「Disney KIDEA」ディズニーのドールはママの優しさ 握って遊んで広がるあたたかな世界
おもちゃショーで話を聞いていて、語弊を恐れず言えば、バンダイの「DisneyKIDEA」は、とにかく地味で小さなスペースにあった。でも、Disneyキャラのその見た目の可愛らしさゆえに、足を止めていたら、「このドールの幅に意味があるんです」と声をかけられた。
母親の小指を掴むように
幅とは?「実は、このドールの幅は、お母さんの小指の幅なんです」。
それだけでわかるだろう、この商品が意図するターゲットを。赤ん坊が、お母さんの小指を握りしめる、その姿は誰でも、想像できるはずだ。「DisneyKIDEA」はディズニーキャラクターをモチーフにして、遊び方を提案する玩具である。東京学芸大学の松田教授とコラボしており、練られた設計が売り。
ドールの側面は1.5cm。最初から「積み木遊び」をすることはできなくとも、握りしめることはできる。だから、母親の小指のサイズ。そこを起点に、徐々に成長に合わせて、やれることの幅を広げていくわけである。
「バランスゲーム」のようなものもある。ゆらゆらと均衡を保つなど、手先の知育につながる。
さらに「TRAIN & RAIL」などのように、レールを敷いて、その上に汽車を走らせる。展示会のスペース上、断片的なものだが、レールを敷き詰めるとかなりのサイズとなる。先ほどのドールはその汽車に乗せることができる。このことからも分かる通り、ドールが子供と寄り添い、成長を見守ってくれるわけだ。
商品から逆算して書き起こした肝煎りのデザイン
僕がさらに関心を持ったのは、本当に見えない開発の部分。ドールにしても実は木の素材感を大事にしている。通常、こういう商品は、白く土台を塗った上でキャラクターの色をつける。世間で言われるところの積み木をイメージすればわかりやすい。
しかし、この白が強すぎると、木の風合いを失ってしまう。だから、この白の透明の度合いを強くすることで、やや茶色がかった土台の上にキャラが印刷されている。この素材を活かすべく、ミッキーマウスやミニーマウスなど、すべてバンダイが書き起こしているのである。
どうだろう。ここには、開発者の母への想いも見えてくるではないか。それ自体を飾っていても、十分にインテリアとして成立する可愛らしさなのである。
誰が見ても「おもちゃ!」ではないところの配慮に、開発者の想いが見え隠れする。
つまり、ディズニーの世界観を崩すことなく、優しいタッチが表現されている。これも、商品の使う場面と雰囲気を考慮してこそ成り立つわけである。また、この色合いは結果的に、レトロポップ調となって、インテリアにもなりうる仕上がりで、可愛らしい。昨今、若い世代にそれらの色彩がトレンドである。
デザインとしての価値も高いから外へと飛び出す
だから、このデザインを通して、コンテンツ化が進む。最近では、UTとのコラボレーションも行った。
つまり、このタッチのディズニーが独り立ちして、キャラクターグッズになっているのである。
子供との接点の作り方、デザイン面での母への配慮。そして、多くの人にその世界をわかってもらうための他者とのコラボレーションは、最終的に、この知育玩具への価値へと戻ってくるわけだ。そのドール自体も、子供の成長と共に歩んでいく。
なるほど。話を聞き終えて、想いに耽る。そして、改めて、赤ん坊がこのドールを握り締め、それを優しく見つめる母親の姿が思い浮かべてみる。もっと多くのファミリーに、もっと多くの子どもたちに、色々な活躍の場面を通して、手に取ってもらえるようになることを切に願う。
今日はこの辺で。