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楽天・三木谷浩史が語る「AIエージェント時代」──人の力をエンパワーメントする“スーパー秘書”構想

 AIという言葉に、どこか冷たさや無機質さを感じていたのは、きっともう過去の話だ。今やAIは、秘書になり、旅の案内人になり、時には人の代わりに“考え”“動く”。そして、その先にあるのは──人間味。さっきまで、パシフィコ横浜にいた。Rakuten AI Optimismで、楽天グループ代表・三木谷浩史さんは、「AIがここまで来たからこそ、次は“人”の力をエンパワーメントする番だ」と語る。

 この講演には、日本という国の課題、そしてAIが持つ希望が、確かに詰まっていた。

楽天の30年は、“逆張り”の連続だった

 楽天がインターネット通販に参入した1995年、通信速度はたったの14.4kbps。まだ「eコマース」なんて言葉もなかった時代に、三木谷さんは「地方の商店や中小企業を応援したい」という想いで「楽天市場」を立ち上げた。

 そこからは、銀行、証券、スポーツ、そして携帯キャリアへ──世の中の常識とは逆を行く“逆張り”の連続。

 今や楽天経済圏は月間アクティブユーザー4,400万人超。楽天IDを持たない日本人はほぼいない。けれど三木谷さんの挑戦は、まだ止まらないってわけだ。

「次に革命を起こすのは、AIなんです」と断言するその口調には、まだまだ未来を面白くする気満々の熱があったのである。

「AIで国の力が決まる」──日本への静かな危機感

 案外、三木谷さんは“日本”に対しての愛が強い人だ。

 というのも、今やAIをどれだけ使いこなせるかが、その国の力を左右する──そんな時代が、確実にやってくるからだ。そう語る姿に想いを感じるからだ。

 そんな状況下、けれど、日本のAI活用率はまだまだ低い。

 アメリカが100とすれば、日本はわずか20。

 世界のAI利用が爆発的に広がる中で、日本だけが取り残される未来は、彼にとって“絶対に避けたい”ことなのだ。

「AIを誰にとっても当たり前にする」

 そのために彼は、技術者だけでなく、学生や高齢者、店舗の店主まで、全員にAIの恩恵が届く仕組みを作ろうとしている。

データは金脈。楽天経済圏がAIの起点になる理由

 ただAIを作るだけでは足りない──三木谷さんはそう考える。それは、ただ金を掘っただけでは価値が生まれないのと同じで、それを“どう磨くか”が重要だからだ。

 その磨くための材料こそが、データ。

 三木谷さんは言い切った。「データは金脈である」と。

 そこで彼は、楽天の立ち位置について熱っぽく語るわけだ。楽天には、ショッピング、旅行、金融、エンタメ……人々の生活すべてが集約された“巨大な経済圏”がある。

 この中に眠るのは、単なる購買記録ではない。人の気配、人の選択、感情の痕跡──それらをAIが理解し始めたとき、他には真似できない「楽天流のAI」が生まれる。

Rakuten AIエージェントは“スーパー秘書”へと進化

 2022年の「生成AI元年」からわずか数年。三木谷さんは次のステージをこう定義する──「AIはエージェントになる」と。

 どういうことか。もはや“答えるだけ”の存在ではなく、“動く”存在へ。

 楽天が見据えるのは、AIがユーザーの意図を理解し、目的達成に向けて自律的に行動する“スーパー秘書”の時代。

 「旅行の予約をして」「この商品、買っておいて」「明日までに英語の勉強もしたい」──それらのすべてを、ひとつのアプリで、ひとつの会話で完了できる世界が、Rakuten Link × Rakuten AIによって実現しつている。

 実際にこの裏側で動く「Rakuten AI」は、楽天経済圏内のショッピング、金融、旅行、エンタメといった多彩なサービスと連携し、まるで暮らしの“伴走者”のような存在へと進化している。

 特に楽天モバイル契約者向けの「Rakuten Link」では、チャット、音声、画像といった多様なインターフェースを通じてAIに話しかけることができ、生成されたプロンプトから直感的に操作が可能となる。

 つまり、検索や比較だけでなく、提案や予約までを“自律的にこなす”エージェント体験が始まっているのだ。

 自分の分身のようなエージェントが、行動の一歩先を“察して”動いてくれるということになる。「ジブン2号があなたのスマホにいる」──そんな世界観だ。

最後に必要なのは、人の“こだわり”

 ここまで来て、AIがどこまで進化するのか──その先を、三木谷さんはこう語る。

「最後に残るのは、人なんです」

 手作業のバッグがブランドになり、接客のひと言が忘れられない体験になる。実は,手に届くまでに幾つかの人間味に触れる。あらゆるその接点が、ヒントとなり、だからこそ、AIは人間らしさを引き立てる“道具”であるべきだということなのかもしれない。

 また、それぞれの接点に潜む体験にまつわるデータを持っているから、楽天こそ、快適な体験の入口となるというわけなのだ。70以上のサービスを以て。今ここに積み上げてきたことが、ここで形になると。

夏の空気を感じながら

 この講演が行われたのは、夏の陽射しがまぶしい横浜・パシフィコ。テクノロジーの話なのに、どこか人間くさい。楽天市場がどこか人間臭いのと同じだ。

 それが、楽天のAI戦略の本質なのかもしれない。──接点を人間味で優しくフォローすること。その礎を担ってきたのが、楽天市場の店舗の温もりであり、接客であり、言葉のひとつひとつだ。

 だからこそAIによって、それらがもっと広く、もっと深く届くように──そんな進化を僕は期待している。

「AIが人に寄り添い、人がAIを使いこなす」

 そんな未来を描きながら、僕らはまた次の夏へ向かっていく。

 今日はこの辺で。

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