2023年夏 生活が一変したその先に 楽天グループ 2023年夏トレンド予測
楽天グループは、横断的に楽天市場、楽天トラベル、Rakuten music、楽天ブックスなどにおける購買データや調査結果で分析を行った。そこから彼らなりに、2023の夏のトレンドの傾向をまとめ、発表を行ったので、それを振り返りたい。コロナ禍も落ち着いて、ただ、単純にコロナ禍前に戻るのではない、例年とは違った様相を見てみることにしよう。
「夏の過ごし方」は過去に戻らず進化している
1.推し活を反映する痛バッグ?
コロナ禍が落ち着いて、例年とは違った傾向が見られる。例えば、楽天超ミニバイトで実施した調査で「夏の過ごし方」について、国内旅行をしたいという声が伸びている。ただ、それが単純に外への活動を希望しているだけかというと、そうではないのが面白い。
これまでになかった傾向として、動画配信サービスを観るなど動きも高いのだ。コロナ禍を経て、定着した新しい行動形態にも生まれているというわけなのだ。
それは、物販などにも影響しそう。例えば、各自配信を見れば、好みの分散化が起こる。すると、その分コンテンツへの愛着が深まる。その証拠に皆さんは「痛バッグ」をご存知だろうか。
実は、昨今、急拡大している“推し活”マーケットの代表的な商品なのだ。これが売れているとか。見ていただくとわかるが、バッグの外側に缶バッジなどが入れられる。特に、推し活は女性の間ではそれがコミュニケーションの手段として定着しており、これで自分の意思表示になる。
最近では、歌手などの来日も増えていて、自らの推し活の熱量を示すものとして、重宝されるわけである。それを証拠に、楽天市場でのデータによれば「痛バッグ」は約6.7倍。
2.物価高の影響が購買にも
また、今年ならではという部分では、物価高の影響が消費にも見られる。例えば、節電の必要性が高まったことで「「冷感」のキーワードを含む商品の取扱高が約1.4倍。そこから連想されるグッズはクールタオル、ベッドクールなど。他にも、お得に買い物をしたい傾向を示す「まとめ買い」というキーワード。こういう系の商品の取扱高も1.5倍である。
とはいえ、今夏は外出自粛がない分の「外へ行きたい!」気持ちへの反動が大きいのも事実。やっぱりグッズの売れ行きにも影響が出ている。楽天はこれを「return to normal 消費」というキーワードで紹介。例えばスーツケースは2.2倍。浴衣も約1.8倍であり、遊ぶ気満々である。各地、人で賑わいそうである。
というわけで、旅行などの動きを見るべく、楽天トラベルのデータに目を向けてみよう。外出が増えれば、旅行・レジャーに関しての関心も高そうだ。実際、石垣島など離島を含むエリアが、2019年比で1.6倍。また、控えていた分、予算に余裕があるのか、高級宿の予約が1.6倍になっている。
この数字から何を読み解くかというと、より違う環境で、リラックスすることを求めているということだろう。それを「リトリート旅」と呼んでいる。要は、慌ただしく進む日常生活から少し距離を置いて「本来の自分に戻るための時間」のことをリトリートと呼ぶ。
3.リバイバルとトレンドとが混ざり合うエンタメ
加えて、Rakuten musicを提供している絡みで、エンタメについても言及。個人的に感じたのは、リバイバルとトレンドの相乗効果。2023年の注目アーティストについて真っ先に挙げたのが10-FEET。
特に印象的だったのは、映画『THE FIRST SLAM DUNK』への挿入歌の提供だろう。この「スラムダンク」に関しては、興行収入145億円を突破して、番狂せのヒットになった。映画を起点にブームが再燃しており、楽天ブックスでは、単行本の売り上げも一気に伸びていることを明らかにしたのだ。
スラムダンクを楽しんだ世代が10-FEETを知り、10-FEETを知る人がスラムダンクの価値を知る。
これも、コロナ禍を経て変わった一つの傾向。配信などが後押ししていると思う。だから、コロナ禍前に戻るのではなく、少し未知なる動きを辿りつつ、新時代へと踏み出したと言って良い。いざ、皆さんが外に出た時の賑わいは、エンタメの傾向を見でもわかる通り、想定外の動きもありそうである。コロナ禍も落ち着いて、でも、例年とは少し違う、新しいシーンを新鮮に受け入れ、楽しもうではないか。
今日はこの辺で。