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コールセンター の進化は“スマート家電”にあり? トランスコスモス 未来絵図

 人間は変わらない。けれど、その交流手段は実は、時代と共に変容していく。新聞の折込チラシだって最近見なくなった。では何に置き換わっていくのか?「答えは冷蔵庫」。そんな驚きの答えを示すのがトランスコスモス。彼らはコールセンターの老舗ではないか。常務執行役員 所年雄さんはコールセンターの重要性を話しながら、“スマート家電”の例を持ち出し、彼らのやろうとしていることを教えてくれたのだ。

スマート家電 と トランスコスモス が結びつく理由

1.コールセンターなのになぜデジタル?

 家電メーカーではない彼らがそんな話をしているのがミソである。トランスコスモスはコールセンターの老舗である。しかし、ここ数年でデジタルにおけるコミュニケーションを創造する会社へと変貌している。それで、この冷蔵庫の話題が合致してくるのである。

 彼らは原点である「コールセンター」をやりながら、最近はLINEとの関係も密にする。一見、自分たちのライバルであるようなチャットをなぜ、彼らは関係構築するのか。それは、LINEでやっていることも、実は、コールセンターでやっていることとそれほど変わらないからだ。

 つまり、お客様との関係を効率よく深く形成するという点で、電話がLINEに置き換わっただけである。だからその為のデジタルマーケティングなどにおいて彼らの知見は生かされる。LINEなどを使った交流のバックヤードを担う所以である。

2.彼らは人と人との関係性をビジネスにしている

 だからと言って「コールセンター」の業務を「メール」や「チャット」に置き換えていくのではない。「メール」や「チャット」など、部分的な要素にトランスコスモスが着手することに意味はないからだ。

 寧ろコールセンターは今まで以上に重んじる。ところさんの話は、もっと本質的で人間的である。彼が言っているのはコールセンターなり、LINEなり、メールなりの会話の中身。人そのものなのである。ここをデータで分析していくことで、企業の課題解決へと導く。だから、彼らは「テクノロジーの力をつける」を今のテーマにしているのである。なるほど。

 さて、そのテクノロジーであるが、これまでのそれらは企業側の都合で取り入れられていることが多かった。そう所さんは指摘する。ここで先ほどのCSからCXという視点が出てくる。

 もう少し詳しく説明しよう。『CS』とは、カスタマー サクセス(顧客対応)。『CX』は、カスタマーエクスペリエンス(顧客体験)。つまり、今までの時代ではCSに重きを置かれていたけど、デジタルを備えれば、CXの向上が可能となる。だから、トランスコスモスはそちらに舵を切りたい。そう彼が話していた。なるほど、CSとCXは似て非なるものだ。

CSではなくCXを考えてみる

1.CSとCXは似て非なるもの

 例えば、トランスコスモスは10年前から「FAQマネージメント」というサービスを展開している。要は問い合わせを削減する為に、FAQを作るという施策である。ただ、それは『CX』を上げることになっているかというとそうではない

 「それはセルフレスキューすることで『CS』を向上させる事なんですよね」と所さん。

 それが『CX』といえない理由は、もう問題発生してしまっているからである。彼らの新しい視点はそうではない。そもそも「問題を発生しないようにしていく」ものなのである。

 繰り返すが、それを解決するのがデジタルリソース。彼らが最近、「テクノロジーの力をつけよう」と述べることに直結する。

2.トラブルが発生する前にトランスコスモスが機能する

 家電を例に挙げるなら、それまではトラブルが発生してからが、トランスコスモスの出番だった。しかし、彼らが自分たちの未来で描いているのは、もう少し先の目線である。

 つまり、洗濯機であれば、壊れる手前では音に変化が現れる。だとすれば、それらの音や振動の度合いなど、何かしら異常に近い状態をセンサーが察知させるように、テクノロジーを設計。それを彼らのようなコンタクトセンターへとフィードバックする。つまり、デジタルと一体で新しい顧客との関係構築の仕組みを考えるところに、彼らの真骨頂がある。

 「音が送られてきた状態で7〜8割は判定できる。そこで機能するのはAIで、省人化を図れる。とはいえ、そこでは解決できない大事な2〜3割の部分は人間が対応するのだ。そうすれば、故障する前に自分達のリソースを有効活用して、問題解決をできる。彼らがコールセンターで培ってきた知見をトラブルが発生する前に、活かしている。これが『CS』ではなく『CX』の向上。そこを目指していきたいというのである。

家電が彼らと結びつきCXが向上する

1.技術というよりプラットフォームになる

 だから、彼らはその為のデジタルプラットフォームを作ろうとする。そして、その上に家電メーカーを置くわけである。そこで連携していくことが、結果、家電の信用を高めていく。

 プラットフォームにする意味は、それを家電メーカー単体でやれないからだ。コストが見合わない。莫大なコストがかかる分だけ、それをトランスコスモスがまとめる。家電メーカーで使えるように自動化できれば、各々の家電メーカーのコストは軽減できる。その分、メーカーはその家電自体の商品力に打ち込みつつ、お客様にとっても最大限、価値あるサービスを提供できる。

 しかも、不測の事態で故障が起きてから、作業が発生するわけではないので作業に波が生まれず工数も安定する。その前段階の異常を伝えるそのやりとりでは、彼らの持つコールセンター業務での知見が最大限発揮される。これこそが彼らのいうところの今の時代にふさわしくコールセンターも「進化」しているという事になる。

2.だから冷蔵庫の話をトランスコスモスがする

 だから、彼らは「冷蔵庫」の話をするわけだ。家電メーカーが、そういうデジタルのプラットフォームと連携していく。それはそう遠くなく実現する。ネットとAIを活用して、お客様と近い関係性を持ち合わせれば、家電自体がデバイスとなる。

 その裏側で、お客様との接点のプロフェッショナルとして機能するのはトランスコスモスだ。常にコミュニケーションが並走しているから、未来でいう彼らの出番となる。

 持ち主の情報とを掛け合わせれば、その様相はガラリと変わる。近隣のスーパーなどでその持ち主にあった情報もその「冷蔵庫」から発信されるようになるからだ。

 冷蔵庫は食品が出入りする情報の宝庫。だから、色々な家電を紐づけるほど、その情報は何に使われたかなどその人個人を映し出す正確な役立つデータにもなる。それがCXの向上にもなり、コールセンターではない進化を具現化する。彼らは陰ながらサポートしつつ、会社のイズムを貫くわけだ。

もう家電メーカーは変わりつつある

1.すでにシャープなどでは家電は変革は起きている

 空想上のように聞こえるかもしれない。でも、家電メーカーなどに目を向けると結構、実現し始めている。所さんはシャープの例を挙げた。

「スマホと冷蔵庫、自動調理鍋をWiFiで紐づけて操作するのです。すると、冷蔵庫のディスプレイからオススメレシピが出てくるんです。更に、その材料を『ヘルシオ ホットクック(自動調理鍋)』に入れると調理ができる事も教えてくれます」と。

 それどころか、お客様の情報に基づいて近隣のスーパーの特売情報も教えてくれるという話もあるとか。

 チラシはスマート家電に置き換わっていく。そんな話もあながち、嘘ではないことがお分かりいただけただろうか。勿論、生活に密着するほど、サブスクなどの提案を家電メーカーがしてくるかもしれない。そうすれば、小売の状況すら変貌してくる。

 それが当然の世の中になって色々なメーカーがそれを必要とする時代、トランスコスモスはだからこそCSではなくCXの視点で貢献しなければならないと模索するわけである。

スマート家電 と トランスコスモス が紐づくと コールセンターが進化する理由

1.家電で人と繋がる時代

 この話におけるポイントは二つ。一つは人は変わらないけど、手段は変わっていく。だから「何がお客様にとっての満足か」は時代によって異なる。そこにデジタルが関わり、データを駆使して体験そのものを向上させるべきだということ。

 もう一つはだからこそ「テクノロジーの力をつけよう」という事。それを根付かせようとするのは、トランスコスモスでいえば、過去の彼らが培ってきたコールセンターを「進化」させる事になる。

2.目先の数字では見えない会社にとっての大事な将来

 この取材の席上、正直な気持ちを所さんはこう話してくれた。

 「最近、新型コロナウイルス感染症に絡んで、コールセンターの需要が増えました。幸いにして、私たちの会社のスタッフの解決への意識の高さが結果、反映されました。だから、今期最高益となりました。けれど、それよりも、未来に向けての我々の総合的なアプローチと姿勢を見てくれたら、と思うのです。スタッフの価値をさらに最大化させ、企業の成長性をもっと実感してもらえるはずなんです」と。

 彼らが培ってきた人と人との間にある真心。それは、今という時代を取り入れ、どうやって最大化できるのか。コールセンターを単純に何かに置き換える単細胞な話ではない。人を礎にどういう知恵を出せるか、企業の先見性と行動力、思い遣りある手腕にかかっている。

 今日はこの辺で。

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