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商品は企画次第でエンタメだ Interior Lifestyle Tokyo 2022 潜入

 一歩一歩、技術が進化すると共に、また人の視点も様々、切り替わる。だから色々な切り口で商品が生まれていて、そこには好奇心を駆り立てる力がある。商品はその企画次第で、心を躍らすエンタメである。Interior Lifestyle Tokyoで商品に触れながら、そう思う。

Interior Lifestyle Tokyo 新たな切り口との遭遇

1.化粧品のコンパクトのようだが

 例えば、これはなんだと思うだろう。その鮮やかなグラデーションが印象的である。

 実は、名刺入れである。なんとも色合いが鮮やかなのは、吉田テクノワークスという会社が手掛けた、ダブルインモールド成形という技術がうみ出す色彩と質感なのである。開け方もありきたりではない。

 サイドを指でギュッと押すと、パカっと蓋が開く。そのギミックしかり、化粧品のコンパクトを思わせる凝った内容である。それもそのはず、化粧品メーカーなどとの間でOEMをやっているからである。それらの知見を、請負にとどめず、色々な形で世に羽ばたかせようというわけである。

2.アイスへの並ならぬこだわり

 続いて、こちら。何気ない食器もある特定のジャンルに対して、絞り込んでその専門性を持ち込むと、全く独創的なアイテムに様変わりする。アイスクリームカップ専用のスクープである。

 先端の形状は実はアイスのカップの大きさに合うように設計されている。よく市販の木製のヘラのようなものがあるが、案外使い勝手が悪くはないだろうか。だから、敢えてそこに特化して商品を作った。その形状だけではなく、素材も工夫していて、アルミニウムの無垢材。人間の体温が伝わりやすいようになっているのだ。

 つまり、アイスを溶かしながら食べられるというわけである。

 「15.0%」というブランド名で、数字は「アイスクリーム=乳固形分15.0%以上」という日本の成分規格からだ。アイスクリームの成分をそのままブランド名にしたというこだわりよう。

3.日常利用するものの視点を変えるとエコになる

 何も考えずに見落としてしまいがちなところも、視点を切り替えてみる。エコに繋がる「LastObject」というシリーズ。写真左の「Last Tissue」を見てほしい。一見すると、単なるポケットティッシュ。しかし繰り返し使えるのである。ティッシュを繰り返し?

 実はティッシュ自体がオーガニックコットンでできている。つまり、これ自体を洗えるようにして、無闇矢鱈に使いすぎないようにするわけである。それと合わせてケースを用意。シリコンのような柔らかい素材で、上の蓋が簡単に開ける。下からティッシュを引っ張り出せる仕様になっているので、それを洗って、上から入れるというわけ。つまりポケットティッシュのようだけど、繰り返し使うことで、エコであるというわけだ。

 その隣の「Last Round」は、コットンパフであり、発想的には同じ。ケースも自然由来の素材。サスティナブルな時代を反映した商品だろう。

4.魚の皮で雑貨を作る

 サスティナブルと言えば、「tototo」というブランドも面白い。何より地域と密着して、人と海との共存を果たす、その姿勢が良い。彼らが着目したのはレザー商品。通常、レザーというと牛などの皮を連想するだろう。けれど、彼らが意図したのは「魚の皮」である。

 同ブランドが拠点とするのは富山県氷見市で、寒ぶりの生産で知られ、漁業文化が根付く場所。だから、海を想って、廃棄される魚の皮を活かそうと考え、レザー製品にすることを着想した。

 元を辿れば「tototo」というブランド名は、実は「魚々(とと)」という言葉に由来する。「魚々と」私たちという意味合いだそう。

 わがままを言って、その制作過程の動画を見せてもらったので、合わせて見てもらうと面白い。魚から細かな身を取ると、「脱脂加工」と呼ばれる過程を経て、漂白をしていく。 続いて、水溶性加工物のタンニンを投入していき、その後、これを乾かすわけである。

そして、出来上がったのがこちらである。

 富山県の方言では新鮮でイキイキしている様を「きときと」というらしく、本当の意味で、魚がイキイキする社会がこういう動きで生まれるといいと思う。

6.精巧な作りと出来上がるまでの楽しさと

 こちらはインテリアでありながら、頭を使って組み立てるその途中経過も重んじる「kigumi」シリーズ。

 何気ないことだけど、木製だから実はそれ自体が歪まないように板状のものを貼り合わせて、そこからパーツを切り取る仕組みにしているのだ。

 見ていただくとわかるが細かな切り込みがある。これを組み立てるわけである。出来上がりが驚くほど精密なものがあって、個人的に惹かれたのはこちら。ONE PIECEで圧巻。

(C)尾田栄一郎/集英社・フジテレビ・東映アニメーション

 それぞれ活かすものは全く違いつつも、それらを色々掛け合わせてオリジナリティを演出しているわけである。つまり、商品というのは、利便性を追いながらも、時代を映す鏡なのだ。その背景と思いに触れると、実は商品こそ、最高のエンタメなのである。今一度、商品で楽しもう。

今日はこの辺で。

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