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顧客接点が企業価値を決める 「ヤプリ」のアプリで自分を知れ!「ヤプリサミット2023」

 もう「アプリ」云々で満足する話ではない。ヤプリが開催する「ヤプリサミット2023」に潜入して、一番感じたのはそれだ。それじゃ「何が大事なの?」。それは企業価値でありブランディング。そのための顧客接点をどう作り出していけるか。ただ、自分たちが何をしたいのかに立ち返らずして、それはできない。アプリでできることが多様になっているからこそ、それをもとに優先順位をつけ、アップデートしていかなければならない。今こそ、自分を知る時代なのだ。

・誰でも色々できるから企業の取捨選択が大事

 サービスとしての「yappli」はノーコードと言ってプログラミングの知識がなくても、アプリ制作ができるから浸透した。けれど、それも転換期を迎えている気がした。単純にアプリを作るテンプレートを使い回すのではない。勿論、それも売りの一つだ。ただ、最近では「ブロックUI」といって、構造を細分化して変幻自在に企業ごとカスタマイズしているのだ。ブロックを積み上げるようにして、個性を発揮する。ここに関する機能が今続々とアップデートしている。

 その理由は簡単だ。お客様から企業に求めるニーズが多様化しているからである。アプリの数は813アプリに及んで、2023年は1.6億ダウンロードがなされている。ヤプリとしても、あらゆる要望に応えたい。

 その会場で、セミナー登壇した「ソックコウベ」玉山 順さんとも話したのだが、機能が充実し過ぎているのだ。否定しているのではなく、機能が増えるのはいいこと。ただ、あらゆるサービスの実装が、誰でもできる。そう言いながら、何でもできるように変貌している分、何から手をつければいいかが大事だ。これには、彼女もうなづく。だから、企業ごと、その機能の一つ一つを吟味して、何を優先させるか。その判断が企業側に求められてきているように思う。

 だから、僕は利用する企業は、原点に立ち返り、優先順位をつけていくべきだと思った。

・アプリがその企業の存在意義を浮かび上がらせる

 それはかえって企業がその企業たる所以を浮かび上がらせる良い傾向だと思っている。それなしにお客様の顧客体験は向上しないし、満足度も得られない。顧客接点が企業ブランディングに直結するから本当に大事なことなのだ。

 では、どうやって機能を実装して、成功を掴み取るかという話になる。その為には、アプリが何のために存在するかを考えた方がいい。それで言うなら「ファンとのエンゲージメントを高める」という意味合いが強い。

 元を辿れば、スマホという手のひらの上に存在し、ユーザーにリアルな行動を触発する。これまでのアプリは行動を促す意味合いで、利用価値が強く謳われていたように思う。しかし、今回、彼らの話を聞いて思ったのは、アプリは日常訪れる「メディア」としての位置付けが高まっているということ。それが、今、説明した企業の「エンゲージメントを高める」ことに繋がるからである。

・ハーゲンダッツはメーカーの仕掛けに風穴を開けた

 中でも「ハーゲンダッツ」のアプリの話には気づきが多かった。

 というのも、従来、メーカーと顧客との間には大きな溝があったからだ。卸や小売店が存在するので、案外、その距離感が遠いから、ダイレクトに繋がりにくい。

 メーカーはこうして一方的にならざるを得ず、広告宣伝費を使って、アピールを続けた。でも、その実態は時代にはそぐわない。だからこそのアプリだった。「ハーゲンダッツ」はアプリをメディアと位置付け、コンテンツを豊富に提供しつつ、それだけではなく、消費者側に“エンゲージメントを高める”アクションを誘発させた。

 彼らが販売している「ハーゲンダッツ」のバーコードをアプリ上で読み込むと、それがまるでスタンプラリーを楽しむように、食べたアイスの写真が埋まっていくわけである。

・ダイレクトに繋がりファンを生み出す構造

 これが他の商品を購入してもらうきっかけとなる。それだけではなく、ファン同士が横でのつながりを生みだすから大きい。それはコミュニティとして価値を持ち、それらの集まりがメーカーとお客様をダイレクトに引き合わせるきっかけとなるのだ。

 これをEC文脈で説明するなら、ヤッホーブルーイングの「よなよなエール」が生み出した熱狂に近い。

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 彼らはクラフトビールの裾野を広げるべく、自らの商品をきっかけにして、ファンコミュニティを形成し、そこに熱狂を生み出した。それらが結果、大手メディアの広告に匹敵するほどの影響力を持つに至り、回り回って商品が売れるという現象が起こり、それが継続している。
 
 ただ、これらは割と、D2Cという文脈で語られることが多かった。逆にいうと、それがECの付加価値でもあった。だから、大手メーカーにとって歯痒い部分もあったのは事実だ。その意味で、「ハーゲンダッツ」が風穴を開けたのは大きい。卸を通じて小売店に並ぶような商材でも、こうやってアプリひとつで、ダイレクトにファンと繋がれて、熱狂を生み出せる。それが、多くの企業にとってどれだけ大きな意義をもたらすか。

・コンテンツを最大化させる機能が進化

 だから、アプリは企業がその企業たる所以を浮かび上がらせるものではならず、先ほどの成長と相まって機能は充実する。アプリのプラットフォームとしての「Yappli」は時代に合わせて、アップデートを繰り返していくわけだ。全部あげればキリがない。例えば、今回のアップデートを一つ挙げれば、アプリ上、近くの店舗を表示させる機能が実装された。

 そもそも多くの実店舗を持つ企業が、そのアプリで、店舗の所在地をコンテンツとして用意している。だから、彼らは、それをさらに深掘りする機能として、提供しているわけである。

 アプリがメディアとして充実していたから「この場所にお店があるんだ?」。そんな具合に興味本位で開ける環境を作れていた。ただ、今度は現在地からのアクセスを促し、今まで立ち寄らなかった店舗にも足を運べる。売上が上がるからいいのではなく、リアル店舗で“エンゲージメントを高め”られるから大事なのだ。

 しかも、それはコンテンツを補完する形で存在し、そこでこの機能は活きている。

 だから、自然と世の中で定着しているスマホ上の機能は「Yappli」内でも実装させていく。最たる例がショート動画である。確かにInstagramでもYouTubeもあるだろう。

 だが「Yappli」のブロックUIと、そういう要素を掛け合わせることで、アプリ上のメディアとして、より完成度の高いものを目指せるという意味で、その機能が必要なのだ。

・1億総メディアで尊重と共感を

 改めて、これらの機能の進化がもたらすのは、1億総メディア時代の到来なのかな、と思う。皆がメディアを持つ。そこに違和感を覚える人がいると思うのだが、それは「尊重」し合い「共感」し合うことで生まれるものだという意味合いでのことで、必然だ。

 例えば「なんばまるっとアプリ」。その名の通り、難波に関係する商業施設を巻き込んで「ミナポタポイント」を形成して、相互利用を促して、経済圏を作っている。そこに商業施設もそのアプリの貴重なコンテンツとなっている。だが、これからのことで考えれば、その商業施設にしても、アプリを作っていてもおかしくはない。極論、アプリは何個存在してもいいってことなのだと思う。

 「なんば」という単位でやれることはある。その中にある商業施設単位でやれることもある。さらに言えば、その街にある個人商店単位でもやれることはある。そのそれぞれにアプリは存在してもいいはず。その理由は、個々に別の役割やエンゲージメントを持った顧客を持つからである。

 興味の対象に絞って深掘りしていく時代だから、その中で関心のある単位でアプリを入れればいい。一極集中の時代ではないから、むしろそちらの方が自然だ。

・自らの価値を定義することで使うべき機能も見えてくる

 この日、同社の金子洋平さんが教えてくれた「お仏壇のはせがわ」も秀逸。実は、若年層にはまだ馴染みの薄い仏事。そこにまつわる必要な情報を、アプリのプッシュ通知で伝えていくのだそうだ。仏具を売るだけではなく、派生させて古くから続く文化をアプリをメディア化させて、昇華している。売るだけではない、自らの価値を定義してこそ、見つけた“機能”ではないか。

 これこそ、ファンコミュニケーションとしての役目を持ち、エンゲージメントを高める所以である。

 そうなると、企業の価値や文化はアプリを以て個性となる。すると、お客様の分析に繋げることができるようになって、集まる質が高めて、実績に繋げられる。だから、最近、「Yappil CRM」を投入したわけだ。RFM分析を通して、優良顧客、リピータ顧客、新規顧客と振り分ける。

 例えば、「購入頻度が高いけど、最終購入から期間が空いている」とすれば、クーポン表示させるなどして、触発するというわけだ。

・同じ価値観で集まればそれは価値となる

 さらに、唸ってしまったのは、アプリ自体に広告の実装をするという提案。確かに、メディア化すればそれは特定の強い共通性を持ったユーザーである。その属性と親和性の高い層には広告が響くわけだ。

 既に、成城石井などはそこにバナーなどの広告を入れて、その観点でも、自らの企業価値を最大化させている。下の写真は「成城石井」のアプリ。ふるさとチョイスの広告が表示されるわけである。ヤプリは、間に入って代理店的な役目を果たしているわけである。

 もう「アプリ」云々で満足する話ではない。消費者のニーズは多様化している分だけ、求められていることは、実は個々の企業ごと全く異なる部分であるはず。

 アプリの豊富な機能に埋もれることなく、その企業ごとに取捨選択して、必要な“アップデート”をすることが急務なのだ。そのためには、今一度、企業の文化や個性などに立ち返る必要がある。

 今日はこの辺で。

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