ユニクロ 旗艦店 開店 と マスク で感じる 事業での堅実さ
東京・銀座にある ユニクロ 旗艦店 「UNIQLO TOKYO」の 開店 初日、僕は訪れた。彼らが、時を同じくして「エアリズム マスク 」を販売するあたりに、ユニクロらしい堅実なビジネスの一端を垣間、見た気がして、各フロアで続出している行列を感慨眺めていた。
ユニクロ 旗艦店 開店 で華やかな店内 マスク に長蛇の列
改めて、店内をまわって思うのは、ユニクロの服はトレンドに左右されないデザインが多いということ。とかくSPAと言われるユニクロであるが、ZARAと比較されやすい。ZARAはトレンドを分析し、それに相応しいデザインを、相応しい数だけ作って、提案していて、それ故、在庫の消化率が高く、急成長を果たしていた。しかし、その勝ち組ZARA においても、6月中旬の報道でもあるように、1200店舗を閉鎖する。
言うなれば、この背景には店舗拡大路線を推進してきたことが大きい。勿論、適量作ったとしても、それが大量であればある程、生産コストは軽減されるわけだから、極力、店舗拡大したい。ただ、それをすればするほど、トレンドを反映できなかった時の在庫リスクは、問題となるわけで、そのZARAのビジネスはそのバランスを崩すことになる。ただ、彼らは閉店にすることで、その生産のバランスを今の時代に合わせて、調整しているだけで、eコマースを軸に復活しそうにもおもう。
定番商品をいかに新鮮に感じさせるかは、時流に関係ない
さて、ユニクロである。ここ最近、ユニクロは、特に、新型コロナウイルス感染症の中にあって、ZARAと比較しても、ビジネスの中身としては健闘しているのではないかと思えてきた。冒頭話したように、定番的なものを作っても結果、それはZARAとは違って「在庫を抱えるリスク」は存在する。けれど、実はトレンドに左右されない強さがあるのも事実だ。
しかも、以前、ユニクロ原宿店に行った際に、僕は「新しいものは、何も新しい商品を作ることではなく、過去の商品をお客さんごとにカスタマイズして提案することも新しいということなのだ」と思った。むしろ提案の仕方に頭を使っていて、ユニクロが抱える在庫においても、ある程度は、テクノロジーを駆使するなど、カスタマイズすることを前提にしているから、やり方は変われど、今回の新型コロナウイルス感染症の最中でも、想定範囲内なのではないかと思った。
在庫は抱えているのだけど、商品自体は時代性にそこまで左右されないから、粛々とその提案の仕方を変えていくことで、在庫を消化していけば良いのだとすれば、それは健全である。
エアリズムマスク の役目はトレンド感
かくいう「UNIQLO TOKYO」も芸能人とコラボして、見せ方を変えているけど、そこまで革新的なデザインというわけではなく、様々なシーン提案で個々のお客さんにカスタマイズする作戦が見え隠れする。あとは、その提案に気づかせるかどうかである。
その中にあっての「エアリズムマスク」なのではないか。いかにも、トレンドを抑えているかのようなこの商品の登場一つで、人は殺到する。殺到すればニュースになるし、なんだか欲しくなってくるから、店に駆け込み、行列が生まれる。おそらくこれをキッカケに、店に来た人も多く、他のフロアも皆、一様に満員であった。
「新しいものは、何も新しい商品を作ることではなく、過去の商品をお客さんごとにカスタマイズして提案することも新しい」である。基本、洋服という点ではそれほど、新しいことをしていないけど、マスクを買いに来たついでに、洋服を見て、「初めて」気付く洋服が手ごろな価格であれば、「新しい」と思って買ってしまうのである。
おそらく、これから彼らはそのお店を売る場所ではなく、顧客体験の向上につなげる場所につなげるはずだし、企業同士のアライアンスを重要視していくだろう。だから、MOMAなどのアートとの連携もこの店には見られた。先週の話であるが、こういう感謝祭などでも分かる通り、企業コラボも増えてくるだろう。そうやって彼らが自分たちの拠点を、特別な場所に変えて、来るきっかけを作り、個々に合わせた体験へとつなげていく。
依存しないで、潮流を興していく姿勢に、彼らの強さを見た
新型コロナウイルス感染症の中にあって、リアル店舗、とりわけファッションジャンルに絡む企業はダメージが大きいけれど、ユニクロはそこをちゃんと見据え、依存しないことで、悪い中でも食い止めているようにも思う。
アパレルや百貨店の決算発表では、よく「今年は冷夏で・・・」と言った説明が見られるが、それって神頼みじゃないかと思うし、農家の考え方と変わらない。そのくせ、ややお高くとまっている。
結局、世の中はどんなものも“みずもの”であるし、あたかも平和な世の中だと、それが永遠続くように思える。けれど、依存しないための仕組みを、常々考えて準備していくことこそが、大事であり、そこの中で、テクノロジーや今という時代に備わったツールを活用して、生かせるかどうか、なのだと思う。
今日はこの辺で。