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 文具の裏側には小さな革命がある KOKUYODOORS

  僕らって文房具に対して、特段、感激したりすることってあまりない。消耗品と変わらぬように日常、使っている。しかし、何気なくずっと日常に定着しているということは、長く使われるだけの工夫がある。そこには、小さな革新的な要素だって潜んでいるのだと思っているのだ。そういうわけで、僕は、この日、「KOKUYODOORS」にやってきた。なぜ?この場所にと思われるだろう。それは小さな革命に触れるためである。

日本の商品力に触れる入り口

1.日本と海外を繋ぐ「羽田エアポートガーデン」

 「KOKUYODOORS」というネーミングでお分かりかと思うが、文房具の老舗、コクヨの実店舗である。DOORSという名前に込められているのは、日本の商品力に触れる入り口という意味合いがありそうだ。

 それは、この拠点が設置された場所を考えればわかる。最近、オープンしたての「羽田エアポートガーデン」にある。ほんの少しその施設についても触れておくと、日本の玄関口羽田空港第3ターミナルと直結して、エアポートホテルを隣接させて、バスターミナルも用意。それと合わせて、観光・ビジネスにおける訪日プロモーション・イベント等の賑わいと機会を創出している。日本の玄関口で多様な価値観を吸引しながら、おもてなしをする場所である。

 だから、意外と遊び心に溢れたサービス精神に満ち溢れている。どうぞー!と威勢の良い声に呼び止められた僕は入ったのは「パパブプレ」というキャンディーのお店である。そして、手渡された出来立てほやほやのキャンディーを口にするのである。

 すると、気持ちも高揚するので、つい、こちらのキャンディも購入してしまった。漫画にでも出てきそうな絵になる渦巻きキャンディだが、案外、こういうのを目にする機会はない。ネタになりそうだし、良いかもしれない。それがまた、誰かへのギフトなり笑顔なりにつながるのだから、とても良い流れだと思う。

 思えば、日本は他の文化も上手に取り入れながら、その価値を広めていく長所がある。実は、このブランドにしてもパパブプレという海外発祥のブランドである。演出にこだわる楽しい姿勢に、国内での直営店は続々、増えているのだという。

2.日本の玄関口で老舗コクヨのチャレンジとはいかに

 羽田エアポートガーデン全体の話については、そのくらいにしよう。ともかく、そんな風にしてこの多様性のあるこの拠点。文房具の老舗が「KOKUYODOORS」を立ち上げて、何をしようというのだろう。まず、中に入って目に止まったのが、コクヨの歴史。なになに、書くことに真摯に向き合ってきたか、、、なるほど。ディスプレイには、それらの精神の礎を担った商品が並んでいる。

 つまり、彼らはそれだけの長い歴史の中で、常に新しい価値を求めて、ここまでやってきた。そのことをこの一角で明らかにしつつ、このお店でもチャレンジを試みている。革新と言っては大袈裟だが、そこへと繋がるイズムは感じる。

 まず、店頭には巨大な“落書きスペース”がドンと置かれている。

 これは工場から直接、送ってここに設置された原紙ロールである。自由にペンやクレヨンなどの使い心地を試す工夫がなされているわけだけど、よく文具店などにある試し書きのレベルではない。店のかなりのスペースを割く巨大なものであることに、チャレンジ精神を見たわけだ。そして、確かに彼らの変化の一端を見ることができたのは、僕自身、そこで商品を試したからだ。

使うことで見えてくる世界がある

1.メーカーの想いをダイレクトに伝える

 例えば、クレヨン。僕らがイメージするのはベタッと色付けされる旧来のクレヨンである。しかし、使ってみると、何か違う。実は、僕が手にした商品は「透明クレヨン」と言う。線画の上から塗ると、透明水彩の「絵の具」で描いたような仕上がりになる。従来とはまるで違った印象。だから、勝手にどういう場面で使ったら楽しいかと想いを巡らせ楽しくなる。

 こういうことか。「使ってみなければわからないことがあるよね」と。この原紙ロールの上で再現してもらってこそ、コクヨならではのこだわりと、そこに裏付けられたイノベーションを感じる事ができるのである。

 さらに、奥のスペースへと足を運ぶ。すると、筆記具以外でも体験ができる。印象的なのは、贅沢にその場所を使って、動画とキャッチーな説明文で“そそる”のである。例えば「液体のり」にしても「紙の角まで塗りやすい」と書かれてあると、手に取ってしまう。そういう風な魅力があるのか、と。想像力に訴えかけるというのがみそだろう。

 語弊を恐れず言えば、文房具は見た目にも地味。ともすれば、普通に陳列したところで、気づかずスルーしてしまうことも少なくない。ものとしてアピールする前に、そのものがもたらす創造性の高い時間を演出するのである。

2.革新的な取り組みは前へ進むヒントとなる

 それこそが思うに彼らなりの進化の現在進行形。その要素ひとつ一つに、それこそ、長い歴史を生き抜くだけの商品力があって、解き明かす。このお店はそれに気づかせ、気づかせるための商品づくりへと繋げていくための拠点だろう。

 什器一つにしても、こんな風だ。彼らの考え方を示して、消耗品的な扱いではなく、文房具に対して愛着を抱く。これまで培ってきた職人技を、伝え方の工夫により、ブランドとして提案。メーカー自体のファンになってもらうわけだ。

 例えば、「コクヨのヨコク」とは彼らのパーパス。「ワクワクする未来のワークとライフをヨコクする」という意味合いだそうだ。そこに基づき、商品が生まれるから、革新が生まれ、未来へとつながる。文房具にそんなメッセージ性があったのか。

 勿論、そのチャレンジには賛否が伴うだろう。しかし、それも甘んじて受け入れる。例えば、異彩を放つIOT自動販売機。よくこの手の自動販売機は、ラーメンや餃子など、奇想天外な商材で販売されて、話題を集めている。けれど、彼らはそれで文具を提案する。

3.改善の余地はあるけど、そうやって生きながらえてきた

 全てがディスプレイで完結する仕様になっていて、タッチパネルを使う。クレジットカードやPayPay、アリペイなどで購入できる。商品ラインナップはまだ少なくて、都合上、1,000円と2,000円のラインのどちらか。 僕は中身がわからないシークレットの2,000円で購入してみた。

 結構、凝った仕様で出てくる間も色々とクレーンゲームを思わせる商品を取り出す動画が流れたりするなどして、演出には事欠かない。

 購入が完了するなり、自販機の下の窓がゆっくりひらいて、自動販売機の感覚で、ポンと、取り出し口にその商品が降りてきた。

 出てきたのはこちら。

 アメージングと書かれており、場所柄、旅に絡んだ文具の商品がオシャレなバッグに入れられたセット。余談ではあるが、この「SKETCH BOOK」は逸品。

 スーツの内ポケットにも入るくらいのサイズで、パッと取り出してメモができる。スマホでも書き込める時代ではあるけど、ペンを取り出して図なりイメージなりをメモするのは紙のほうが向いている。直感的にサラッとペンで書き込めるのは、アイデアの熱量を逃さずに記録に残しておける相棒である。

4.未完成であり続け挑戦し続ける

 ただ、欲を言えば、ここで買っているのを店員は目にすることができるわけだから、せめて、「ありがとうございます」が欲しいものだ。ただ、言うなれば、物事には完成形はない。未完成であり続け、挑戦の中に反省はある。例えば、その店員の方も、売ることに集中していたら、そこに気づかない。これから改善されて未来をつくればいい。

 思うに、人が人たる所以は、ディスプレイやテクノロジーでは解決し得ない、温もりだったりする。だから、それをプラスに捉えればいいのだ。こういうスタッフは、販売員というより、それらの商品や会社の説明をしてくれるプレゼンターになれば、もっとこの店の価値が底上げできるだろう。

 この自動販売機も例えば、コクヨの通販サイトと連動してみてはどうだろう。そこに買うことの何かしらの意味合いを持てばもっと活用の道筋はひらけそう。

 全体を通して、革新的な意欲に溢れたお店である。透明クレヨン然り、僕自身も文具に対しての印象が変わったのは事実である。まさに、この場所が日本と海外を繋ぐ玄関口であるように、これらの誇れる商品が、日本と海外を繋ぐ“扉=door”となることを切に祈りたい。

 今日はこの辺で。

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