初めてでも安心!個人事業主・職人のネット通販成功事例集

ネット通販(EC)市場は年々大きく成長し、あらゆる業界に影響を与えています。特に最近はスマートフォンやSNSの広がりで、超手軽で人々がオンライン購入を楽しむ時代になっています。今回は、EC初心者の方にもわかりやすいように、EC市場の動向や成功例、マーケティング手法、そして実践的な成功ポイントを解説します。
はじめよう ネット通販 その市場規模から考える
1. EC市場の成長と影響
市場の広がり
EC市場は世界的に広がり続けており、過去数年でも大きな成長率を続けています。
世界のEC専門調査によると、2023年の世界全体でのEC販売額は5.8万億ドルに達し、市場共有率(専門用語で言う“EC化率”)は市場シェアの19.4%を占めました 。
日本のEC市場も成長し続けており、2023年の消費者向け(BtoC)EC市場は約24.8兆円、前年比+9.2%と拡大しました 。また、日本国内の小売全体に占めるEC取引の割合(EC化率)も、2022年の9.13%から9.38%へと上昇しています 。
この数字は前年同期比21.27%増で、個人消費の中で、ECを利用する人の割合が増えていることを言います。
市場の変化がもたらす影響
ECの発展により、市場全体に大きな変化が生まれています。
店頭に行かなくても出かけずに欲しい商品が手に入ることで、客は便利性を得られ、小売業界は24時間・全国を展開する新しい機会を得たと言えます。例えば、日本ではECでの物販(物資)ECの売上高の5割以上がスマートフォン経由となり、PCよりもモバイルで購入する人が多くなっています 。
また、買い物決定前に約7割の人が何らかのSNSで情報集めをするとも報告されています 。これにより、商品検索から購入までのプロセスにおける「オンラインで購入を済ませる」分野の存在感が飛躍的に高まりました。ECは直結して実店の集客力へも影響を与え、店舗を少なくしたり、完全にオンラインに移行する企業も増えています。
企業にとってのチャンスと課題
ECの活用は企業にも多くのチャンスを提供します。
オンライン店舗は地域や時間の制約を超えて商標を展開でき、小規模店舗も大手企業も等しく市場で挑戦できます。一方で、コンピュータの技術力やロジスティクス体系など、新しいスキルも要求されます。
オンライン購入では「実物を手に取れない」といったハードルもあり、これを解決するために購入前に情報を伝えるコンテンツ作りや、快速な配送・返品システムなども求められます。
2. 成功しているECビジネスの具体的な事例
ECで成功を収めている企業やネットショップには、商品分野に対応したさまざまな戦略やアイデアが見られます。以下に、アパレル、食品、雑貨など業界別の成功例を紹介します。
• アパレル業界:
最も激戦区とも言われるアパレルECでは、オンラインで購入する際の問題点をどう解決するかが重要です。
例えば、パジャマ専門店「PAJAMAYA IZUMM」は、使用シーンに応じた商品特集ページを用意し、サイト訪問者の商品選びを手助けしています 。試着ができないアパレル商品でも、こうした購入前支援コンテンツで、購入前の不安を解消しています 。
また、アパレルブランドでは実店舗スタッフがInstagramなどでライブ配信を行い、オンラインでコーディネート提案をする例もあります 。これにより、コロナで客足が減った悪条件をSNS活用で逆転のチャンスに変えた例と言えます。
さらに、オーダースーツECの「FABRIC TOKYO」は実店で無料の採寸だけ完了し、データを保存。Web上でいつでも39,800円(約$300少し)からオーダーしてもらえる体制を取り入れ、「オーダーメイドは高い」という小売内のイメージを打ち消して成功を収めています 。
• 食品業界:
食品ECでは、品質や安全性に対する客の不安をどう解消するかが重要です。
たとえば、よなよなエールなどのクラフトビールを手掛けるメーカーが運営するECサイト「よなよなの里」は、ビール作りにかける想いやこだわり、イベント情報などを発信し、ネットショップを「お客様との関係をつくる場所」として活用しています 。
古くからこの分野で成功する企業は、製品の能書きや製造者の思いを伝えることで客の心を捉えています。別の例では、和歌山県で有田みかんの栽培から加工・販売までを手がける株式会社早和果樹園のネットショップ「紀州 有田みかん 早和果樹園」では、長年のEC運営の中、2022年に商品やみかんに関わる知識記事を掲載し、サイトの内容を充実させて成長を続けています 。
• 雑貨・コスメ業界:
雑貨やコスメのECサイトでも、特色を生かして成功している例があります。
例えば、「石鹸百科」というネットショップでは、洗濯等の方法や適切な洗剤選びなど、商品に関係する知識やQ&Aコンテンツを購入者に無料提供しています 。これにより、サイトへの訪問者を活性化し、進んで商品の購入に絡めています。
また「北欧、暮らしの道具店」というECサイトでは、社員自らが商品を使って生活で役立つ方法を提案するコンテンツやルームコーディネート例を多数掲載することで、サイトを見ているだけで楽しめる場を作っています 。購入前に商品の使用感や情報を誰でも得られるため、購入前の不安感を減らすことに成功しています 。
初心者が学べるポイント:
上記の例からも分かるように、EC成功には“顧客目線”の発想が必須です。商品を販売するだけではなく、商品に関する情報やストーリーを通じて、購入前の不安を削除し、顧客とのコミュニケーションを深めることが重要です。
そして、各企業が持つ独自の強み(ニッチな分野での専門性や製品の品質・価格戦略など)を生かしつつ、SNSやコンテンツを駆使して顧客に情報提供を続けることが、長期的にファンを増やしていくキーとなります。
3. ECにおけるマーケティング手法の解説
ECサイトを開設したら、顧客を集めるためのマーケティング戦略が必要です。特に無料で始められるSEOやSNS活用と、有料のWeb広告を駆使した効率的な集客について解説します。
SEO対策(検索エンジン導入)
Googleなどの検索エンジン経由でサイトへの訪問者を増やすSEO対策は、ECサイトにとって長期的に重要な集客法です。特に購入を考えている人の多くは、「商品名 レビュー」などのキーワードで検索するため、商品ページやブログ記事に適切なキーワードを納め込むことが大切です。
また、商品に関係するテーマのコンテンツ(例えばレシピやコーデの紹介)をサイトに掲載し、購入意図のある人を訪問者として流入させる戦略も有効です。SEOは一度に結果が出にくいので、日々の書き足しやサイト改善を続けて、長い目で視点を置きましょう。
SNSマーケティング
InstagramやTwitter、TikTokなどSNSは、無料で始められる強力な集客チャンネルです。
商品のビジュアルを使いながらフォロワーを増やし、日常的な発信でブランド認知と信頼を積み上げることができます。例えば、商品の使用方法を動画で紹介したり、素敵にコーディネートした写真を投稿するといった活用法があります。
今やSNSは買い物ができるプラットフォームに進化したものもあり、例としてInstagramはアプリ上で商品ページから直接購入する機能も実装しています。
このため、SNS上でフォロワーを得ておくことは、そのまま購入につなげる可能性を上げることにもなります。さらに、SNSのインフルエンサーやフォロワーと割引コードを共有したキャンペーンも有効です。なお、SNSはあくまでも非公式の場所であり、放置すると情報が埋もれてしまうので、商品や会社のオフィシャルサイトに誘導することを忘れないようにしましょう。
当然ながら、日本国内よりは言語やルールなど、乗り越えなければならない点がハードルになっているけど、海外に拠点を置かなければならないことを思えば、随分は障壁は下がった。昨今は、主に表側の言語、裏側の物流(配送、倉庫管理)を整備することでここが伸びている。
Web広告の運用
Google広告(Google Ads)やFacebook広告など、オンライン広告の活用もECの営業では大切です。
特に企画にマッチしたキーワードでの検索広告や、年齢・興味に対する設定が可能なディスプレイ広告は、スムーズな客光(集客)が望めます。比較的小さなコストで多くの人に対象を絞り込めるので、ニッチな商品や特定のターゲット層に向けた計画的な客配(集客)が可能です。
ただし、広告は成果がわかりやすい一方で、余剰に供給し過ぎると利益が出にくくなってしまいます。コツコツ適切に運用し、データ分析により改善を続けましょう。今日は少額でも始められるサービスも多く、小額でテスト運用をしてから本格的で投入を増やすという方法も有効です。
メールマーケティングとリピーター策
一度購入してくれた顧客をリピーター(再購入者)にすることが、続いて利益を出すために重要です。そのためにも、メールマガジン(メルマガ)やニュースレターを活用した顧客フォローが有効です。
例えば、新商品情報や季節のおすすめ商品をメールで配信することで、再購入意欲を刺激できます。ただし、送り過ぎや不要な情報の配信は読者に麻痺するので注意しましょう。また、購入後にお礼メールやアンケート的な感想ひきとりを行うと、ブランドの高い信頼と顔となり、顧客の信念を高めることにつながります。
4. ECを成功させるための実践的なポイント
ECで成功し続けるためには、技術や戦略だけでなく、基本的な思考法や決意も大切です。経験がない初心者は、次の点を意識してEC運営に取り組むとよいでしょう。
初心者が陥りやすい失敗と回避策
「Webに店舗を出せば自然と売れる」という動機でECを始めると失敗しやすいです。実店舗同様に、ECもどのような商品や客層を対象にするかの戦略が不可欠です。
また、商品のラインナップ形成や在庫管理をおろそかにすると、追加生産不可能や仕入れが追いつかず気付けば在庫切れとなり、機会損失になりかねません。さらに、広告や外注に費用をかけすぎると利益が薄くなり、売上があっても結局赤字になる可能性もあるので注意です。
これらを回避するためには、事前の市場調査や経費予測を精密に行い、初めは限られた商品種からテストするのもよい方法です。また、開設直後から売上が上がらなくても無闇に悲観せず、着実に改善点を履き出して実行することが大切です。
事業を続け・成長させるための考え方
EC運営は、超短期で結果を出すものではなく長いスパンで考えます。
初めのうちは手間もかかりますが、一度ファンを獲得すれば、SNSで拡散されると大きく成長する可能性もあります。毎日の売れ行きやアクセス数などデータを見ながら、週波や季節に影響される傾向を観測し、届く生の意見もヒントに改善を続けましょう。
さらに、新しい技術やトレンドが出てきたら知識を尽くして参入し、部分的にも採用を検討していくフリかけも必要です。市場やニーズは変化するのが当然なので、いつも流行りや顧客の声を意識しながら最適化を続けることが大切です。
顧客との関係構築、ブランディング
ECでは、商品を売りっぱなしにせず、購入者との長期的な関係構築を目指しましょう。例えばSNSやメルマガでフォロワーや読者に有益な情報を常に発信することで、ファンにしてくれた人を離れやすくしないことができます。
また、顧客の問い合わせへの返信を素早く行う、問題発生に真摯に対応するといった事も信頼を積むために必須です。ブランドを確立するには、他社にないストーリーや他に優れたポリシーを作り出し、全てのタッチポイントで統一感を出すことも有効です。商品の質はもちろん、サポートや配送などEC運営に付き物の詳細な設計は、結果的に全てブランドの質を高めることに繋がります。
今日はこの辺で。
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参考文献・出典
- 経済産業省 – 『電子商取引に関する市場調査』
- Statista – 『Global retail e-commerce sales』
- ジェトロ (JETRO) – 『拡大するEC市場(世界)』
- 矢野経済研究所 – 『インターネット通販市場に関する調査』
- 日本ネット経済新聞 – 『EC事業者の集客施策に関する調査』
- アライドアーキテクツ – 『SNSが購買行動に与える影響調査』
- フューチャーショップ – 『SEO対策で成長したECサイト成功事例』
- 書籍: E-Commerce 2023: Business, Technology, Society (K.C. Laudon & C.G. Traver)