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丸亀製麺 のうどんのよう あたたかな トリドール の理念と実行 渋谷区 とも。

 正直、言うと真の目的はこの会社の考え方に触れるためだった。今というのは消費者が会社のこともしっかり見ているから「会社は何を考え、儲かったお金を何に使っているのか」は大事。それで 丸亀製麺 でお馴染みの トリドールホールディングス(以下、 トリドール )の記者会見にやってきて、代表取締役 粟田 貴也さんの想いに触れようと思ったのだ。それを聞くには格好の会見で、実は、この日、一緒に東京都渋谷区も同席していた。渋谷区と共に見せた、彼ららしい想いを反映した取り組みである。

丸亀製麺 を通して トリドール は「応援」し続ける

 渋谷区長 長谷部健さんと共に、この日、トリドールの代表取締役 粟田 貴也さんは防災に関する協定の締結を行ったことを明らかにした。そして、渋谷区役所に特別に用意された、うどんを作るためのキッチンカーを見せて、ほっかほかのそれを関係者に振る舞った。

 いやはや僕もいただいたが、さすが丸亀製麺クオリティ。ハフハフ言いながら、美味しく食べられ、寒い体が芯まであったまる。

 さて、このキッチンカーであるが、かねてより東日本大震災、熊本地震などを経て、皆が災害に対しての意識が高まる中で、自分たちにできることをと、同社で製造したもの。一方で、渋谷区では災害が起こった時、避難所での生活を余儀なくされた人たちへの支援として、何ができるかを考えた先に、最低でも1台でうどんを200食作れる、この車の存在に着目したというわけである。

 美味しいうどんを食べて上機嫌なまま、僕は粟田さんに会見後、直撃したのである。彼の話を聞いて思ったのは、この会社の根底を流れているのは「応援」なのだなということだった。

起業当時から子どもについては思案していた

 「こういう支援に関しては、起業当初から考えていたのか」と僕がたずねると、粟田さんはこう答えるのである。「昨今、災害については東日本大震災以降、より多くの人がそれを身近に感じるようになりましたから、必要なことだと思っています。ただ、起業当初からということになると、子供への想いが強かったかもしれません」と。

 「子どもですか?」そっちなのかと。ああ、そうだ。実は、この記者会見ではもう一つイベントがあった。それがこちらだ。

 丸亀製麺で『丸亀こどもうどん弁当』という商品を夏季限定で販売しており、彼らはその売上の一部を渋谷区の「子ども基金」へ寄贈している。その写真はその贈呈式での様子。

 「子ども基金」もそうなのだが、彼らは子どもという文脈で、これとは別に「子ども食堂」という取り組みに協力していることを明らかにしてくれた。確かに、そこに彼らなりの子供への思いが垣間見られて、粟田さんの話を聞きながら、僕なりに感じたのは「応援」というメッセージだ。

 「子ども食堂」って何?それは、子どもが一人でも行ける無料または低額の食堂のこと。恥ずかしい話だが、僕はここで初めて知った。

 可能性を秘めた子どもたちであっても、その環境によって、その才能なりを発揮できないことがあってはならないと、彼らはそういう未来を担う子どもたちや若者に対して支える意欲を強く感じるのである。

 「今度、是非、うちの会社に来てみてください」彼はそう僕に語りかけて「子ども食堂」の絵画展のことを教えてくれたのである。

 その意図はこうだ。何年か前から「子ども食堂」の取り組みは行われていたものの、コロナ禍で活動がストップ。このままではその活動すら子どもたちの記憶から忘れ去られてしまう。

 そこで彼らは逆転の発想をした。今まで自分達大人が伝えていたこの「子ども食堂」の存在を、子どもたち自身の絵で表現し、また、子どもたちはそれを通して、その時の思い出を形に残そうと考えたのである。

 多くの「子ども食堂」の参加者から寄せられた楽しいイラストは、まさにアートであって、下手に大人よりもメッセージ性が強い。それをイベント化して、著名人に審査員を努めてもらい、そこで選ばれたものは絵画展として、トリドールの渋谷本社で展示しているというわけだ。彼らなりの子供への想いである。

 ただ、粟田社長の言葉に僕が感じたのは無条件に子供を支援するのではなく、何か強い想いを抱かせるとか、想いを持った人をさらに奮い立たせるものである。そこには明るい未来に繋がるきっかけを作ろうというメッセージが強いんじゃないかと僕は受け止めた。

 だから「応援」と書いたわけである。本人の気持ちがあって初めて「応援」と呼ぶのだから。

 やっぱり粟田さんは「子どもだけではなく、若者の夢もサポートしたいと思っていて、四国アイランドリーグでも弊社は支援をしています。そこでの野球選手の収入のサポートをすることによって、若者の夢を援助したい」と語るわけである。

 繰り返すが「応援」だ。よく考えれば、最初に出てきた渋谷区との防災においても、立ちあがろうという被災者の気持ちに火をつける為の彼らなりのエールであり、それは子供への支援と共通する部分があるように思う。

うどんは温かい そこに生まれる空気も温かい

 これは個人的感想だけど、この会見の後、僕らメディアや区長も含めた関係者が皆、揃って同じうどんを食べている姿を見ていて、微笑ましい気持ちになった。みんな、顔が綻んでいてそれこそが「食べる」ということの意義を思ったし、だから、被災して少し落ち込む人の気持ちをきっと力強く後押しするだろう。

 そうやって幸せを提供できると実感している彼らだから、事業の発展だけではなく、人々の気持ちにどう還元するかを忘れないわけだ。本筋を忘れていない。正直、このキッチンカーは今はまだ2台で、最小で言えば200食であるけど、寧ろこの取り組みの本質は次の粟田さんの言葉に集約されていると思う。

 「何か普段の生活でも応援ができれば、それがわずかでも広がっていくと思います。それで、もっと多くの企業がやっていくきっかけになればいいのです」。彼が言いたいのは規模の大小ではなく気持ちであって、行動なのだということだ。この2台から彼らの考えの全てが始まるのだということだろう。

 個人的には「子どもへの想いは起業から当初からですね」その言葉が忘れられない。消費者は今、ネットなどを通して調べられる時代で、企業のありようを見ているから、こういう言葉こそが企業にとって大事だと思う。

 その意味で、トリドールという会社の考え方に触れたくて、ここにやってきたが「子どもへの想い」をはじめ、この会社の考え方は、まるでうどんのようにあたたかで優しさに包まれていたのである。

 今日はこの辺で。

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