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「柔軟性」と「正直さ」積み上げ築き上げた グリーンレーベル リラクシング 栗本さんの接客の質と軌跡

 純粋に僕は、その人の接客に対して、柔軟性を感じたのである。その人とは、 グリーンレーベル リラクシング自由が丘店 ストアマネージャー栗本朋香さんである。かくいう彼女は「STAFF OF THE YEAR 2024」でグランプリを受賞した販売員。彼女がどのように日々の接客でお客様と向き合い、その柔軟性と真摯な対応がどのように顧客満足度の向上に繋がっているのか。それを取材を通して、深掘りしようと考えたのである。

1. 接客スタイルとは何か?

 冒頭、書いた柔軟性とは何か。STAFF OF THE YEAR という催しは、接客のスキルを競うことで業界全体のスタッフの質を上げているのは事実。だが一方で、語弊を恐れず言えば、いつしか「戦いに勝つこと」が目的になりつつあったように思う。

 過去の戦い方をスタッフたちは徹底的に研究し、練習を重ねてきた。だけど裏を返せば、今回のように戦い方そのもののルールが変わることで、その対策に動揺が走るわけだ。

 でも、ルール変更が寧ろ、良かった。躊躇した販売員もいる。けれど、その分、スタッフの持つ本来の接客技術が試されることになったからである。 

 それは、アンミカさんの言葉にも表れているようにも思う。

 接客の会話やコミュニケーションに多くの時間は割かれてしまい、結果として肝心な服の提案や説明が少なくなったのではないか。

 つまり、お客様の「好き」から「似合う」へと自然と乗り換えるよう導くこと。それこそが、スタッフにできる素晴らしさなのだ。

 その点、栗本さんは、ルールにとらわれず、自分らしく、それを実践していた。自分の考えも弁えながら、必要な時間で、お客様の求める内容と満足度に対して、自然体で向き合い、結果を出していた。要するに、柔軟に臨機応変に対応できる素地があったということだ。

2. 接客における柔軟性とは?

 開口一番、それを僕が口にすると、にっこりして、こう答えた。

 「私もお客様にどう喜んでいただけるか。それを常に考えていました。戦い方に備えた訓練はしていましたが、私自身、そこに捉われることなく、実践できました。私も、接客に柔軟性は大事だと思います。」

 では、その柔軟性はいかにして生まれたのか。

 その意味で言うと、このお店が教えてくれたことは大きい。語られることはシンプルで、お客様一人ひとりに合わせた接客であること。

 これは、リアルな店舗での彼女の洞察力。そして、そこに対しての答えと実践。その繰り返しで身についたものである。

 つまり、彼女が勤める自由が丘店は、オシャレな繁華街。とはいえ、住宅街としての側面を持った街でもある。実にさまざまなお客様が来店するのであり、だからこそ、それが大事になる。

 「お客様がスーパーの袋を持っている場合、今日はあまり購入意欲がないかもしれないと判断します。そのため、無理にセールスをかけることはせず、お客様のペースに合わせた接客を心がけています」。

 どうしても販売員である以上、商品を売り込みたくなる。けれど、長い目で見て、必要な提案のあり方を彼女なりに割り出してきたわけである。そのあり方がたくさん、自分の頭の中に入っている。このことが今となっては大きな財産であることを明らかにした。

3. 正直さと信頼の重要性

 続けて、僕はこう話してみた。

 個々のお客様ごと、見合った提案が自然に行われている。それが満足度を高める一方で、バラバラに提案しているわけではない。どのお客様でも共通して、意識していることもあるだろう。それが何か、気になった。

 すると、この返事がまた、先ほどの柔軟性の話にも直結する。

 栗本さんが共通して大切にしているのは「正直さ」なのである。彼女は、似合わないと思った商品を勧めることは決してしない。販売員である以上、売れることは大事。それこそ、実績に捉われるほど、そこに正直になれないことだってある。だけど、、、、

「お金を払っていただく以上、後悔してほしくないんです。なので、似合わないと感じたら正直に伝えることを心がけています」。

 確かに、仲良くなるだけではだめだ。そしてその親近感は率直に自分の思いを伝えるために、必要なこと。その着地に対して、バランスを見て適応させているのだ。この彼女なりの知見がこの提案へと活かされるわけである。全ての考えが一つにつながって、長年にわたる顧客の信頼を得ることになっていることがわかる。

4.お客様の笑顔は観客席の歓声のようだ

 そして、彼女は、思いがけず、自分の過去の話をしてくれた。それがまた、彼女のプロ意識を高めていることにハッと僕は気付かされた。

 「実は、私、クラシックバレエをやっていたんです」。

 つまり、このお店は彼女にとっての“ステージ”なのだ。クラシックバレエをやっていた時に、常々意識していたのは、いかに自分の演じたことで観客の人を喜ばせられるかということ。

 まさに、彼女はこのお店を“ステージ”に例えて説明するのである。

 接客を通して、どれだけお客様を喜ばせられるか。そこへの着地に向かって、日頃、仕事をしている。ある意味、接客という“舞い”を見事に演じ切っているわけなのである。

 では、お客様が本当に心から喜んでもらうことは何か。そう考えた先に行き着くのは、彼女らしい正直さ、柔軟さだということには、非常に納得できた。そして裏付けられる洞察力と日頃の勉強である。バレエの話を聞くと、一層、プロ意識が僕には輝いて見えた。

5. オンライン接客の挑戦と成功

 さて、ここまではリアルの話を軸にしてきた。ただ、コロナ禍以降、重要度を増しているのが、オンラインでの接客である。かくして栗本さんもInstagramやライブ配信を活用して、お客様に商品のスタイリングを紹介している。その違いについてまずは聞いてみた。

「オンラインでの接客はリアルの店舗とは違い、お客様の反応がすぐに見えません。なので不安になることも多かったです。しかし、続けていくうちに少しずつ慣れ、お客様からのフィードバックを得られることで自信がつきました」。栗本さんは自らの成長を振り返る。

 そうか。フィードバックか。お客様の反応がたとえ、リアルほど明確にわからなくても、その分、フィードバックを心がければいい。その知見が彼女に備わったことで、リアルと遜色ない接客が実現できたというわけなのである。

6 店舗での魅力とオンラインの活用

 こういう考え方を大前提として考えながら、細部にわたって、その接客の質を向上させるわけである

 繰り返し、栗本さんは「(リアルでは)お客様と直接お話しできることが一番の強み」と語る。お客様が実際に商品を手に取ることで、その瞬間に生まれるコミュニケーション。それは、オンラインでは得られないものである。

 一方で、オンラインでの接客でも、先ほどの説明の通り、それぞれのやり方で、お客様に親近感を持ってもらうよう工夫している。

 「ライブ配信ではすぐにコメントに返信したり、商品の詳しい説明を個別に行う。そうすることで、オンラインでもお客様に寄り添った対応を心がけます。」と語る栗本さん。

 そして、「お客様が見ている画面の中で、商品の魅力をどう伝えるかが一番のポイント」と続けた。

 実物を手に取れない分、写真や動画でどれだけリアルに近い形で伝えられるかが大切。また、商品のサイズ感や素材感など、細かい部分も丁寧に説明するようにしている。

 繰り返し、繰り返し、彼女が何をいっているか気づくだろうか。

 つまり、「本質的に同じであること」なのだ。

 手段こそ違えど、結果、果たすべき目的は同じ。そこに手段を臨機応変に合わせている。ここにも柔軟性が垣間見える。だから、結果、何らオンライン、オフラインでも、そちらを意識することなく、最近は接客を心がけているというのだ。

7.オンラインによってたらされた体験

 そして共通して「正直さ」で信頼が深まる。その「正直さ」は提案でも彼女らしく発揮することを後押しし、彼女の助言を求めて、お客様がリピートするようになる。

 本質的には共通した目的を追いながら、そこにエッセンスを加えるわけだ。

 普段からカジュアルなスタイルが好きなお客様には、少しだけ華やかなアイテムを取り入れてみることを提案するし、逆にフォーマルな場に出ることが多い方には、少し遊び心のあるアイテムを提案するのである。

 だから、それは彼女の接客の個性となった。それこそが彼女の実力。そこから逆算して、自らの体型に合わせたコーディネイトでまずはそれを披露していく。結果、それはオンラインによって、最大化されることになって、彼女の飛躍につながる。

 「オンラインで私のスタイリングを見て、実際に店舗で商品を購入してくださるお客様がいたそうです。例えば、広島の店舗に、私のInstagramを見たお客様が初めて来店されたということがありました。それを聞いた時は、本当に嬉しかったんです。」

 彼女の誠意は、自由が丘にとどまらず、多くの人の目に留まるようになったのである。

8. これからも接客で華麗に舞い続ける

 その一つ一つの言葉により、彼女の接客から柔軟性を感じる所以が分かった気がした。

 最後に、そんな彼女は勉強として、何かを特定のものを参考にしてインプットしているのだろうか。

 それをきたが、これがまた、彼女らしくルールにとらわれていない。

「特定のモデルや企業を参考にしているというわけではありません。ただ、やはり国内外問わず、色々なブランドのオンライン接客の取り組みには常に目を向けています。最近ではアパレル以外の業界でも、オンラインでの接客が進んでいます。そういった事例から学ぶことも多いです。接客の在り方が多様化していく中で、私たちもその変化に柔軟に対応していかなければならないと感じています。」

 なるほど。だから、現在進行形で枠にとらわれず“進化”しているのである。

 自由が丘という場所や数々のお客様との接点で、リアルで得られたものが、花咲いたわけだ。そこにはちゃんと彼女なりの意思もあって、だから、その個性が活かされ、ネットでも羽ばたき、提案に厚みをつけることができた。彼女の根本にあるそのお客様への真摯な姿勢が、そのロケーションごと、どうやって、最高のパフォーマンスとして昇華できるか。それを追い続けてきた結果が今なのである。

 これからも、店舗という“ステージ”で“バレリーナ”のごとく、接客という華麗な舞いを見せ続けてくれるに違いない。

 今日はこの辺で。

 

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