RoomClip と bydesign の挑戦は始まったばかり D2Cルームラボは 製造業に未来を提示する
先日、RoomClipが10周年を機に、新しい動きをするという発表に触れ、日本の製造業に対してD2Cを後押ししていくという話があった。非常に、共感できる内容だったので、記事にしたいと思う。
RoomClip bydesign が結集して製造業を後押し
1.RoomClipとは
そもそもRoomClipというのは、一種のコミュニティを基点としている。家の中で家具などをどういう風に使っているのかというものを一般ユーザーに投稿してもらい、500万枚の実例写真が揃っているので、例えば、引越し前後、家づくり、模様替えの際に、これらを参考として、自らの部屋作りに活かしていこうというわけである。
これらの視点は多くのユーザーに受け入れられることとなり、その利用者は月間600万人を数えるまで成長した。ここまで、データが集まれば、次のフェーズとして、家具や家電などの企業に対して、データを提供し、マーケティングに活用したり、この場所自体を、プロモーションとして位置付けて、その存在感を拡大してきたわけである。
2.D2Cラボは集まる住環境の価値観を商品づくりに活かす
そこから、10周年を迎えた今年、もう一段階、踏み込む要素として、D2Cルームラボの立ち上げを発表したわけであり、それが冒頭、話した製造業に対してD2Cを後押ししていくというものになっていくわけである。
共感できると書いた理由は、確かに、日本の製造業はまだまだ、ネットに対しての知見が薄く、昨今、コロナ禍で若干、状況が変わってきたとしてもすぐに、ネット通販ができるほど、簡単な世界でもない。
そこで、彼らは自ら、その集まっている住環境にまつわる情報を、シェアしつつ、それをルームクリップ社が昨年、買収し子会社となったbydesignという会社と連携して、自ら手がけた製造業の商品を、ネットの流通に乗せて、ダイレクトにお客様に販売していく手立てを用意しようというわけなのである。
3.今の時代を踏まえたbydesignの販売手法
ちなみに、bydesignは着眼点が秀逸で、テーブルをメインに扱うeコマースサイト「KANADEMONO」を運営している。特徴として、様々な種類の天板をお客様にとって相応しいサイズでカットをし、それをテーブル脚と組み合わせて、インテリア空間を作り出すわけだが、まさに、テーブルにおけるカスタムオーダーメイドと言ってよい。
いわば、大量生産大量消費の中で、家具を購入していたものとは全く違ったお客様とダイレクトに繋がるからこそ、実現するスタイルである。
さて、ここでこれらのRoomClipとこのbydesignの強みが程よく、融合することによって生まれるのが、D2Cルームラボということになるわけだ。
製造業の未来を担うD2Cルームラボ
1.製造業のビジネスの在り方は変容している
日本の製造業がこれから未来を見据えるとすれば、必ずしも大量生産大量消費の中でのビジネススタイルだけに依存するのではなく、ネットを効果的に活用して、自分達にとって相応しいお客様とダイレクトにつながって、付加価値のある商品を提供していくことで、自らの文化を伝えることに意味があるわけだ。
だから、まずRoomClipの数多くの住環境に関する豊富なデータを活かし、既に同じ価値観を持ったユーザーが存在する中で、そのデータを活かして、商品作りに活かしていく。それとともに、それらのデータなどを使って、bydesignのようなダイレクトでお客様と繋がり、価値を訴求して、購買へつながるノウハウを注入することで、D2Cの土台を作っていこうというわけである。
2.今までの技術を活かして次に繋げる土壌
この会見ではイケヒコというイグサを使ったインテリアに関する1886年創業の国産の製造業も同席していたが、そこで示されたデータに驚いた次第。見てもらうとわかるが、1997年には卸売が相当な割合を占めていたのが、2020年ではほぼない。つまり、製造業の売り方が変わってきているし、変わらないと生き残れないことを意味している。
変わって台頭してきているのは、ネット通販の割合だ。その点、彼らは既に「ヒコラー」と呼ばれるファンがRoomClip内にいるなど、そこを起点に、これまでとは違ったビジネスを模索していて、それが奏功しているがわかった。これが今という時代である。
これは会見でも触れられていたが、日本の製造業のクオリティは一朝一夕でたどり着けるものではないということには共感を覚える。だからこそ宝の持ち腐れとしないことだ。別にRoomClipやbydesignでなければならないというわけではないが、その知見を取り入れ、今の時代にふさわしく生き残る術を獲得していくことは大事だ。
時代は変わっていくのだから、今までの流通の仕組みにとらわれていては、自らの力を発揮しきれない。今一度、それらを見直す機会が今来ているし、そこで極力、コストを抑えて、堅実に、その一歩を踏み出して、今こそ製造業の存在感を世に示そうはないか。RoomClipの10周年とその先の製造業の未来に、乾杯。
今日はこの辺で。