ギフトショー 創意工夫 で引き出す 商品の違った一面 商品企画のヒントここに
商品って奥が深くて、視点を変えると、違った顔つきを見せることがある。思わず見惚れてしまう職人技や、若手社員の時流を取り入れた想いなど、それは様々。ギフトショーで見かけた、創意工夫と企画者の思いをまとめてみたので、読んでもらえたらと思う。
メモブロックでありインテリア
メモブロックをアートのモチーフにしよう。そんなことは誰も思わないだろう。メモブロックはメモを取るものでしょ?と。確かにその使い道がベター。だが、そこに切り込みを入れて、まるで違ったアート作品にしてしまったのが「OMOSHIROI BLOCK」。これ、メモブロックなのである。
紙一枚一枚に、切り込みが入っていて、それを捲って引き抜くことができる。だから、それを繰り返すうちに、立体的な造形物ができあがっていく。勿論、メモとして使っていくことはできる。だが、使い古した後は、アートとしてインテリアになるというのが秀逸。
例えば、清水寺や東京タワーといったものまで作り上げる。それと一目でわかるクオリティは、多くを唸らせる。この機関車など、誰も、そがメモブロックなどとは思わないだろう。
なぜこのような発想に至ったのか。
それは、手がけるトライアードという会社が、模型の会社だからである。
物を立体的に表現することに長けているわけである。ただ、それを模型だけに用いることなく、文房具におうようしたところに彼らの工夫がある。
ブロックメモを、模型のように捉えた。大事なのは、その発想を通して、職人技の凄さを示していること。それもまた、商品の新たな可能性であり、デザインは人を魅了する大事な手段である。
風土を大事に人重んじ「耕人」
デザインを通して価値に気づかせるという意味では「耕人」というブランドもそうだ。手がけている会社はアンノットという。「耕人」がその意味を成している。「耕人」は「土」「木」「#人」という意味合い。
つまり、風土や文化を通して、人の力や想いを形にする。例えば、「たたみのみみ」は新感覚の消臭剤だ。消臭剤?そう思われる人もいるだろう。
いぐさは、消臭効果があるというのが論文でも証明されている。匂いの原因となる成分を吸収して分解する力があるというのだ。だとすれば、それを斬新なデザインと切り口で、その強みに光を当てる。隠してこの形状となった。自然に存在するものに敬意を表し、長きにわたって、生活と寄り添うという今のふさわしい感性がそこにはある。
実際、畳の部屋が減っているからこそ、そこに関わる人を救うという文脈でも大事と同社。アンノットの代表がプロダクトデザイナーゆえの発想。ものづくりへの愛と自然へのリスペクトの両方が、クリエイティブに込められている。ブランド名の如く「耕人」なのである。
森田MiWの微細さも楠橋紋織にかかれば問題ナシ
長年培ってきたものに光を当てるのが、商品である。楠橋紋織は詩画作家の「森田MiW」さんとコラボすることにより、その力を発揮した。同社は今治タオルの老舗メーカーであり、その力が作家の才能により際立って、僕らに気づきをくれるのである。
「森田MiW」さんの作品は微細に書き込まれた絵画。色合いもそのタッチもアート色が強く、それを再現するのは至難の業である。でも、この通り!
一方で、楠橋紋織もまた繊細な刺繍に定評があるから、それらを刺繍により反映した。コースターやタオルになったとしても、その世界観は、損なわれない。彼らの長年培ってきた技術によって、見事に表現されたのである。
これらのアーティステックな表現は、タオル地のマチ付きポーチなどで、持ち主を彩るアクセントとなる。は持ち歩けば、おしゃれさが際立つ。老舗の底力が、商品によってアピールされて、伝統と革新の賜物である。
今の旬をキャッチしオリジナリティを
時代の潮流を読む。それもメーカーにとっては大事な話だ。LIHIT LAB.が提案するのは、“推し活”をしている方々向けのアイテムである。正直、雑貨関連ではこれが一つのトレンドなのかもしれない。ただ、この会社では若い社員の自ら立ち上げた発想に寄り添って、その力を応援する温かな雰囲気も感じられた。
今の時代を誰よりも感じている若手社員は、プレゼンテーションの末、勝ち取った。昨今、“推し活”という言葉が定着していて、自ら実感し、肌身で感じるその勢いを、この商品に込めた。
店頭での印象が大事なので、インフルエンサーのasukaさんに声をかけた。そのガーリーなテイストは7.3万人のフォロワーを抱え、ご自身も人気だ。彼女には、架空の“推し”を手がけてもらい、商品の意図する雰囲気を再現してもらうわけだ。そこに沿って商品開発をしているから、売り場で使ったイメージがつきやすい。
ファンがもっと“推し活”できるように
もともとOEMの会社なので商品を作れなくはない。ただ、そこに新しい発想を持ち込むために、ブランド展開をしているともいえよう。例えば、こちらのコレクションポケットは、今のトレカ事情を反映している。
トレカは特にK-POPなどでは、アーティストごとにそのサイズが異なる。トレカが入らない。
そんな声に応えるべく、それ用に型を起こした。一番大きなサイズがどれかを調べた上で、入れられる仕様にしたのである。また、カードケースは、本来の機能を思えば、マジックテープまでつける必要などない。
しかし「これは写真などを入れるだけではなく、それを立てて眺めていられるんです!」と。カードケースをそれ以外の用途で模索したわけだ。せっかく工場との関係をあるから、下請けではなく、自らの発想で新しい切り口を創造する。それでこそ、このブランドを立ち上げた意味があるという話である。
物が溢れる時代。だからこそ、テーマが大事だ。旧態依然の捉え方に疑問を持ってみよう。その時代背景や見落とされがちな価値に今一度、目を向けると、違った顔が見えてくる。チャレンジするメーカーの姿勢に気づきを得たのである。
今日はこの辺で。