データを通して自らを知り、アクションは迅速に 仮説と検証がMAツールで一番大事な理由
デジタルで数字は表示されるし、データもわかる。でもそれをどう活用するかが案外難しい。メールが良いのか、LINEがいいのか。そういう問題ではない。それをシナブルの小林裕紀社長はよく話していて、MAツールの「EC Intelligence」を素材に、適切な手段を解説してもらうことにした。
手段の変化にも順応
1.メールがいいわけでもLINEがいいわけでもない
お客様との接点が多様化している。だから、最近は「EC Intelligence」を使って、ECサイトのデータにLINEを連携させた動きもしている。下記の通り、個々のお客様の行動履歴に基づき、きめ細やかなLINE配信をできるようにしていたりもする。
ただ、その上で同社クライアントコミュニケーション&マーケティング部 部長 曽川雅史さんはこう語る。
「『メールがいい』という時もあれば『LINEがいいよね』という時もある。しばらく経つと『LINEはブロックが多いからアプリがいいよね』と。ショップの担当者さんの発言はコロコロと事情によって変わります。だから、手段やツールにこだわるより、お客様を起点で考えた方が良いんです」。
2.コロナ禍におけるスピード重視に応える仕組み
つまり、 手段ではないと。ブランドが確立できたお店においてはデータの収集と分析が大事。
お客様のデータをその時々の状況にあわせてどう最適な機能を取り入れて、アプローチしていくか。そこに尽きる。そうすると、それを迅速に判断して進めていくことの方が、ツール(機能)にこだわるよりは、大事なのである。
何が言いたいのか。
つまり、手段でいつまでもあれが良いこれが良いと議論する時間など、ないのであるということ。
「会議にかけて、その連携にかかるコストを社内で話すまでもなく、担当者レベルですぐ動くことが大事。だから、我々は先ほどのLINE連携などもそこを意図しています。そのアクションが仮に正解ではなくても、そういう仮説と検証を繰り返していく中で、結果、他よりも早く、正解を見つけることが多いのです。」
そう小林さんはそう続けた。
3.唯一無二の仕組みではなく、どう使いこなすか
ここで最初の話に戻ってくる。自分たちを知ることの大事さ。それはデータが教えてくれる。面白いのは、シナブルは彼らの仕組みが思いもよらない使い道で重宝されているということだ。
つまり、彼らの仕組みを使って抽出した「顧客動向データ」。それ自体が、利用企業の会議資料として役に立っているというのだ。ツールではなくデータで自分を知ることの大事さである。
だから、UI UXなのだという彼らのポリシーに繋がる。
語弊を恐れず言えば、彼らの仕組み「EC Intelligence」において、シナブルが唯一無二と誇れるものがあるわけではない。でも、彼らのツールを使って通販企業が躍進しているという実態もある。それは何故なのか。
4.複合的に使って価値がある
EC業界においては、「メール配信ツール」「レコメンド」「サーチ」など実に色々なツールが存在している。彼らもまたMAツールの中でそれらは実装している。彼らがそれらの個々のサービスと違うのは、どれか一つを使って結果を出そうとこだわっているわけではないということ。それらを複合的に重ねながら、実績を作るわけである。
彼らのように、MAツールとして、複合的に、システムの提供をすることの意義はどこにあるのだろう。実は、それぞれを別々に機能として使っていると、その分、結局、各ツール同士の連携が必要だったり、それにあたってコストや時間が余分にかかってしまうというのだ。
一番大きいのは、そういう部分が実はスピードの妨げになって、結果が出るまでに辿り着けないことなのである。「例えば、カゴ落ちに対応するメール配信を開始しました、そういう企業は存在します。それはそれで、価値がある。でもシナブルはそうではない。カゴ落ちメールもできるし、もっとお客様のデータをフックにして色々な事を再現できるようにしています」と小林さん。
5.ECに特化することで必要な施策がすぐ打てる
つまり、シナブルが一番大事とするのは、お客様とお店の接点なのであって、では、それをECの場面に特定して、そこに必要なアクションは何かを考えてそこから逆算して機能を実装している。
また、必要なアクションから逆算ができるのは彼らのスタッフが皆、ECの仕組みに知見があるメンバーで揃えていることも寄与している。
シナブルの仕組みは確かに唯一無二の機能を持っているわけではない。けれど、重宝される理由はここなのだ。一つ一つの機能を宝の持ち腐れにしない為に、構築されている。
結果、それがスピード感に繋がり、各々で早く「正解」を見つけている。だから、ツールで云々議論するのではなく、まずは行動すること。その行動には自分たちを知ることで、そのヒントはデータにある。結果的に、彼らのツールを使う企業の多くが躍進しているのは、その裏付けである。
今日はこの辺で。