聞けば、会社を設立したばかりの頃は、その佐藤さんと共に行動を起こした人たちと、「さあ何をしよう、誰にアポイント取ろう」と、ホワイトボードに書き出すくらいだった。正真正銘、ゼロからのスタートだったという。
2.オンラインゲームが躍進する中で掴んだ勝機
なぜ、軌道に乗ることができたのか。そのヒントは、会社の要「ソリューション事業」にある。ゲームなどの制作に必要な「デザイナー」「プランナー」「プログラマー」「エンジニア」などのクリエイターを、その運営会社の現場に常駐してもらう事業。それが大きくこの会社の飛躍に貢献した。
エクストリームがこの事業をやり始めていた時はまさにネットが台頭した時。オンラインゲームのマーケットが拡大している最中であった。この会社は、その時代にそのクリエイターなどをゲーム運営会社などに送り込んで常駐させた。その部分で一気にシェアを握った。
それではなぜ、その着眼点が良かったのだろう。その理由はこうだ。
例えば、ゲーム運営会社はスタッフ10人でサービスインするとしよう。すると、そのうちの8人はサービスイン後の運営スタッフに持っていかれるのである。だから、「2タイトル目」を作る時には、8人分スタッフが不足しているということである。
ここがミソである。
ゲームを作るのではなくメーカーを支える
1.ゲームを支える側にまわったのが奏功
佐藤さんがこう説明する。
「その不足した8人のうちの4人が、弊社の運営スタッフでずっと入ってもらったわけです。それが途切れず、ずっと続いて、その足し算が続いた」と。
世は、オンラインゲームが急成長を始めたこともあって、この足し算は加速度的に増していく。だから、この会社の成長も急激に伸びていったという話なのである。
そして、この会社の着眼点の良さは、その時代にあってゲームを運営する側だけに回らなかった点にある。佐藤さんは「自分たちでゲームを作って、運営していくのは難しい」そう話して、こう続けた。
2.どれだけ投資しても殆ど課金しない
「ゲームをプレイする人のうち、何%が課金するかわかりますか?」と。
自分たちでオンラインゲームを運営していた時のことを振り返ってみると、その課金率はわずか2〜5%程度だったという。それが、オタク系のゲームでようやく7~8%程度。
つまり何億円も投資して90%以上はお金を払わないという現実なのだという。なるほど。だから、エンジニアやクリエイターを集めて、自らゲームを作るのは得策ではないと考えた。費用対効果が悪すぎるのだ。
それと引き換え、BtoBなら、少なからず「会ってはくれる」のだと。それだけでも可能性は広がると。
4.母数と確率の関係にこの会社のロジックあり
聞いていて思ったのは物事はシンプルだなということ。
まずマーケットを見て、冷静にそのユーザーの分母と獲得できる確率を計算するのである。その上でビジネスをしていくことに成功があった。それだけなのだと。
そして、この会社においては、BtoBでやる方がその確率が高いと判断した。市場の成長を見極めつつ、ソリューション事業に投資をして、会社自体を成長させてきたということなのだ。
勿論、時代を読み取るその感性も大事だ。だが、そこで受け入れられるビジネスの「仕組み」はもっと大事だ。だから、その「仕組み」づくりの上でも、この母数と確率の関係しかり、しっかりとロジックを持つべきなのだ。そのロジックがある企業はやっぱり強くて、彼の場合、上場までしてしまった。
佐藤さんは帰りがけ、謙遜して「昔と少しも変わっていないよ」と言ってはくれた。
けれど、数字に基づき、ロジックを持って仮説と検証を繰り返すその堅実さ。素晴らしいと思ったし、根性論でなんとか乗り切ろうとしていた当時の佐藤さんにはない、凄みであった。
今日はこの辺で。