Tamagotchi Uni お披露目 あのちゃんも納得の世界が繋がる「たまごっち」アップデート
なるほど、そういう視点か。この日、僕は幅広い芸能活動で活躍する「あの」ちゃんの言葉で、「たまごっち」の何たるかに気付かされた。その長い歴史ゆえ「たまごっち」と聞けば、多くはそれを懐かしむ声で占められるだろう。でも、そんな中、「そういうものではない」と彼女。そして、新商品「Tamagotchi Uni(たまごっち ユニ)」の発表に関連して、たまごっちの「アップデート」というような言い方をしていた。これは深い。そう僕は納得して聞いていた。
アップデートだから今に合わせて進化している
1.あのちゃんの核心をつく指摘
僕がやってきたのは、「東京おもちゃショー」の会場。バンダイのブースに用意された壇上では、その新商品「Tamagotchi Uni」のお披露目セレモニーが行われていた。そこに登場したのが同商品のイメージキャラ「TAMA FAMILY」に就任した「あの」ちゃんであった。
それで、司会の鬼越トマホークの二人が懐かしむ中、それとなく、「懐かしい」と言うよりは現在進行形の「アップデート」というニュアンスで説明した。時に「あひるぐっち」の真似をしてみたり、おどけてみたりするお茶目な「あの」ちゃん。でも、なかなかどうして、核心をついた発言で僕は唸ったのである。
本当に、その言葉通り、アップデートだと思った。
2.デジタルとの融合で迎えた新たな局面
というのも、今回の「たまごっち」は今の潮流、デジタルとの融合。特に「たまごっち」にとって、それが大きい理由は「商品」からの脱却を果たしているからだと思う。もはや商品という概念を超えて、コンテンツだと思ったのだ。
コンテンツ?そう思われる人もいるだろう。つまり、そこに集まるファンをきっかけに、コミュニティを活性化させることがメイン。商品はそれを強力にアシストする要素に徹するわけである。
たまごっちの世界観があればこそデジタルで開花する
1.デジタルがもたらす商品の進化系
これを語る上では、そもそも「たまごっち」とは何かを考える必要がある。ご存知の通り、「たまごっち」は育成型の玩具で、1996年に誕生した息の長いおもちゃのシリーズである。その液晶画面の中で、キャラクターを育成するという部分は共通で、それが進化している。
特徴は育て方によって成長した後の姿が異なること。だから、それぞれどのように変わっていくかが関心の的となり、脚光を集めた。その世話の手を抜けば、それなりの結末が待っている。ペットさながらの手がかかる存在だから、逆に良いのだ。
紆余曲折はあったものの、刷新を繰り返して、継続的に販売された。だから、販売数は全世界累計9,100万個を超える(2023年3月時点)。
その意味で世代を超えた認知があると言って良い。
ここまで触れたところで、デジタルの可能性について触れたい。これまでにしても、育成の中身は、友達同士の共通の話題にできた。また、進化の過程で、目の前にいる人との通信のやりとりもできたけど、限定的なものだった。それは、場所という概念を超えられなかったのだけど、それで十分だったのだ。
2.育成は『Tamaverse』で最大化する
でも、世の中は今どうだろう。ネット隆盛の中で、世界中の人とのやり取りが当然になった。ボーダレスな世界で、彼らが新たな「たまごっち」で意図したのはメタバースのような空間である。
Wi-Fiを繋ぐことができる場所であれば、「Tamagotchi Uni」はクラウドを通して、世界中、誰とでも繋がれるようにする。
その為には、それらを繋ぐインフラが必要だ。「たまごっち」で繋がるクラウド空間をAWSを活用することで可能にして、小手先の目の前にいる人との通信とは明らかに違うことを明らかにした。まさに、世界が一つの世界でつながるメタバースのような世界観であり、それが『Tamaverse』。そこに僕は、商品の脱却というか、進化系を見たというわけである。
世代を超えて支持される商品の進化のあり方
1.商品は世界観をアシストする強力な武器となる
つまり、たまごっちの育成というコアな部分はそのまま。だが、そのキャラは外へと羽ばたき、『Tamaverse』を通じて、世界中の人とやりとりをする。すると、どうだろう。商品はあくまで「入口」となり、主たる部分はその人が集う『Tamaverse』ということになる。
結果的に、iPhoneのように継続的な利用に繋がるだろう。Appleがそうであるように、リアルの商品を買い続けなければならない。すると、一つ一つの「たまごっち」は切り離されることなく、アップデートしていき、継続顧客となる。だから、あのちゃんがしれっと言った「アップデート」らしき言い回しは実にしっくりくる。
ここでまた、あのちゃんの言葉を触れてみよう。その言葉は、世代を超えて長く愛された「たまごっち」の強さを示すものである。彼女は「たまごっち」のことを「自分を救ってくれた存在」と説明したのだ。
実は、彼女は、以前、体調を壊し入院した経験があって、滅入っていたという。しかし、その時に「たまごっち」をプレゼントされて、のめり込む。それで気持ちが晴れて、心が救われたのだという。
だから、今、この壇上に立って、新たに「TAMA FAMILY」となれることを喜ぶ。自ら救ってくれた「たまごっち」への愛着を持って、恩返しできるからである。かつて築き上げてきた「たまごっち」一つ一つの積み重ねが今、結実しているのも、やり続けてきた利点である。
2.より出会うことを楽しくするために
さて、彼女は何をするというのか。先ほどの説明の通り、商品は入り口。出会うことに重きを置けば、一層、育成に精を出すことになる。だから、その出会いがもっと楽しくなるためのプラスアルファの要素を彼女は口にする。それが「アクセサリー」についての話である。
実は、メタバースのアバターさながらに、育成したキャラに、アクセサリーを装着できる。つまり、見た目の変化に、コーディネイトでアクセントをつけられる。しかも、育成の仕方次第で「あまえんぼう」になったり、「やんちゃ」になったり。要するに、それを選ぶ好みも各々変容するわけで、それがまた、個性となる。
あのちゃんは「はカチュ」というアクセサリーをデザインしたとか。これも、発売と同時に、ダウンロードでき、そんなイベント性を高めて、育成や出会うことの楽しさを触発する。
それだけでなく、オリジナルキャラ「銀色のはカチュ」に扮したあのちゃんも『Tamaverse』に出現するとかで、まさにネットだからこそのエンタメ要素を盛り込む。
ちなみに、上の写真の通り、彼女の今日の衣装で頭につけているのが「はカチュ」。
3.たまごっちの「育成の価値観」をデジタルで開花させる
繰り返すが、世界中の人と繋がるメタバースの入り口であり、仲間を繋ぐ窓のような役目を果たすことで、「Tamagotchi Uni」という商品の売れ行きがプラスに作用していく。この感覚、お分かりいただけるだろうか。商品を商品として売るのではなく、世界観とセットすることで、購買意欲を高める。その点が、潮流を掴んでいて、興味深いのである。
デジタルの視点で見れば、やや行き詰まっている「メタバース」への参加意欲という部分でプラスに働くだろう。加えて、バンダイにとってみれば、かつて商品として手がけたものを別の形で付加価値を高められる挑戦である。しかも、商品をコンテンツとすることで、さらに可能性の幅を広げた。以上から、僕はデジタルにとっても、おもちゃ業界にとっても、一つ明るい兆しをもたらすものだと思った。
時代とともに、アップデートした「たまごっち」に期待したい。
今日はこの辺で。